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2019年02月20日
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テーマ:本日の1冊(2906)


「高倉健・藤純子の任侠映画と日本情念」山本哲士 E.H.E.S.C.(文化科学高等研究院)

限定400部の、しかもAB変形の大判の本。おそらく、高倉健・藤純子解説書では最も詳しい本のひとつではないかと思う。1960年代の任侠映画については、総てのセリフは流石に無いが、主要な作品のひとつひとつの物語と解説と分析がついている。もちろん、資料的な本では無いから、出演者やスタッフのデータはあまり書かれていない。しかし、著者の気になる場面の分析は、豊富な場面写真と共に付されていて、資料的価値はあるだろう。

一言で言えば、当時の新左翼系の学生が、なぜ任侠映画をあれほどまでに「支持した」のか、その思想的分析をしてみようという、著者の 思い入れたっぷり詰まった378pなのである。1人の哲学徒が、映画の中の「情念」の止揚に何を観たか、一生懸命書いている。

と、ここまで書いてはっきり言うが、正直私にはどうでもいい。80年代に、学生運動の残滓に迷惑蒙った者として、70年代の学生運動を誠実に総括してこなかった世代の呟きに、付き合う義理は無い。だから、この本の資料的な価値だけを認めるだろう。

2019年2月読了






最終更新日  2019年02月20日 10時45分45秒
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2019年02月19日
テーマ:本日の1冊(2906)


「図書2月号」より
丸善で本も買わないのに「ください」と言ったら、にっこりしてくれたので貰ってきた。「図書」の寄稿文は、時々大きく外れるので定期購読を止めていたのだが、今回は豊作だった。

ウィルス学の田代眞人氏の「大流行による惨劇から100年ースペイン・インフルエンザ」は、人類が一つの病を克服してきた歴史だと思っていたものが、全然違っていたことを教えてくれるものだった。

中世のペスト(黒死病)大流行の次に世界的に起きたのが、1919-20年のスペイン・インフルエンザ(スペインかぜ)だった。第一次世界大戦を終わらし、その後の復興を妨げ、第ニ次世界大戦を準備したという歴史もびっくりだけど、日本では5500万人の人口のうち、45万人もの人が亡くなっていたことを知った。現代で言えば、約100万人がインフルエンザで死んだことになる。軍事優先の社会で、士気を削ぐ報道を統制したこと、関東大震災の強烈な記憶の陰に隠れたことで、その5倍もの死者を出したスペイン・インフルエンザの惨劇は忘れられていったようだ。

最新の遺伝子研究で、突然弱体化して忘れられてしまった初期の正体は明らかになったようだ。しかし、そもそもの起源、第二波が強毒化した場所と機序、第三波の後に弱毒化した理由などは未解明のままだという。だから、新たなパンデミックの可能性は、多くの学者が指摘している。

R・G・ウェブスター『インフルエンザ・ハンター』(岩波書店)や『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』(速水融 藤原書店)などを、是非紐解いてみたいと思う。因みに、マイ職場では先週(全員予防接種しているのにも関わらず)なんと5人以上次々と掛かった。私は大丈夫。生涯中学の時1度しか掛かったことがない。こんなのを見ると、パンデミックは近いのかな、と思う。

片桐千秋氏の「崖葬墓文化の起源を探る」は、沖縄に伝わる「風葬」文化が、縄文時代どころではなくて、石器時代から延々続いてきたことを簡略に述べたものである。残念ながら、氏の文章は、発掘途中の中間報告であり、本としてまとまっていない。しかし、風葬(その一形態として映画にも描かれている『洗骨』がある)の中に、東南アジア民族の持つ「家族」「氏族」の思想が滲み出ている気がする。それが、日本列島に渡りどのように変化するのか、つい先走って考えてみたくなるような文章だった。






最終更新日  2019年02月19日 09時54分52秒
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2019年02月18日
テーマ:本日の1冊(2906)



下巻は正に「解決編」だった(以下、ネタバレの中枢には言及していないけど、そこから波及する結果には言及しています)。

謎は大まかなところでは解けた。もっと、藩の中枢の政治的な歪みが、事件を起こしたのかと思っていたが、政治というよりも、やはり人の心の中の欲望、恨みなどが発動したのだ。相手が権力の中枢にいるだけに、慎重に慎重に行われ、その周辺の庶民に対しては、もっと簡単に殺されたり、隠微されたりしていたことが分かった。そういう意味では何時もの宮部みゆきなのだ。

