3470959 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【お気に入りブログ登録】 【ログイン】

再出発日記

PR

フリーページ

カテゴリ

お気に入りブログ

Milch ラムレーズン … New! zuka0506さん

『装丁、あれこれ』1 New! Mドングリさん

男尊女卑は平安の世… New! Photo USMさん

「箱根山」獅子文六 New! 七詩さん

アメリカでゴルフし… New! lalameansさん

カレンダー

全3834件 (3834件中 1-10件目)

1 2 3 4 5 6 >

2018年04月20日
XML
テーマ:本日の1冊(2721)



「記紀歌謡集」武田祐吉校注  岩波文庫

初版は1933年(昭和8年)。今年2月のリクエスト復刊で、手にすることが出来た。この一冊の中に、古事記と日本書紀の歌謡の歌と詞書のほほすべてが入っている。反対に言うと、それしか入っていない。校注はある、原文もある。しかし作品解説も編者の意見も何も無い。戦前では、これで十分だったのかもしれない。世間は、記紀から流用した「言葉」が溢れていた。


例えば、「撃ちてしやまぬ」という言葉は記紀両方にあるが、神武天皇の戦いの場面で出てくる言葉である。しかし、万葉集はもちろんのこと、支配者国選歴史書である記紀においても、「戦いの歌」は極めて少ないということがこの本を読んでいるとわかる。編者は、著書目録を調べると、学者バカぽい日本文学者だったが、この時期にこれを出版したのは、何かの意図があったような気もする(もしかして岩波茂雄の意図か)。


記紀には有名な歌が幾つもある。「出雲立つ」という冒頭第一句と並び、日本書紀には景行天皇の歌として


愛しきよし 我家の方ゆ
雲居立ち来も
倭(やまと)は  国のまほろば
畳(たたな)づく 青垣
山籠れる 倭し美(うるわ)し
命の  全(まそ)けむ人は
畳薦(たたみごも) 平群(へぐり)の山の
白橿(しろかし)が枝を  うずに挿せ
この子


古事記では息子のヤマトタケルの歌として出ている。書紀の方は、古事記よりも遥かに洗練度が増している。「国を偲ぶ歌」として、時代を超えるべき歌であると思う。


この本には「原文」も載っている。最初に倭国語があって漢字を使っていることが、読んでいてわかる。例えば「雲居立ち来も」は「区毛位多知区暮」と書く。そうであれば、「雲」も、「立つ」も、「来る」も、助詞の「も」も、古代日本語であることが実感出来る。又楽し。

2018年4月読了







最終更新日  2018年04月20日 10時54分17秒
コメント(0) | コメントを書く
2018年04月18日
カテゴリ:洋画(12~)
今月の映画評です。



「沈黙ーサイレンスー」
島原の乱が鎮圧されて数年後の長崎、捕らえられたイエズス会の宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)は、遂に踏絵を踏みます。その直前、彼はキリストの「それで良い、踏むのだ」という声を聴くのです。これが、この映画のクライマックス。ネタバレ承知でコレを書くのは、ここに至るドロリゴの葛藤をいろいろと想像するのが、この作品の醍醐味だからです。曰く。

確かにロドリゴは、殉教するよりも棄教する方が支配者のプロパガンダに乗ることを知っていました。果たして、ロドリゴは転向したのか、否か?
何度も転向を繰り返し、ドロリゴを裏切る貧農民キチジロー(窪塚洋介)の存在は、この物語にとって何を意味しているのか?

……答は一つではないでしょう。ただ、マーチン・スコセッシ監督が並々ならぬ決意でもって作ったのは、確かです。日本の役者もそれに応えて端役(塚本晋也、浅野忠信、小松奈菜、加瀬亮)に至るまで力演していて、かなり見応えがあります。特に、飴と鞭を使い分けて巧妙にロドリゴに棄教を促す井上筑後守を演じたイッセー尾形の造形は、単なる悪役ではなく、誠実な知性をも垣間見せる「怪演」でした。彼の「日本にはキリスト教は根付かないのだ」という理屈は、私をも「一理ある」と思わせる部分があります。しかし、人間の思想を権力が強制・弾圧するのは言語道断であり、現代の私は井上を決して許しません。「鞭」の部分の教徒に対する拷問は、熱湯、波死、溺れ死、逆さ吊り、首切り等々と陰惨を極めていて、観る方も覚悟が要ります。これらの描写は、最近のイラク戦争で問題になった米兵の拷問に触発されているのかもしれません。

遠藤周作の原作を禁書扱いにしたキリスト教圏内では賛否の分かれる作品であることから、昨年の映画賞ではあまり話題になりませんでした。でも日本人こそは、この作品をきちんと観て正当に評価するするべきだと私は思います。去年私はちょうど100作品観ましたが、これはベスト3に位置する力作でした。

ちなみに、私はこのように思っています。ロドリゴは転向しませんでした。また、キチジローはロドリゴの分身という位置づけだったと思います。2人の最後の無言の会話がとっても重要です。「主よ、私はあなたの沈黙と闘いました」「私はお前と共に苦しんだ。沈黙していたのではない」殉教のような勇ましい戦いにのみ神は微笑むのか、そうではない。神は常に弱い者に寄り添っておられる、という監督の想いが伝わるラストでした。(2017年作品、レンタル可能)






