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テーマ:世界を動かす国際金融(374)
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ファツィオの後任となるイタリア中央銀行の総裁が(昨年末)決まったらしい。私は、ファツィオ辞任後に報じられた記事から、後任にはトマソ・パドア=スキオッパが選ばれる可能性が高いようだと思い、この人物なら知っていたのでパドア=スキオッパという人物を紹介したのだが、どうやらパドア=スキオッパが総裁ということにはならなかったようである。 各報道の期待を裏切って?ファツィオの後任として新総裁に就任するのは、ファツィオが辞任した当時ゴールドマン・サックス・グループ副会長を務めていたマリオ・ドラギという人物。私はこの人物を知らない。どうもイタリア経済財務省で国庫次官を務めた経歴があるようだ。 ファツィオ辞任劇をきっかけに、イタリア銀行総裁の任期が終身ではなく6年になったのであるし、総裁の任免権もおそらく政府に移されることになるので、この一件はイタリア金融界や中央銀行にとって大きな歴史的意味をもつことであっただろうと思う。日本銀行総裁やFRB議長を免職させる(辞めさせる)権限を日本政府も米国政府も持っていないのだから、今回イタリア銀総裁の任免権をイタリア政府が握ること(になるだろう?)の意味は大きいのである。 ※ 任期5年の日銀総裁は内閣が任命するが、内閣は総裁を解任できない。日銀総裁は、破産したり禁固以上の刑を受けない限りは、解任されることのないという絶大なる力を持っている。また、政府は日本銀行に対して業務を行うことを命令することもできない。できるのは“お願い”ということになる。以下、少し脱線。 ![]() 昨年12月に「週刊現代」で「パンツをはいた純一郎」を書いた栗本慎一郎が著書『パンツを脱いだサル』でも言ってるように、郵政民営化の次(最後)は“日銀の民営化”が本当であるとしたら、これは阻止しなければならないと私は思っている。日本銀行の利益は、配当金(5%=500万円)や準備金を除き国庫に納付される。つまり日銀の「儲け」は、私的なものとして流出しないので、直接的に国民からカネを吸い取る機関(仕組み)ではない。これが民営化され現在納付されている利益が国庫に納付されなくなると、日本国民は中央銀行に富を直接略奪されることになる。 「日本銀行法第8条」によって、日本銀行に出資する日本政府の割合は55%を下回ってはならないと定められている。つまり、日銀の支配的株式を政府が保持することで政府の支配が及んでいる。民営化とは、言い換えれば「私物化」である。米国FRBは私物化(私有)されている。「中央銀行の独立性」と「民営化路線」が結ばれると、日本銀行の私物化(民営化)が実現される可能性が大きくなる。日銀の利益(剰余金)は国庫に納付されるのだから、日銀が保有する国債から得た金利は国庫に戻ってくることを意味し、政府の国債利払いコストは実質的に軽減しているのである。さらに言えば、配当金さえも、その55%は政府に支払われているはずであり、外部に流出するのは200万円ほどでしかない。 私物化されているFRBは、法人税さえ免除され、利益はまるまるFRBの利得である。私は日本銀行を“FRB化”させてはならないと思っている。もう1度いうが、日銀が民営化されるということは、日本国民が中央銀行に富を直接略奪されることを意味する。 日本銀行は私物化されないよう“独立性”どころか“国家機関化”していなければならないのである。…と、私は考えている。今後も、日本銀行に関する議論(話題)には要注意である。 『パンツを脱いだサル』ヒトは、どうして生きていくのか ![]() 日本銀行について少し… http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200412270000/ 日本銀行の独立性の是非 http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200511180001/ 連邦準備制度の機構と機能 http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200511040000/ 『世界の歴史をカネで動かす男たち』の感想と私見 http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200507280001/ イングランド銀行設立から見えてくるもの http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200507290000/ イタリア政府、中銀新総裁にマリオ・ドラギ氏を指名=政府筋 (ロイター) 2005年12月30日(金)06時06分 [ローマ 29日 ロイター] イタリア政府筋によると、同国政府は、イタリア中央銀行の新総裁に米証券大手ゴールドマン・サックス幹部のマリオ・ドラギ氏(58)を指名した。 地元銀行の買収をめぐるスキャンダルで先週辞任したファツィオ総裁の後任となる。 http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=30reutersJAPAN198343 トリシェECB総裁、イタリア中銀新総裁を歓迎 (ロイター) 2005年12月30日(金)06時11分 [フランクフルト 29日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は29日、イタリア中銀新総裁に指名されたマリオ・ドラギ氏を歓迎する意向を示した。 トリシェ総裁は声明で「ドラギ氏がイタリア中銀の総裁に指名されたことを歓迎する。同氏には国内外で幅広い経験があり、ECB理事会に大きく貢献するだろう」としている。 http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=30reutersJAPAN198338 ファツィオ総裁が辞任 http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200512200000/ トマソ・パドア=スキオッパ http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200512210000/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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