しかし、謎は100%解かれたわけではない。「真の黒幕」(386p)は、未だ影さえ現してはいないように思える。しかし石野織部は「内訌が露わになれば、北見藩の存亡にも関わりかねぬ」とここで打ち切りを宣言する。若い政治家栗木も「獅子身中の虫を殺そうとして、獅子そのものを殺してしまう羽目」は避けるべきだと同意する。不満だが、下級武士に過ぎない半十郎も「堪忍します」と同意する。(387p)思うに、現代政治家に通じる「ずるい部分」である。宮部みゆきは、そのことにはあまり嫌悪を表さない。ただ、重興は出土村で新居を構えるだろう。その時、多紀を含めた新たな事件が、過去を蒸し返さないとは限らない。もちろん、それは新たな一編が必要になる。御霊繰の術は絶えてはいない。今回は医学的にはとても科学的に物語が進んだが、宮部みゆきの時代ものらしく、そこの謎も、総ては明らかにしていないのである。蓋し、エンタメの常道であろう。
2019年2月読了






最終更新日  2019年02月18日 10時11分11秒
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2019年02月17日
カテゴリ:洋画(12~)


映画評「スリー・ビルボード」
毎年2月の第4月曜日の午前から昼過ぎにかけての約3時間、映画ファンならば気もそぞろになる出来事が起こります。米国アカデミー賞の発表があるのです。私は携帯を始めてからは、ほぼリアルタイムで結果を把握してきました。今年は2月25日です。

アカデミー作品賞、監督賞が、必ず私のベスト10に入るかどうかは、観てみなくてはなんとも言えません。確率は五分五分でしょうか。ただ授賞作品は必ず観ます。

昨年は「シェイプ・オブ・ウォーター」が作品賞・監督賞を獲りました。けれども、私は主演女優賞・助演男優賞の本作を断然推します。それは私だけではなく、 昨年秋にキネマ旬報が、ベスト・テン外国映画第1位、読者選出外国映画第1位、外国映画監督賞、読者選出外国映画監督賞をこの作品に授けたことでも、少数意見ではないことが分かります。圧倒的なヒリヒリするようなドラマでした。

冒頭、ミズーリ州の寂れた道路に、町の警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)を非難する巨大な3枚の広告看板(ビルボード)が現れます。設置したのは、7カ月前に何者かに娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)です。何の進展もない捜査状況に腹を立てケンカを売ったわけです。

署長を敬愛するディクソン巡査(サム・ロックウェル)や町の人たちは、彼女をなじります。ここまでは、保守的な田舎町に反逆する女性の物語かと思います。ところが、そこから不穏な事件が次々と起きるのです。

混沌とはしていません。不思議とまとまっています。3枚の広告が、チェスの一手のように手詰まりだった町を動かし、3人の人物を動かし、途中3通の手紙が、憎しみの連鎖で破滅するかに思えた結末を、不思議な赦しの物語に変える構造になっているからかもしれません。悪人の中に善人が隠れている。リアルなんだけど何処か寓話的な、不思議な話でした。

田舎町の描写は、アメリカの閉塞感を表し、トランプ支持層の現実とはかくなるものかと思わせます。黒人、障害者、イラク派兵等々の問題も出てきます。まるで3枚のビルボードが見せる米国の曼荼羅でした。

米国アカデミー受賞作品は、たいていは力作です。でも、最終的な評価は、やはり直接観ないと判断出来ません。さて、今年はどうなるでしょうね。(2018年米国マーティン・マクドナー監督作品、レンタル可能)






最終更新日  2019年02月17日 09時07分12秒
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2019年02月16日


「ビッグイシュー352号」
ゲット!
「お久しぶり!元気でした?」
「実は月末にサイフを落としてしまって、最新号を仕入れるお金がなくて、ずっとアルバイトしていたんです」
「!!それは、可哀想に」

二週間近く街頭に出ていなかった様子なので、てっきり身体を悪くしていたのかと心配していたのである。これはこれでホントに可哀想だし、私の経験と違って未だサイフは出てきていないそうなのだ。ただ、私は改めて思った。詳細はわざと聞かなかったのでわからないが、1度のサイフの紛失で、次の「商品」の仕入れ資金も無くなってしまうような、そういうギリギリの生活をしていることが、私には心に残った。今年の正月は、2008-9年の派遣村から10年で、その記念集会も各地で開かれた。岡山でも、派遣村は開設された。その時、私は「話には聞いていたが」岡山にもホームレスがいることをやっと実感持って知ったのである。