最終更新日  2018年04月18日 11時05分56秒
コメント(2) | コメントを書く
2018年04月17日
テーマ:本日の1冊(2721)


「デイズジャパン2018年4月号」
表紙写真は、在宅医療を行うやまと診療所の医師が、自宅で亡くなった佐藤さんの手首の動脈に触れ、脈拍がないことを確認した。末期の肺がんを患っていた佐藤さんは、身よりもなく、誰かに看取られることもなかった。東京都。2017年9月13日。Photo by 花井亨/ロイター/アフロ。

特集は「世界一の超高齢大国・日本 死に場所がなくなる日」である。病院に入れない高齢者が激増している。

驚いたのは、現在でも「約3万人以上が孤独死と推計されている」らしい。自殺者が年間3万人を越えてニュースになり、最近やっと数が少なくなりつつあるあるけれども、また新たな「戦争」とも言っていい「不幸な死」が増えてきている。これの根拠は、東京都の死後2日以上経過して発見された孤独死の数を調べた後、東京都の孤独死発生率を全国65歳以上の高齢者の数に当てはめて計算したもの(2万6821人)に65歳未満を含めて勘案したものらしい。つまりはっきりと調べられていないけど、私もそのぐらいはあると思う。

世界高齢化率の推移の表をみた。1990年ごろまでは先進7カ国中の最下位だった日本が、10数年で一躍トップに躍り出ている。日本でそれをお祝いした事実はもちろんない。私の記憶でも20年ほど前までは、60歳は「隠居して老人として過ごすベキ人たち」だった。今、そう考えている日本人は、総人口の何割ぐらいいるのだろうか。そのせいで、昔は若者が赤ちゃんと老人を支えないといけないから、年金破綻が言われたが、今はその根拠がどんどん変わっている。でも、年金支給歳が、つい最近60歳から65歳に変わったのに、今度は68歳と言われるようになった。文書を「改ざん」して、言うことがコロコロ変わる政治家や役人に、そんなことを決めて欲しくない。

独り暮らしの労働者にとって、超高齢大国は、不安で不安で仕方ない。足腰が立たなくなったとたん、目が見えなくなったとたん、認知症になったとたん、今迄思い描いてきた「老後」は、「孤独死」に向かっていくだろう。何が出来るのか?考えていかねばならない。

「私の取材機材(10)」という記事があった。プロのカメラマンがカメラをどのように使い分けているか、説明したものだ。読者に多いはずのカメラマン志望にはもちろん有益な情報だろうが、素人の私にも興味深い記事だ。しかしこの読み始めた2年間で、この手の記事に接したのは初めてのような気がする。連載10回目というのだから、過去はよく載っていたのだろう。これからも載せることを希望する。

ハンセン病回復者・伊波敏男氏の文章は、岡山県の長島愛生園の体験が多く書かれていて、私にもまだまだ知らないことが多くあったことを知らされた。彼処に1度行って見なくてはならない。

2018年4月16日読了






最終更新日  2018年04月17日 22時49分23秒
コメント(0) | コメントを書く
2018年04月16日


「ビッグイシュー332号」
ゲット!
表紙はリーアム・ニーソン。彼もヒット作「96時間」や現在公開中の「トレイン・ミッション」に出演する一方で、単館系映画に出演する。スコセッシの「沈黙-サイレンス-」では、長崎奉行の巧妙な精神的拷問に棄教した司祭というむつかしい役を演じた。

特集は、「変形菌」である。私には、南方熊楠が研究した「粘菌」という言い方の方が親しい。とはいえ、読むのを躊躇した。はまってしまうと抜け出せなくなるような気がして怖いのである。

「ワンダフルライフ」で紹介されていた、オフグリッド(自給・自立)な暮らしとゲストハウスを営んでいる森雄翼さんの話が、心に残った。和歌山県新宮市熊野川町宮井437で、営業をしているのは「ゲストハウスikkyu」。是非一度行きたい。「凡人でもできる自給自立」を体験してみたい。

「ホームレス人生相談」と、「枝元なほみの悩みに効く料理」は、時々微妙に悩みに対する回答が違うけれども、今回は一致していた。「毎回友人が10分くらい遅れてくる。ストレスが溜まってしまう。なんとかならないか?」という20代女性の意見に対して、「その10分間を楽しめばいいのでは」というものでした。私もそう思いました。私の待てる限度は、30分から1時間でしょうか。たいていは必ず持っている本を読んで過ごします。

2018年4月読了






最終更新日  2018年04月16日 18時57分58秒
コメント(0) | コメントを書く
2018年04月15日
テーマ:本日の1冊(2721)


