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2005年07月28日
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『世界の歴史をカネで動かす男たち』を他のいくつかの本と一緒に読んだ(といっても22日には読み終えていたんだが)。全体を通して特に目新しい発見はなかったように思うが、21世紀の現在でも英米の外交政策として全世界に大きな影響力をもっている英国のチャタムハウス(RIIA)と米国の外交問題評議会(CFR)の形成過程について、また、この周辺にいるセシル・ローズの遺志を移植された人物たちについて書かれた部分なんかは面白く読めた。70年に出版したこの本でスクーセンはビルダーバーグについても書いている。

この本の著者であるW・クレオン・スクーセンは、1911年にカナダで生まれた米国人で、ジョージ・ワシントン大学を卒業し、法学学位、弁護士資格を得たあと、FBIに入局し16年間在職、FBIではフーヴァー長官の秘書官を務めた経歴があり、ソルトレークシティ警察署長、警察雑誌(法と秩序)編集長、大学教授という経験を積んできた人物のようである。

本書の原書であるスクーセンが書いた『裸の資本主義者(Naked Capitalist)』は1970年なのでいまから35年前に出版されたものということになる。スクーセンはキャロル・キグリーという人物が書いた1300ページの大書である『悲劇と希望(Tragedy and Hope)』の中からいくつもの文章を抜き出し、それをスクーセンの立場や視点から解説することで自身の私見を述べる、こんな感じで最後まで進んでいく。

監訳者は太田龍であり最後に「監訳者解説」として登場するが、またいつもの調子の彼独特の表現を使うのでそこをきちんと読み込むには彼の使う「単語」や「文体」に慣れていないと多少の“苦痛”を伴なうかもしれない(笑)。しかし、あくまでもこの本の著者はスクーセンであって太田龍は「邦訳者」である。しかし重要なのはスクーセンでもなく、資料と成りうるキグリーが書いた内容であり、太田龍が書くような難解かつ信用していいもんか考えるだけでも疲れてしまうような「解説」はどうでもよいのである(私はそれなりに楽しく読ませてもらっているが)。

キグリーは1966年に1300ページの『悲劇と希望』を公刊した。これをスクーセンが研究し、『悲劇と希望』を引用しながら解説・注釈を加えたものが本書である。したがってもっとも重要なのは“インサイダー”であるキグリーの“暴露”内容ということになる。「訳者」の都合を考えずに勝手な感想を言えば、太田龍には、スクーセンの『裸の資本主義者』ではなく、キグリーの『悲劇と希望』を翻訳して日本に紹介してもらいたかった。なぜなら、スクーセンの解説・注釈に特に興味深いと思える部分はなかったし、スクーセンの解説が入ることでキグリーの書いている「エスタブリッシュメント=グローバリスト」の考えを複雑にしてしまっている印象が強いからである。

「世界の権力構造を解明した作品」を書いたキャロル・キグリーは、学生時代のビル・クリントンの指導教授であり、ハーバード大学教授、プリンストン大学教授から国務省のキャリア外交官を育成するエリートコース、ジョージタウン大学の外交学科歴史学教授という経歴をもつ自他ともに認める「エスタブリッシュメント」の学者であり、「国際金融家」が描く世界を“希望”とし、それに抵抗することは“悲劇”でありもう手遅れであると語る人物として紹介されている。したがって『悲劇と希望』を書いたキグリーは、歴史学教授の肩書きを背景に「国際金融家」の現代史を描き、その「国際金融家」が動かす社会に肯定的な立場でいると思われることからグローバリストと表現でき、これは著者スクーセンの立ち位置とは対極になる。

本書では権力の中枢を「国際銀行家」と表現しているが、個人的には銀行家よりも金融家(カネでカネを稼ごうとする人)と書くほうがしっくりくるので引用以外では「国際金融家」と表現する。

本書でいう国際銀行家とは、英国では「マーチャントバンカー」、フランスでは「プライベートバンカー」、米国では「投資銀行家」と呼ばれるものを指しており、これらは貯蓄銀行や商業銀行などの「普通の銀行」とは異なっていると定義し、その理由を5つ挙げている。

1.彼らは世界主義かつ国際主義の立場をとる。
2.政府と癒着し、政府の負債問題にきわめて関心が高い。
3.彼らの関心の的は債券であり、実際の商品にはあまり関心を示さない。
4.したがって彼らは熱烈なデフレ支持者である。
5.彼らは徹底的に秘密主義を貫き、政界の裏に財政的影響力をもつ。


国際金融家として最大なのはマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドの末裔であるとキグリーは書いている(私は違うと考えているが)。その他に具体的に名前の挙がっている銀行一族は、ベアリング、ラザード、アーランガー、ウォーバーグ、シュロダー、シーリングマン、シュパイヤーズ、ミラボー、マレット、フォールド、モルガンである。