それから10年、全体的な総括は私には出来ないが、見た目のホームレスは幾らか減ったと思う。しかし、湯浅誠氏が言った、一旦落ち始めると、あっという間に落ちて這い上がれない「滑り台社会」は、未だ健在だと思う。なぜならば、人の努力による運用は少し改善されたが、それを失くす制度は出来ていないからである。ーというようなことを思った会話だった。

さて、表紙はジョン・ボン・ジョヴィ。改めてロック歌手は、世の中に物申す人たちであって欲しい。日本はそうはなっていない。悲しい限りだ。

処で、エコノミストの浜矩子さんが「まいきん(毎月勤労統計)」不正問題で、最後に一言言った。「ああ、いまいましい。厚労省の面々を呪い殺そうと思う。まじめなエコノミストは皆、そう思っているはずですよ」。物騒だけど、十数年自分の発言の根拠としていた数字が違っていたら(浜さんの場合は、本来はそうであるべきことを主張していたかもしれないが、主張の違う真面目なお仲間は特にそうかもしれない)、そう思って当然。呪い殺すのならば、刑法にも引っかからないし(^_^;)。






最終更新日  2019年02月16日 20時45分50秒
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2019年02月15日
カテゴリ:カテゴリ未分類



旭川の水を引き込んで、岡山城のお堀になっている川の畔の町は出石町と言って、江戸時代は商人の町だった。其処彼処(そこかしこ)に昔の面影がある。


例えば、この「商店」の玄関口の上にこのような漆喰飾りがある。



何か謂れがありそうなのだが、わざとわからないままにしておきたい。



大通りを挟んでその昔の街道の南隣には、このような大黒天さんもおられる。油をかけるのが功徳なんだそうだ。俗気の多い御尊顔ではある。



その南隣には、楠木神社があるのだが、やはり謂れを調べることは止めておこう。



さて、この街道の北の玄関口辺りに、アートスペース油亀という美術画廊がある。見た目は、完全に下級武士長屋である。



しかし、奥は案外深く、昔に何かの商店だったのをそのまま利用しているのがわかる。ここで、様々な器展をしていて、毎年この時期には珈琲カップ展をしている。開催間近の日曜日ということもあるのか、私の想定以上の有名画廊なのか、若い女性でごった返していた。





2千円台から5千円台の珈琲カップが所狭しと並んでいる。



出張喫茶店も繁盛してる。



ペタンと座ってお客さんが品定めしている。



実は、ここ数年珈琲を1日4杯前後飲んでいる。健康のためというよりも、煙草を吸わない私の純粋な嗜好品として、もうこれにはお金をかけようと「決意」したからに他ならない。とはいっても、ワインでつくづく分かったのではあるが、私は生来鼻が悪くて、味や香りをきちんと味わうことが出来ない。だから、雰囲気だけを愉しむ嗜好品である。基本的に安い豆を買って、ドリップして飲んでいる。



器を愉しむことはしていないのだが、ひとつぐらい買ってもいいか、と思ってやってきた。



様々な器がある。



ひときわ目をひいたのは、福岡市在住の作家らしいこの方の作品が、どこにでも目に止まるのである。





自由自在の表現が楽しい。



それで、1番安いタイプのこの青色が美しく、指に馴染む、この器を買った。気分が乗った時に使いたいと思う。







最終更新日  2019年02月15日 12時16分00秒
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2019年02月13日
テーマ:ニュース(82000)
カテゴリ:加藤周一


アーカイブス「加藤周一が残した言葉」2009.3.NHkより

永田誠さんの奮闘によって、加藤周一映像のYouTubeが多くUPされている。ここに載せるのは、一番初めに載せるに入門編として適当だ。短くポイントを押さえているだろう。

亡くなる半年前に撮影したNHkの追悼番組を映して、それを見ながら姜サンジュなどの言葉を載せている。すでに癌は全身に転移していて、身体は衰えているが、表情は非常に鋭い。10年前の語りではあるが、まるで安倍一頭政治の今を見据えて、「現代をどのように見たらいいのか」ということを語っているかのようだ。


ここで加藤が言っているのは「教養を持て」ということだ。このあと世の中を席巻するポピュリズムをこの時点で、根本から批判している。

なかなかこういう映像までチェックできないのだが、少しずつ紹介していきたい。











最終更新日  2019年02月13日 11時40分29秒
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2019年02月12日
カテゴリ:洋画(12~)