『希望の海 仙河海叙景』熊谷達也 集英社

震災に遭った気仙沼市をモデルに、架空の市の仙河海市に暮らす人々を描いたシリーズの5番めの上梓。震災1日前までを扱った7篇の短編と震災後を扱った2篇の短編から為る。題名に初めて「仙河海叙景」という言葉を使った。作者本人が佐藤泰志の『海炭市叙景』を読んで言葉を失っていた自分が「書けるかもしれない」と思ってシリーズを始めた、と告白している。よって、今迄5冊シリーズを読んできて、この短編集が1番力が入っていたと思う。反対にいえば、他のシリーズが、ここから派生した説明版にさえ思える。実際は書いた順番から言っても違うのだろうけど。この後「揺らぐ街」を上梓して、明治時代まで時間軸を遡る。何処かで「10冊まで書けば何か意味のある仕事になっているかも」と言っていたらしいから、それも予定に入っているのだろう。

人物は100人以上に登るらしい。実際そのぐらいまでいかないと、ひとつの街は描けないだろう。
この本だけでも登場人物は多い。よって覚書。登場人物の名前と年齢を記していないと、過去と未来において、どのような関係があるかわからなくなる。年齢は2011年3月段階の歳(推測もあるので間違いはあるかもしれない)。
早坂希(35)早坂めぐみ(希の母)遠藤遼司(45)昆野笑子(35)佐藤真哉(35)結衣(若い)小野悟志(29)小野香苗(29)小野瑠維(子)小野隆志(35)村上美樹(35)菅原優人(高2)匠(高2)小野寺靖行(35)菅原幸子(中3)菅原貴之(50)菅原多香子(53)吉大(33)マスター(元文学青年)小川啓道(33)俊也(33)晴樹(31)菊田清子(81)菊田守一(86)菊田守(長男)美砂子(次女)菊田玲奈(23)真知子(守一の訳あり)村上昴樹(小4)瑛士(小4)侑実(先生)瑞希(小4)尚毅(小4)潤(小4)葉月(小4)村岡倫敏(50)小山千尋(26)村岡陸(25)渉(中3)村岡の父(81)祖父(農業・海苔)村岡晃子(53)晃子の父(仙台市役所職員)晃子の祖父(石巻で牡蠣養殖)村岡ひなた(19)翔平(中3 瑞希の兄)川島聡太(35)上村奈津子(35)

2018年4月読了






最終更新日  2018年04月15日 11時10分08秒
コメント(0) | コメントを書く
2018年04月14日
カテゴリ:洋画(12~)

後半の三作品です。




「シェイプ・オブ・ウォーター」

どうして60年代なのだろうか?それは、まだ世の中の矛盾が明確化されていなくて、恋も醜さも混沌の中にあったからだろう。生き物は怪獣か神か、宇宙人か超能力者かもわからないままに、この恋物語は終わりを告げる。


「本当のわたしをまっすぐに見てくれる」


現代の様々な(戦争に繋がる)悪徳は、この恋の魔法で、ことごとく解決して欲しい。というような「願い」も深読みできるような物語。


悪役・ストリックランドのマヌケとも不気味とも思える悪徳振りは、この世界をカルチャライズしているかのようだ。それにしても、先に手を洗って手を使わないで用をたすような男って、世の中にはいるのかしら。


「生き物」は、しばらくするとグロテスクからは程遠く、かつ美しくなる。これが映画の魔法というものだろう。出来たらアマゾンでの彼の勇姿も観たかった。


(解説)
本年度アカデミー賞® 4部門受賞
作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞受賞
ギレルモ・デル・トロ自らがオファーしたという絶妙なキャスティングが実現。ヒロインのイライザを演じるのは、『ブルージャスミン』でアカデミー賞®にノミネートされたサリー・ホーキンス。溢れんばかりの感情を、言葉を発することなく全存在をかけて表現、その渾身の演技は、本年度の主演女優賞レースでも本命視されている。
イライザを温かく支え、姉妹のように何かと面倒を見る同僚のゼルダには、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』でアカデミー賞®を受賞のオクタヴィア・スペンサー。イライザの決断に危険を承知で手を差し伸べる心優しき隣人ジャイルズには、『扉をたたく人』のリチャード・ジェンキンス。イライザと“彼”を執拗に追い詰めるストリックランドには、2度のアカデミー賞®ノミネートを誇るマイケル・シャノン。
そして、“彼”に扮するのは、デル・トロ監督の『ヘルボーイ』でエイブ・サピエンを演じて絶賛されたダグ・ジョーンズ。監督の期待に応え、人間の女性でも「彼となら恋に落ちる」と確信できる、魅力的かつ官能的なキャラクターを生み出した。
音楽は、『グランド・ブダペスト・ホテル』でオスカーを獲得したアレクサンドル・デスプラ。アナザーワールドへと誘う甘美な音色が、細部まで徹底的にこだわった美術や衣装と一つに溶け合い、観る者はまるで夢の中を泳いでいるようなアメイジングな映像を体験できる。
アンデルセンの「人魚姫」から、『シザーハンズ』や『美女と野獣』まで、いつの時代も愛されてきた、種族を超えたラブストーリーの新たなる傑作が誕生した。
同時に、不安な世界情勢を抱える現代と重なる1960年代の冷戦下を舞台に、社会からはみ出したアウトサイダーたちの権力への反乱もユーモラスかつサスペンスフルに描く、心躍る人間ドラマとしても唯一無二の作品が完成した。
(ストーリー)
1962年、アメリカ。政府の極秘研究所に勤めるイライザは、秘かに運び込まれた不思議な生きものを見てしまう。アマゾンで神のように崇められていたという“彼”の魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。※R15+