キグリーは世界史の中に燦然と輝く出来事として1694年のイングランド銀行の設立を挙げる。それは、紙幣を使うようになったこと(つまり金本位制が本格的に確立したことも含めて言ってるんでしょう)、銀行家が「無」から現金や預金、貸付金を“創造”したことと説明され、そしてイングランド銀行を設立したスコットランド人のウィリアム・パターソンが語った言葉、「銀行は無からつくりだされたあらゆる資金の利息をかせげる」で結んでいる。

近代的中央銀行制度の確立と紙幣発行(金本位制)が本格的に確立されることになるイングランド銀行(発券銀行であり預金業務も行なう商業銀行という顔をあわせもつ民間銀行)の設立とは、歴史的な“大事件”だったのである。設立の中心人物は、ウィリアム・パターソン(創設者であり最初の取締役の1人)ともうひとり、初代大蔵卿チャールズ・モンタギュー(ハリファックス伯爵)であろうと私は思っている。ニュートンを造幣局長官に任命したのはモンタギューである。また、イングランド銀行設立の翌年に設立されたスコットランド銀行にも注目する必要があると考えている(創設者はホランドというスコットランド人)。これら発券銀行の設立がスコットランド人を中心とするものだったことは興味深いことである。

イングランド銀行を“私有”した国際金融家グループが現在の米国にある連邦準備制度を“私有”しているのである。どちらも“公的機関を装った”民間銀行である。

イングランド銀行に発券業務などを特許したのは「名誉革命」によって成立した新王朝である。集めた資金120万ポンドを利子付きで国王に貸し付けたのであるが、貸した120万ポンドに利息を付けて返してもらうだけで済むものを、貸し付けた金額と同額の発券(貨幣=通貨発行)を許したのである。つまり「無から120万ポンドが生み出された」わけである。これは「国債」という形で米国や日本の中央銀行にも取り入れられている制度である。

「王政下のイングランド銀行は王に呑み込まれるか、銀行が王にとって代わるかである」と言われる所以である。独占的通貨発行権を握るものがその国の真の支配者となる。

キグリーは書いている。1946年に労働党政権がイングランド銀行を国有化したにもかかわらず、「国際金融家」はいまだにそのいくつかを私有しており、コート(役員会)と呼ばれる重役陣には、ラザード、ハンブローズ、モルガン・グレンフェル、ならびに彼らが支配する企業からの代表が名を連ねた、と。1961年にイングランド銀行の総裁に指名されたのはベアリング(クローマー卿)であったとも。(参考までに、英国金融界を牛耳っていたのが、ベアリング・ブラザーズ、N・M・ロスチャイルド、J・ヘンリー・シュローダー、モルガン・グレンフェル、ハンブローズ、ラザード・ブラザーズなどの17社で、それは合計100人足らずの共同経営者を抱えたマーチャントバンカーという私企業であるとキグリーは書いてる)

米国では1880年代から1933年にかけて金融資本主義の全盛期であり、この期間に金融家が莫大な富を結集させ構築した金融支配構造は並外れて複雑だったようである。ここにできあがった権力は、ニューヨークに本拠を置くJ・P・モルガンと、オハイオに本拠を置くロックフェラーであり、この2つが協力すると米国の経済界をほぼ支配できたし、少なくとも連邦レベルまでは政界もほぼいいなりだったと。

英国では公的機関に変装したイングランド銀行を“民間”が私有し独占するとともに金融界を支配したが、同じような「金融支配センター」がフランス、ドイツ、イタリア、スイスにも誕生したと。米国でも中央銀行制度の確立が不可欠になったとされている。

20世紀の初めころにはロックフェラーも銀行一族となり、チェース銀行とナショナル・シティ銀行を買収した。その後、チェースがウォーバーグのマンハッタン銀行と合体することでチェース・マンハッタン銀行が誕生する。

米国の連邦準備制度(FRB)というのも、これまた民間が所有してるくせに“公的な顔”を持ち、実態は政府・財務省から「独立」している機関である。制度導入の中心人物であるポール・ウォーバーグは1902年にドイツからやって来た。ポールはクーン・ローブ商会のニーナと結婚し同社の共同経営者となり、ネルソン・ロックフェラーの祖父であるネルソン・オールドリッチ上院議員と共に制度導入の中心となって動いた。ここから「ジキル島の秘密会議」を経てハウス大佐なんかも登場しながら舞台が整い、1913年12月22日、ついに連邦準備法が通過する。FRBについては過去に私もここ「灼熱」で何度も取り上げて書いてるので、特に詳しくやる必要もないでしょう。政策などを動かしているのはニューヨーク連邦準備銀行でありここを所有している株主が最重要となる。

こうした各国(といっても民間だけど)の中央銀行制度は各国の政治体制と経済を支配下におさめ、世界的な金融管理制度を創設した。もちろん日本も管理されている。こうした管理制度の頂点に位置付けられたのがスイス・バーゼルにある国際決済銀行(BIS)であり、日本銀行(日本政府が過半数の株を所有している)もBISにコントロールされているはずである。


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最終更新日  2005年07月28日 23時05分30秒
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