最後の三作品、それぞれ力作で退屈はしなかったけど、突っ込み所もありました。



「マスカレード・ホテル」

これは、原作を先に読むタイプの映画ではなかった。ほとんど原作通りに、エピソードも、真犯人も綴られるので、愉しむ点は、ホテル(ロイヤル・パーク・ホテル)の造りと、長澤まさみだけになってしまった。ホテルグランド擬きで、あらゆるタイプの仮面客を見せるのが醍醐味なんだけど、私は仮面の裏の素顔をあらかじめ知っているから、感動はない。

つくづく、木村拓哉の新田刑事には、刑事仮面を被った映画という舞台の男優としか見えなかった。

それと、最も重要なのは、原作の中の重要なテーマがすっぽりと抜け落ちていること。刑事は人を疑うのが仕事。ホテルマンは、仮面を被っていることを承知で、人を信じてサービスをするのが仕事だと、映画は主張するが、原作はそうではない。

フロントの仕事の重要なことは、「お客様は神様ばかりではありません。悪魔も混じっています。それを見極めるのも、私たちの仕事なんです」(文庫本51p)と原作では言わせている。なのに、たくさんのエピソードの中から、 宿泊逃げのホテルを跨いでのブラックリストの存在があることを明らかにしなかった。あのエピソードがないと、原作の面白さの半分はなくなる。

等々、テンポよく、オールスター形式の映画は楽しかったのだが、結果つまらなかったと言わざるを得ない。

ラスト・シークエンスも100%無駄な5分間だった。

(STORY)
現場に不可解な数字の羅列が残される殺人事件が3件発生する。警視庁捜査一課の刑事・新田浩介(木村拓哉)は、数字が次の犯行場所を予告していることを突き止め、ホテル・コルテシア東京で4件目の殺人が起きると断定する。だが、犯人の手掛かりが一向につかめないことから、新田が同ホテルの従業員を装って潜入捜査を行う。優秀なフロントクラークの山岸尚美(長澤まさみ)の指導を受けながら、宿泊客の素性を暴こうとする新田。利用客の安全を第一に考える山岸は、新田に不満を募らせ……。
(キャスト)
木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、濱田岳、前田敦子、笹野高史、高嶋政宏、菜々緒、生瀬勝久、宇梶剛士、橋本マナミ、田口浩正、勝地涼、松たか子、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎
(スタッフ)
原作:東野圭吾
脚本:岡田道尚
音楽:佐藤直紀
監督:鈴木雅之
上映時間133分

2019年1月21日
ムービックス倉敷
★★★



「十二人の死にたい子どもたち」

展開も、結末も、ラストの「意外な真相」も、そんな意外でもない。こういうテーマの映画ならば、結局ああいう展開にならざるを得ない、とは思った。

あとは、若手俳優の演技合戦である。目立つのは、杉咲花と黒島結菜、そして新田真剣佑。杉咲花は、1番丁寧に描かれているし、特異な役だから、演じやすいとしても、まあ流石だと思う。けれども、彼女の主張には、私は納得いかない。黒島結菜は頑張ったと思う。明るい面が多かった彼女が、よくあそこまでダーク面を引き出した。痩せたのは役作りだろうか。だとしたら、凄い。

男の方は、新田真剣佑が図らずも探偵役を演るのであるが、惜しい。何か、全然切羽詰まっているように思えなかった。私は彼が巧妙にお膳立てを作ったのか、とさえ思えた。

この設定には、無理がある。イエスの方舟のような、カリスマ役がいなければ、もともと成功するような企みとは思えない。

STORY
それぞれの理由で安楽死を望み、廃病院の密室に集まった12人の少年少女は、そこで死体を見つける。死体が何者で自殺なのか他殺なのか、集まった12人の中に殺人犯がいるのか。やがて、12人の死にたい理由が明らかになっていく。
キャスト
杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈、吉川愛、萩原利久、渕野右登、坂東龍汰、古川琴音、竹内愛紗
スタッフ
監督:堤幸彦
原作:冲方丁
脚本:倉持裕
音楽:小林うてな
主題歌:The Royal Concept
上映時間118分