監督 ギレルモ・デル・トロ
出演 サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スツールバーグ、オクタヴィア・スペンサー
[上映時間:124分 ]

2018年3月21日
TOHOシネマズ岡南
★★★★

http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/sp/



「ちはやふるー結びー」

ネットの評判がすこぶるいいので、観た。確かに退屈せずに、「チャンスを活かす」「一瞬が永遠になる」とかのメッセージを、青春物語に仕立てていて、しかも退屈しない。いいんだけど、傑作かと問われると、どんなんだろ。結局、松岡茉優VS広瀬すず、賀来賢人VS新田真剣佑との勝負を観たくて、千早の耳の良さがどう活きて行くのか、観たくて期待していたのに、肩透かしを貰った感じ。いやあ、若い女の子はみんな可愛くて良かったんだけどね。


(ストーリー)
瑞沢高校競技かるた部員の綾瀬千早(広瀬すず)と若宮詩暢(松岡茉優)が、全国大会で激闘を繰り広げてから2年。真島太一(野村周平)、綿谷新(新田真剣佑)らと共に名人・クイーン戦に挑む千早だったが、詩暢と戦えない自分の実力不足を痛感する。そんな中、千早たちの師匠・原田秀雄(國村隼)が史上最強の名人とされる周防久志(賀来賢人)に敗れてしまい、新が彼に挑戦状をたたきつける。その後3年生になった千早は、高校最後の全国大会に向けて動くが……。
(キャスト)
広瀬すず、野村周平、新田真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也、優希美青、佐野勇斗、清原果耶、松岡茉優、賀来賢人、坂口涼太郎、松田美由紀、國村隼
(スタッフ)
原作:末次由紀
監督・脚本:小泉徳宏
音楽:横山克
主題歌:Perfume


2018年3月23日
Movix倉敷
★★★☆




「ナチュラルウーマン」

もっと有為転変があるのかと思いきや、極めてナチュラルに物語が進んで、普通に落ち着いていったので、結局この作品は、(そういえばアップ画面が多い)この「女優」をずっと追いかけるドキュメンタリーなのかもしれない。まさか、あれが全部演技じゃないはず。チリのジェンダー環境は、日本に近い気がする。登場人物の半分ぐらいは彼女を理解している。


ラストの犬はどうやって手に入れたのか?
彼女は最初からあの劇場の歌手だったのか?

等々、突発的な展開が、意見が分かれるところだろう。


ただ、このようにじっくりトランスジェンダーに付き合ったのは初めてかもしれない。声とか身体つきとか、じっくり見ると直ぐにオトコだとわかるのだけど、仕草や表情、さらには演技か本心かわからない心は、確かに「オンナ」に思える。しかもホントに美しい。確かにこういう女性に出会ったときは、女性として接しなくちゃならないと、心に誓う。


(見どころ)
『グロリアの青春』などのセバスティアン・レリオが監督と脚本を担当した人間ドラマ。最愛の恋人をなくし、いわれのない偏見や差別にさらされながらも誇り高く生きるトランスジェンダーの主人公を映す。主演を務めるのは、自身もトランスジェンダーのシンガーであるダニエラ・ベガ。フランシスコ・レジェス、ルイス・ニェッコらが共演している。
(あらすじ)
ナイトクラブで歌っているトランスジェンダーのシンガー、マリーナ(ダニエラ・ベガ)は、チリの首都サンティアゴで年齢差のある恋人オルランドと同居していた。マリーナの誕生日を祝った晩、家に戻ると急にオルランドの意識が遠のき、そのまま他界する。彼が亡くなったことでマリーナは予想外のトラブルに見舞われ……。


2018年3月26日
シネマ・クレール
★★★★







最終更新日  2018年04月14日 10時36分50秒
コメント(0) | コメントを書く
2018年04月13日
カテゴリ:洋画(12~)

3月に見た映画の中盤の3作です。3つとも「思ったよりは良かった」。



「ロング,ロングバケーション」

末期ガンの妻と認知症患者の夫。2人が入院を放り出してルート1号線をひたすら南へ。ヘミングウェイの家のあるフロリダ州キーウェストを目指す。

ヘミングウェイは最後に自殺をしたというようなセリフが、冒頭近くに語られるので、全体のトーンはかなり明るいのだけど、わたしはかなり緊張して見ていた。日本やヨーロッパの映画ならば、明るい道行きでもきっと、深刻な問題を提示するはずなのだけど、これがアメリカ映画なのか、最後まで明るい。


そもそも認知症患者に長距離運転させるなんて、最初から自殺行為なのだけど、どうやら成立してしまう。

ヘレン・ミレンは何度も素顔を晒して、女優魂を見せるし、サザーランドは、まだら模様のアルツハイマー患者を自然に演じていた。ほとんど2人の2人芝居なので、安心して楽しめる。「あなたは英雄よ」。「ア・ムール」と全く両極端の夫婦の姿がある。

社会派を拒否する内容なのだけど、2016年の大統領選挙の熱狂を、「強い合衆国を取り戻す」というデモの光景を、なぜ無批判のごとくに取り入れたのか?どうもよくわからない。(しかも、冒頭と中盤2回も!)


(解説・ストーリー)
元文学教師でアルツハイマー病のジョン(ドナルド・サザーランド)と末期がんの妻エラ(ヘレン・ミレン)の結婚生活は、半世紀を過ぎていた。子供たちもすでに独り立ちして家を出た今こそ二人きりの時間を楽しもうと、彼らは愛車のキャンピングカーで旅に出る。目的地は、ジョンが大好きな作家ヘミングウェイの家があるフロリダのキーウェストで……。『人間の値打ち』などのパオロ・ヴィルズィが監督を務めたロードムービー。原作はアメリカの作家マイケル・ザドゥリアンの小説。『クィーン』などのヘレン・ミレン、『ハンガーゲーム』シリーズなどのドナルド・サザーランドらが出演している。

2018年3月18日
シネマ・クレール
★★★★



「北の桜守」

あまり話題になっていないので、ガラガラかと思いきや、年配層ばかりだけど、半分くらいの席が埋まっていて、充分に客を呼んでいた。流石、吉永小百合である。日本の誇る最後の映像女優だろう。


(ここから突然70代のおっさんになったつもり)
良かった。ええもん見させてもらった。昨日今日の若造には、この絵の良さはわからん。きっと若い衆らは、SNSとかなんとかいうもんで、吉永小百合が1人で30代前半から66歳まで描かれるのは無理があるとか、樺太からの避難場面を舞台演出で見せるのは予算削減の幻滅場面だとか書いておるのじゃろう。わしらがボケとるから脚本に舐められておるんじゃと揶揄するものまでおる。サユリストは、なんでも許すんじゃと。それは、映画を「ちゃんと」観ん奴の繰り言じゃ。虚心坦懐によおう観てみい。小百合さまは、老人の動きをしとったか?現在74歳の小百合さまは、身体を張って海に溺れ、野原を駆け、ブリザードの中を歩き、峻烈な山を登っておった。何処も年齢なんて感じさせんかった。それに、舞台演出は、流石に樺太ロケは無理というもんがあったゆうのもあるけど、それ以上に見事な心理描写になっとったろうが。

もちろんお涙頂戴場面はあったんかもしれん。わしも、久しぶりにボロボロになったわ。それ以上に、知られざる「北の引き揚げ者」の戦前戦後の苦労を、ここまできちんと見せてくれて、戦争の実像を改めて示すのは、意義あることじゃなかろうか。(以上呟き終わり)

北の三部作。監督は全部違うけど、脚本家だけはベテラン女性脚本家の那須真知子。この14年間、彼女の執念が見せた世界だろう。

(STORY)
1945年、樺太で暮らす江蓮てつ(吉永小百合)は、8月にソ連軍が侵攻してきたために2人の息子と一緒に命からがら北海道の網走まで逃げる。凍てつく寒さと飢えの中、てつたち親子は必死に生き延びるのだった。1971年、アメリカで成功を収めた次男の修二郎(堺雅人)は日本初のホットドッグ店の社長として帰国し、網走へと向かう。
(キャスト)
吉永小百合、堺雅人、篠原涼子、岸部一徳、高島礼子、永島敏行、笑福亭鶴瓶、中村雅俊、安田顕、野間口徹、毎熊克哉、阿部寛、佐藤浩市
(スタッフ)
監督:滝田洋二郎
脚本:那須真知子
舞台演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
音楽:小椋佳、星勝、海田庄吾
撮影監督:浜田毅
上映時間126分
http://www.kitanosakuramori.jp/sp/index.html
2018年3月19日
Movix倉敷
★★★★




「リメンバー・ミー」

物語の展開は、中盤で既に読み読みなのが弱点だけど、日本のお盆とは違って、なんともカラフル、陽気な「死者の日」の細かい民俗描写、死者の国の見事な造形が、とっても魅力的な作品。

マリーゴールドの橋の美しいこと!

写真を飾らなくても、生者が死者の事を思い出せば、死者の国で死者は「第二の死」を体験しなくて済むというのならば(そもそも昔は写真なんてなかった)、ミゲルが生者の国に帰った時点でヘクターの願いは聞き入れられるはずという矛盾には、とりあえず目をつむっておこう。年一度しか帰れないのに、みんなパーティを楽しんでいるのも目をつむっておこう。だって、「時を越えて、わたしたちを導き支えてくれた人たちを忘れない」という誓いは真実だから。


(STORY)
過去の出来事が原因で、家族ともども音楽を禁止されている少年ミゲル。ある日、先祖が家族に会いにくるという死者の日に開催される音楽コンテストに出ることを決める。伝説的ミュージシャンであるデラクルスの霊廟に飾られたギターを手にして出場するが、それを弾いた瞬間にミゲルは死者の国に迷い込んでしまう。元の世界に戻れずに困っていると、ヘクターという謎めいたガイコツが現れ……。