2019年1月31日
Movix倉敷
★★★



「メアリーの総て」

「フランケンシュタインーあるいは現代のプロメテウス」神話で人類を創ったプロメテウスをなぞり、人造人間を造った「男」の博士は、その後に「英知と希望」の反対方向の運命に出逢う。そういう物語になったのは、この作者が女性であり、19世紀イギリスで女性としての自立を自覚しながらも抑圧された者だからだ。しかし、だからと言って、彼女は科学の力を否定せず、神に抗い、生命の蘇りの可能性を否定しなかった。

母親メアリ・ウルストンクラフトの「女性の権利の擁護」を慕い、父親ウィリアム・ゴドウィン「政治的正義」の自由主義思想を糧に、しかし、父親の保守思想に反対され、シェリーのロマン主義に恋して3人も子供を産み(うち1人は出産後間も無く死亡)、放蕩家のバイロンのスイス別荘で、「吸血鬼」を書いたポリドリと共に数ヶ月を過ごして、フランケンシュタイン」の着想を得る。幾つか、脚色はされているが、当時の前衛的な思想をフランケンシュタインのようにつぎはぎしながら、まるで全く新しい物語を創った、メアリーの才能を、見事に映像化していたと思う。

200年前のイギリスで、奔放な恋愛を唱えていた人たちがいたことも新鮮ならば、メアリーの早熟な才能が開花する過程も、新鮮だった。

エル・ファニングは16歳から18歳を違和感なく演じ、曲者女優のベル・バウリーとの屈折した友情(姉妹愛?)も面白かった。

2019年1月27日
シネマ・クレール
★★★★







最終更新日  2019年02月12日 08時27分07秒
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2019年02月11日
カテゴリ:洋画(12~)

中盤の三作品です。



「蜘蛛の巣を払う女」

原題は「THE GIRL IN THE SPIDERS WEB」。これは幾重かの意味が込められているだろう。一つは父親の後継組織「スパイダーズ」を打ち払う話。一つは姉妹の確執を打ち払う話。一つは、インターネット(蜘蛛の巣)の悪利用を打ち払う話。ドラゴンは孤独であるが、とてつもなく強い。これは、現代のおとぎ話である。


映像はとてもスタイリッシュだ。冒頭場面。セレブの1人の男が女性に謝っている。女はいいのよ、と答えている。ところが、場面がパンして状況がわかってくると、これはDVの場面だとわかる。その直後に、リスベットが現れて必殺仕事人よろしく形勢は逆転するのである。このような洒落た作りが随所にある。デヴィッド・フィンチャーのような、陰気な作風ではなくて、そうはいってもハリウッドのような明るさはなくて、いかにも北欧らしい、でもヒューマンちっくな勧善懲悪物語になっていた。


小国だけど、アメリカ大国主義にも、ロシア軍国主義にも抗する、スウェーデン国民の矜恃、それが一個人のしかも女性に担わされているというのが、現代世界をみさせてくれるのかもしれない。


(解説)
天才ハッカー、リスベット・サランデルの活躍を描いた「ドラゴン・タトゥーの女」に続くミステリー第2弾。AIの世界的権威から核攻撃プログラムの奪回を依頼されたリスベットは、やがて16年前に別れた双子の姉妹カミラの罠に落ちたことに気付くが……。リスベットを演じるのは、「ブレス しあわせの呼吸」のクレア・フォイ。前作でメガホンを取ったデヴィッド・フィンチャーは製作総指揮に回り、本作では「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスが監督を務める。
背中にドラゴンのタトゥーを持つ天才ハッカー、リスベット(クレア・フォイ)は、特殊な映像記憶能力を駆使して活躍していた。そんなある日、彼女は人工知能=AIの世界的権威・バルデル教授から仕事の依頼を受ける。依頼の内容は、意図せずに開発してしまった核攻撃プログラムを、アメリカ国家安全保障局から奪回するというもの。その裏に隠された恐るべき陰謀を探るうち、奇妙で不気味な謎の存在に行き当たるリスベット。それは、16年前に別れた双子の姉妹カミラ(シルヴィア・フークス)。だが、そのことに気付いた時はすでに、周到に仕組まれたカミラの罠に落ちていた。そしてリスベットは、自身の忌まわしい記憶と、葬り去ったはずの残酷な過去に向き合うことに……。