キャスト
(声の出演)、アンソニー・ゴンサレス、ガエル・ガルシア・ベルナル、ベンジャミン・ブラット、アラナ・ユーバック、レニー・ヴィクター、ハイメ・カミーユ、アナ・オフェリア・ムルギア、ナタリア・コルドバ=バックリー、ソフィア・エスピノーサ、(日本語吹き替え)、石橋陽彩、藤木直人、松雪泰子、大方斐紗子、大抜卓人、カイミ、シシド・カフカ、鈴木拡樹、高柳明音、多田野曜平、立木文彦、チョー、恒松あゆみ、寺田ちひろ、茂木欣一、安野希世乃、渡辺直美

(スタッフ)
監督・原案:リー・アンクリッチ
共同監督・原案・脚本・歌曲:エイドリアン・モリーナ
製作:ダーラ・K・アンダーソン
製作総指揮:ジョン・ラセター
原案・脚本:マシュー・オルドリッチ
原案:ジェイソン・カッツ
歌曲:クリステン・アンダーソン=ロペス、ロバート・ロペス、ジャーメイン・フランコ
音楽:マイケル・ジアッキノ
上映時間105分

2018年3月20日
Movix倉敷
★★★★







最終更新日  2018年04月13日 13時13分06秒
コメント(0) | コメントを書く
2018年04月11日
カテゴリ:邦画(12~)

3月に観た映画は10作品でした。久しぶりに二桁に乗った。比較的いい作品が多かったようにも思う。三回に分けて紹介する。



「15時17分、パリ行き」

終わってみて、主人公たちは事件の当事者本人たちだったのに気がつく。全く違和感がない。むしろ、ストーンなどは10キロ以上のダイエット場面(実際は太ったのか?)をやっていて、俳優魂さえ感じる。

私は、94分間の上映時間をフルに事件発端から終わりまで時系列に映すのかと想像していた。違っていて、3人組の子ども時代、そして事件直前までの若者らしい旅のエンジョイを丁寧に写していた。


そこでわかるのは、彼らはホントに「普通の若者」だということだ。驚くほどに。むしろ、中学生時代は、毎日校長室に呼び出され、ADDだから薬を飲めといわれ、私ならば社会的問題にするようなことを言われる。でも普通の若者に彼らは育つ。親が良かったのかもしれない。けれども、彼らはいざという時に、やるべきことをした。そのことがヒーローの本当の実態なのだ、ということも、描く。更に言えば、保守派のイーストウッドらしく、キリスト教の最良の教えを全面に出した。


傑作じゃないけど、とても良い映画だった。


見どころ:クリント・イーストウッド監督が、2015年8月に高速鉄道で起きた無差別テロ事件を映画化。列車に乗り合わせていた3人のアメリカ人青年がテロリストに立ち向かう姿を描く。事件の当事者であるアンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーンを主演俳優に起用し、当時列車に居合わせた乗客も出演。撮影も実際に事件が起きた場所で行われた。

あらすじ:2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、二人の友人の大学生アンソニー・サドラーが犯人に立ち向かう。


2018年3月6日
ムービックス倉敷
★★★★




「嘘八百」

映画とは、元々まがい物を如何に本物らしく描くか、が問われるモノである。だから、これは監督と脚本家の人生を描いているとも言える。前回の「百円の恋」は見事だった。まんまと快く騙された。今回は、どうかな、という点が1、2ある。それならば良いではないか?と言われそうだが、快く騙されるためには、1つでもあればダメなのである。


ホントは5点満点で3点だった。でも、エンドロールで取り返した。そうだよね、いくらなんでもあんな多額の現金もって外国へ行けるはずがない。ただ、大の男2人がそのことに気がつかないというのは、如何なものか?いや、気がついて見逃したのだ。だから「あいつがやっと男になった」と言ったのだ。と解釈は可能かもしれない。と思ったところで、「快く騙され」つつあることに気がつく。もう一つ納得いかないのは、本物の箱と但書があるのならば、2度と使えないはずなのに、どうしてわざわざ偽物を用意するのか、どうしてもわからない。


武正晴と足立紳のコンビの色はこれで行くのか、変えて行くのか、見守りたい。「夢を目指してどん底生活から一発逆転を目指す男たち、というコンセプト」まだ時代から求められている気がする。

(解説)
中井貴一×佐々木蔵之介、
日本が誇る俳優の豪華W主演が実現!

あの千利休の幻の茶器が、茶の湯の聖地で発見された。その真贋や、鑑定額や、いかに─?! 日本中を沸かせる世紀の骨董ロマンが、2018年の笑い初めにふさわしい「開運!お宝コメディ」になった。この茶器を巡って大騒動を巻き起こすのは、日本映画界を代表する俳優、中井貴一と佐々木蔵之介。いずれも人気実力ともに抜群で、ジャンルを問わない演技派だが、中井貴一は『グッドモーニングショー』、佐々木蔵之介は『超高速!参勤交代』『超高速!参勤交代 リターンズ』とヒットを飛ばしたコメディ映画主演の記憶が新しい。その二人が満を持しての本格共演。騙し騙されつつの出会いから、一世一代の大芝居を打つ痛快コンビの結成まで、がっぷり四つの丁々発止が見逃せない。脇を固めるのは友近、森川葵、前野朋哉、堀内敬子、坂田利夫、木下ほうか、塚地武雅、桂雀々、寺田農、芦屋小雁、近藤正臣らひと癖もふた癖もある超個性派俳優陣。芸達者たちのトボけたやりとりや愉快なてんやわんやに大笑い。大人による大人のためのコメディ映画が誕生した。

『百円の恋』の監督と脚本家の
注目タッグがさらにパワーアップ!

本作は大阪・堺を舞台にしたオリジナルストーリー。『百円の恋』で2016年日本アカデミー賞優秀作品賞・最優秀脚本賞を受賞した、いま最も注目を集める武正晴監督と脚本家足立紳の再びのタッグに、更なるパワーを加えるのは、NHK連続テレビ小説「てっぱん」などで活躍する脚本家で堺親善大使を務める今井雅子。リアリティのあるストーリーテリングに、お宝鑑定好きにはたまらない骨董トリビアを散りばめ、強欲うずまく人間たちの化かし合いを二転三転させながら、ときにホロリとさせる人情話を盛り込んで、最後は思いもかけないどんでん返しに持っていく手腕は見事という他ない。実力はあるものの不運続きの人生をおくる、負け組の男二人が仕掛けた一発逆転の大勝負。日本映画界屈指の才能が年明けに送り出すのは、嘘八百からまさかのマコトにたどり着く、胸のすくような開運エンターテインメントなのである。


2018年3月1日
シネマ・クレール
★★★★




「希望のかなた」

独特のゆったりとしたリズムで描かれる、北ヨーロッパの難民事情と人々の暮らし。フィンランドの人々の心の動きを出来るだけ映像として現さないやり方は、確かに日本の抑制の効いた映画にあったと思う。監督の日本好きは、明らかにやりすぎのすしバーや、すしの学習のために、なぜか藤沢周平の文庫本を2冊も買ってゆくことで知れる。


イラクとシリアの若者の友情も、政府の「戦争状態にない」という裁定も、ネオナチの3回にも及ぶ意味のない暴力(しかもユダヤ人め、というわけのわからない非知性を見せる)も、本気かユーモアなのかわからない監督の独特な映像世界に助けられる。ヘルシンキなんて、ホントにあんな街なんだろうか。まるで昭和40年代の日本のように思える。


(解説・物語)
社会への深い洞察に満ちた、アキ・カウリスマキの新境地。
無償のやさしさと辛辣なユーモアが、世界を覆う不寛容を打ち砕く。

2017年のベルリン国際映画祭で観る者すべての胸に深い余韻を残し、批評家のみならず観客からも圧倒的支持を受けたアキ・カウリスマキ監督『希望のかなた』。同映画祭で見事、監督賞を受賞したカウリスマキは、前作『ル・アーヴルの靴みがき』で“港町3部作”と名付けたシリーズ名を自ら“難民3部作”に変えて、今や全世界で火急の課題となった難民問題に再び向かいあいました。
シリア難民の主人公カーリドは、“いい人々のいい国”だと聞いていたフィンランドで、無情にも難民申請を却下され、ネオナチからのいわれのない暴力にさらされます。これは、やむなく故郷を離れた難民たちが、希望を求めた土地で実際に直面する現実です。そんな酷薄な現実にさらされるカーリドに、ヴィクストロムをはじめとする市井の人々が救いの手をさしのべます。カウリスマキ映画ではおなじみの、社会の片隅でつつましやかに生きる、少しばかり孤独をかかえた人々のちいさな善意が、カーリドの願いを叶え、魂を救うのです。『希望のかなた』は今、世界が忘れかけている“当たり前”の人間性を、辛辣なユーモアと無償のやさしさをもって描いたヒューマンドラマ。カウリスマキからのメッセージは、不寛容がはびこる世界に生きる私たちの、心のより所となることでしょう。

主人公カーリドを演じるのはシリア人俳優シェルワン・ハジ。ヴィクストロム役のサカリ・クオスマネンをはじめとする個性的なカウリスマキ組の常連たち、そしてカウリスマキの愛犬ヴァルプとのアンサンブルを見事にこなし、映画初主演ながらダブリン国際映画祭で最優秀男優賞を受賞しました。また、物語に絶妙にシンクロするフィンランドのベテランミュージシャンによる演奏シーンの数々や、痛烈な“わさびネタ”も必見です。


2018年3月1日
シネマ・クレール
★★★★




「ブラックパンサー」

この映画の落とし所を支持する。アベに観させてやりたい。


しかしながら、いくら荒唐無稽SFと言いながらも、何千年も、「超文明」を育てながら、旧石器文化に由来するアフリカ文化をそっくり真似た都市つくり映像は、あまりにもアフリカを馬鹿にしていないか?太鼓ではなく、アフリカの気候に合わせた全く新しい音楽が作られなければいけないし、ヨーロッパとの交流が密かにもたれてあったとするならば、それなりの服装をしなくちゃならない。