製作国 イギリス=ドイツ=スウェーデン=カナダ=アメリカ

(ストーリー)
冷え切った空気が人の心まで凍てつかせるストックホルムの厳しい冬。背中にドラゴンのタトゥーを背負う天才ハッカー、リスベット・サランデルに仕事が依頼される。
「君しか頼めない――私が犯した“罪”を取り戻して欲しい」
人工知能=AI研究の世界的権威であるフランス・バルデル博士が開発した核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保障局から取り戻すこと。それは、その天才的なハッキング能力を擁するリスベットにしてみれば簡単な仕事のはずだった。しかし――、それは16年前に別れた双子の姉妹、カミラが幾重にもはりめぐらした狂気と猟奇に満ちた復讐という罠の一部に過ぎなかった。
※PG12
監督 フェデ・アルバレス
出演 クレア・フォイ、シルヴィア・フークス、スヴェリル・グドナソン
2019年1月14日
TOHOシネマズ岡南
★★★★

http://www.girl-in-spidersweb.jp/sp/



「この道」

職人監督の佐々部清の良くない所が出た作品。出演者は、なんとほぼ全員歴史上人物。朔太郎、犀星、啄木、鈴木三重吉そして与謝野夫妻が出てくる冒頭部は、日本文学ファンならば、それだけでドキドキするけど、適当に字幕で説明すればいいだろうという魂胆が見え見え。ほぼ全体的にそれで、なんか大正昭和文学史をなぞった気分しか残らない。


白秋のトリビア的な情報(あんな繊細な詩を書くのに、実は女たらしで泣き上戸だった)だけをウリにしている。職人監督としては、戦争に協力しない信条か、それとも生きるための作詞か、というテーマは、鋭く描けるはずなのに、全然思い入れがない。


(ストーリー)
九州柳川から文学を志し上京した北原白秋。隣家の美人妻・俊子に気もそぞろ。逢瀬を俊子の夫に見つかり姦通罪で入獄。白秋の才能を眠らすまいと与謝野夫妻が奔走し釈放されるが、恩も顧みずのうのうと俊子と結婚。その刹那、俊子は家出、白秋は入水自殺を図るが蟹に足を噛まれ断念。そんなおバカな白秋と洋行帰りの音楽家・山田耕筰に鈴木三重吉は童謡創作の白羽の矢を立てる。才能がぶつかり反目する二人だが、関東大震災の惨状を前に打ちひしがれた子供たちを元気づけるため、手を取り合い数々の童謡を世に出す。しかし、戦争の暗雲が垂れ込める中、子供たちを戦場に送り出す軍歌を創るよう命ぜられた二人は苦悩の淵に・・・。
監督 佐々部清
出演 大森南朋、AKIRA、貫地谷しほり、松本若菜、小島藤子、由紀さおり、安田祥子、津田寛治、升毅

2019年1月14日
TOHOシネマズ岡南
★★★



「クリード 炎の宿敵」

正統ボクシング映画。アメリカのボクシング映画が、日本のそれと比べて面白いのは、ヘビー級の映像が全くウソには見えないからだろう。


だから、ボクシングと人生の生きる目的をリンクさせるお話が、ウソに思えない。都合よく、子供に障害があって、妻もシンガーで試合時に一緒に闘えるし、復讐や恨みという構造から離れて、ロッキーの役割が面白かったり、するのも自然に思える。


ただ唯一、ヴィクターの母親が試合途中で席を立ったのはやりすぎだ。そうする必然性は全くない。


(解説)
ロッキーのライバル、アポロの息子アドニスの成長を描いた「クリード チャンプを継ぐ男」の続編。ロッキーの指導を受け、一人前のプロボクサーに成長したアドニスは、ついに父の仇であり、かつてのロシア王者ドラゴの息子ヴィクターとの対戦を迎える。出演は「ブラックパンサー」のマイケル・B・ジョーダン、「ロッキー」のシルヴェスター・スタローン、「エクスペンダブルズ」のドルフ・ラングレン。監督は前作のライアン・クーグラーから新鋭スティーヴン・ケイプル・Jrにバトンタッチ。
(あらすじ )
ロッキー(シルヴェスター・スタローン)最大のライバルにして親友だったアポロ・クリードは、ロシアの王者イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と壮絶な戦いを繰り広げた末、帰らぬ人となった。歳月は流れ、ロッキー指導の下、一人前のプロボクサーに成長したアポロの息子アドニス(マイケル・B・ジョーダン)は、ついに父の仇・ドラゴの息子ヴィクター(フローリアン・ムンテアヌ)との対戦を迎える……。

2019年1月14日
TOHOシネマズ岡南
★★★★







最終更新日  2019年02月11日 09時47分36秒
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2019年02月10日
カテゴリ:洋画(12~)

1月に観た映画は9作品でした。三回に分けて紹介します。



「私は、マリア・カラス」

テーマ作品に選ばれなかったら、永遠に観なかった世界。オペラの歌というだけでなく、音楽全般が苦手。でも、私がカラスの特別な才能を目の辺りにしているのは理解している。

声量が続く人は多いのかもしれない。けれども、表情とともに歌える人は多くは無い。と思う。

大きな目玉と、大きな口、そして巨大な鍵鼻。宮崎駿アニメに出て来る魔女そっくりの特徴的な迫力ある顔から、この世のものとは思えない音楽が発せられる。人類は、そういうものに、数十万年間反応して来たのかもしれない。

(解説)
3年間かけて世界を回り、マリア・カラスの友人たちを探し出しました。彼らは誰も見たことのない数多くの資料を保管していて、それらはマリア・カラスのとても個人的な記録でした。自叙伝と400通を超える手紙を読み終えた時に、やっと見えてきた〈マリア・カラスの姿〉が映画の最も重要な部分になることを確信しました。またその過程で、楽曲に関しても、観客によって撮影されたコンサートやオペラの映像をはじめ、幸運にも、これまで聴いたことのない数々の録音にアクセスできました。

今回、彼女と親しかった数え切れないほどの人々に会いましたが、彼女自身の言葉ほど強く、印象的な証言はなかったので、映画の中に他の人の証言はほぼ入れず、彼女の言葉だけでつなぐことを決めました。

彼女が書き残した言葉が世に出るのも、多くの真実が明かされるのも初めてなので、本作では、彼女の熱狂的なファンさえも知りようのなかった〈マリア・カラス〉が見られます。ライトを浴び、特別な運命を辿ったレジェンドの影に隠れていた〈一人の女性〉について、きっと深く理解していただける映画になったとおもいます。
―監督:トム・ヴォルフ
2019年1月2日
シネマクレール



「鈴木家の嘘」

予想とは違って、冒頭のお母さんの作るお昼ご飯が丁寧で、そこからこの作品いいんじゃないの?とお家族全員の「演技」に「嘘」が全然感じられなかった。

唯一の「嘘」と思えるのは、ピッタリタイミング良く現れる何回かのコウモリ君であって、他は自殺された家族の有り方を丁寧に丁寧に写し取ったと思う。

自殺された家族は基本的に救われない。人に語ることが1番大きな癒しになる。お母さんと妹には、その道はあったが、お父さんにはない。だけど、お父さんは忘れる能力があるだろう。結果、自殺する人に直前に見せると逆効果だろうから、10年前に観て欲しい。無理かな(^^;)。

妹の富美を演った木竜麻生は、表情は少ないけど、時々爆発する役柄であり、新人ながら力演だったと思う。途中から、すっかり「妹」にしか見えなかった。

リアルなのに、そこかしこで観客を笑わし、泣かせもする見事な脚本。この作品が賞レースに絡まないならば、その賞レースは信用しない。

(解説)
鈴木家の長男・浩一がある日突然この世を去った。ショックのあまり記憶を失った母のため、遺された父と長女は一世一代の嘘をつく。「引きこもりだった浩一は家を出て、アルゼンチンで働いている」と。父は原宿でチェ・ゲバラのTシャツを探し、娘は兄に成りかわって手紙をしたため、親戚たちも巻き込んでのアリバイ作りにいそしむ。すべては母の笑顔のためにーー!母への嘘がばれないよう奮闘する父と娘の姿をユーモアたっぷりに描きつつ、悲しみと悔しみを抱えながら再生しようともがく家族の姿を丁寧に優しく紡ぐ感動作。家族の死と、そこからの再生という重厚なテーマを心に沁みいるハートウォーミングな喜劇に仕立てた、まったく新しい家族映画の傑作が誕生した。

鈴木家の家長・幸男役に岸部一徳、母・悠子役に原日出子、引きこもりの長男・浩一役に加瀬亮が扮し、いずれも見事な演技を披露するほか、瀬々敬久監督作『菊とギロチン』で主演の女力士を演じ注目された新星・木竜麻生が長女・富美を演じ、瑞々しい輝きを放つ。そのほか岸本加世子や大森南朋ら演技派が個性的なキャラクターの親族を魅力的に演じ、画面を明るく彩る。 『滝を見にいく』(沖田修一)、『恋人たち』(橋口亮輔)などを生み出した松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第6弾となる本作は、橋口亮輔(『恋人たち』)、石井裕也(『舟を編む』)、大森立嗣(『セトウツミ』)ら名匠たちの助監督を務めてきた野尻克己の監督デビュー作。脚本も、監督が自身の経験を基に手がけたオリジナルで、家族の再生をあたたかなユーモアで包みこんだ物語は岸部一徳ら名優たちをもうならせ、出演を快諾させた。

2019年1月6日
シネマ・クレール
★★★★



「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

原作との差異を確かめたくなった。親や叔父さん叔母さんの死に際を看取った事はあるけど、老人介護の現場で仕事しているけど、まるきり違う介護の現実がありそうだ。やはり体験してみないことには、わからない事は多そうだ。

最初の頃の高畑充希の「この人、何様⁈」と思っている表情に説得力あって、良かった。大泉洋の鹿野さんそのモノのような演技に、もしかしたら彼の代表作になるかもしれない説得力を感じた。

感動押し売りにならずに、きちんと笑わせる。こういう映画は貴重である。ただし、テーマが「ボランティアから見た障害者」であり、決して「障害者から観た障害」ではない。そこには、まだまだ描かれない事は多いと思う。また、NPO法人の運営者である萩原聖人、渡辺真起子、宇野祥平の本当の活動は省略されていて、ボランティアの本当の姿もまだまだ描かれてはいない。また、そこを描いていいのか、どうかも私には判断できない。
(解説)
鹿野靖明、34歳。札幌在住。幼少の頃から難病の筋ジストロフィーを患い、体で動かせるのは首と手だけ。人の助けがないと生きていけないにも関わらず、病院を飛び出し、風変わりな自立生活を始める。自ら大勢のボランティアを集め、わがまま放題。ずうずうしくて、おしゃべりで、ほれっぽくて!自由すぎる性格に振り回されながら、でも、まっすぐに力強く生きる彼のことがみんな大好きだった―。この映画は、そんな鹿野靖明さんと、彼に出会って変わっていく人々の人生を、笑いあり涙ありで描く最高の感動実話!
実在した人物・鹿野を演じるのは、同じ北海道出身の俳優・大泉洋。減量で最大10キロ痩せるなどの容姿面を似せるだけでなく、彼の人間的な魅力をユーモアたっぷりに体現する。鹿野に反発しながらも、少しずつ心を開いていく新人ボランティアの安堂美咲役には、高畑充希。何も知らない感情豊かな女の子が、鹿野の最大の理解者へと成長していく姿を、伸びやかに演じる。その美咲の恋人で医大生の田中久を演じるのは、三浦春馬。将来や恋に悩みながらも、鹿野と触れ合う日々を通じて変わっていく青年を、繊細に演じる。その他、萩原聖人、渡辺真起子、宇野祥平、韓英恵、竜雷太、綾戸智恵、そして原田美枝子と、本格派・個性派キャストが勢揃い。佐藤浩市も友情出演し、豪華な俳優陣が脇を固める。
監督は『ブタがいた教室』『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ』など、デビュー以来「命」と「生きること」をテーマに映画を創り続ける前田哲。原作は、第35回大宅壮一ノンフィクション賞と第25回講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した渡辺一史の名著「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」。実際に鹿野靖明さんが暮らしていた札幌や、美瑛・旭川などのオール北海道ロケで撮影が行われた。
誰もが見たことのない力強い人生に、生きる力と希望が溢れ、笑いと涙が止まらない!この冬、最高の感動作が誕生します。
(ストーリー)
北海道で医大に通う田中(三浦春馬)は、ボランティア活動を通じて体が不自由な鹿野(大泉洋)と出会う。鹿野は病院を出てボランティアを募り、両親の助けも借りて一風変わった自立生活をスタートさせる。ある日、新人ボランティアの美咲(高畑充希)に恋をした鹿野は、ラブレターの代筆を田中に頼む。ところが美咲は田中の恋人だった。
(キャスト)
大泉洋、高畑充希、三浦春馬、萩原聖人、渡辺真起子、宇野祥平、韓英恵、竜雷太、綾戸智恵、佐藤浩市、原田美枝子
(スタッフ)
監督:前田哲
脚本:橋本裕志
音楽:富貴晴美
原作:渡辺一史

2019年1月7日
Movix倉敷
★★★★







最終更新日  2019年02月10日 09時12分57秒
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