脚本で言いたいことはよくわかる。アベンジャーズに移ったら、これらの志がなくならないか、心配


(見どころ)
マーベルのキャラクターで、国王とヒーローの顔を持つ男を主人公にしたアクション。超文明国ワカンダの国王だった父親を失ったブラックパンサーが、国の秘密を守るため世界中の敵と戦う。監督は『クリード チャンプを継ぐ男』などのライアン・クーグラー。『42 ~世界を変えた男~』などのチャドウィック・ボーズマンがブラックパンサーにふんし、『それでも夜は明ける』などのルピタ・ニョンゴらが共演。

(STORY)
アフリカの秘境にあるワカンダで産出される鉱石ヴィブラニウムは、全てを破壊してしまうほどのパワーを持つ。歴代の王は、悪用されないように鉱石の存在を極秘にしていた。若くして王になったティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は、謎の男エリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)がワカンダに潜入しようとしていることを知り……。
(キャスト)
チャドウィック・ボーズマン、マイケル・B・ジョーダン、ルピタ・ニョンゴ、ダナイ・グリラ、マーティン・フリーマン、ダニエル・カルーヤ、レティーシャ・ライト、ウィンストン・デューク、アンジェラ・バセット、フォレスト・ウィテカー、アンディ・サーキス
(スタッフ)
監督・脚本:ライアン・クーグラー
脚本:ジョー・ロバート・コール


2018年3月12日
Movix倉敷
★★★★







最終更新日  2018年04月11日 13時57分00秒
コメント(0) | コメントを書く
2018年04月10日
テーマ:本日の1冊(2721)


「ラプラスの魔女」東野圭吾 角川文庫

2018年3月14日、理論物理学者ホーキング博士が亡くなった。その影響で、私は4月7日に「ホーキング、宇宙を語る」(ハヤカワ文庫)を読んだ。その中で、何度もラプラスという名前が出てくる。曰く。
「フランスの科学者ラプラス侯爵は19世紀のはじめに、宇宙は完全に決定論的であると論じた。(略)ラプラスはそこからさらに進んで、人間の行動を含めたすべてのことを支配する同じような法則があると想定したのである。」(87p)

その文章を読んで、映画好きの私は、5月公開予定の「ラプラスの魔女」の文庫本が本屋にあることを思い出し、本書を手に取った。一気読みしたのが、4月9日である。

だから、少し科学史に詳しい人間ならば、「ラプラスの魔女」という題名だけで、本書の内容の40%ほどは推理ではなく、予測がつくだろう。

それでも読ませて愉しい時間を過ごさせるのが、東野圭吾のエライ処だろうと思う。

映画化では青井役であろう櫻井翔がなぜ主人公になっているのか、本書を読むと違和感がある。まあお陰で「魔女」は広瀬すず以外ではイメージ出来ないぐらいにはなった。作者はもしかして彼女をイメージして本書を書いたのか?

もちろん、小説は途中で必要なデータを小出ししてくるので、本書の半分で本書の全てを予測するのは不可能である。ただ、以下のことは指摘しておかねばならない。本書はこれで完全ではなく、「未来」において必ず続編が作られなければならない「予測」が成り立つ。

ホーキング博士は、先の引用に続けてこのように書いている。
「不確定性原理は、完全に決定論的な科学理論、宇宙モデルというラプラスの夢の終わりを告げるものだった。宇宙の状態ですら精密に測定出来ないのであるから、未来のできごとが正確に予測できるわけがない!」(89p)「ラプラスの決定論は二つの点で不完全であった。法則をどう選び出したらいいのか述べていないし、宇宙の最初の配置も示していない」(239p)
このことの決着は、本書ではまだ描かれていないからである。

もっとも、私の「予測」も、もちろん決定ではない。

2018年4月9日読了






最終更新日  2018年04月10日 12時20分07秒
コメント(0) | コメントを書く
2018年04月09日
テーマ:本日の1冊(2721)


「ホーキング、宇宙を語る」スティーヴン・W・ホーキング著 林一訳 ハヤカワ文庫

単行本発売の頃は、テレビの解説番組はいくつかあったけれども、本を読むほどの関心はなかった。文系人間としては当然の反応だろう。文庫本発売の時は時期が悪かったと思う。阪神大震災とオウム事件の真っ最中であって、文庫本が出たことすら知らなかった。今回氏の死去の報を受けて、やっと私はこの本を手に取った。

数式のない理論物理学の本。氏が出来得る限りわかりやすく書いた本。しかしだからと言って、物理の点数が50点より上に行ったことのない私に理解出来たかと言うと、否、というしかはない。それでも驚いたことがある。「たいへん愉しめた‼︎」ということである。

この本は私流に一言で言うと「宇宙の歴史書」である。だとすると、私の守備範囲だ。

文献歴史学はとりあえず置いておいて、考古学視点から日本史を見ると、歴史を一年に換算すると、大晦日の午後に文献史が始まる。人類史を見ると、大晦日の紅白歌合戦の辺りで文献史が始まるだろう(と、いかにも物知りのように書いたが根拠調べていない。だいたいそんな所というだけ)。地球史で見れば、果たしてどうなるのか?戦争なんて細かいことをしているのは、今さっき始めたことだから、気の迷いだったと言えるだろう。

ホーキング氏は、さらに進めて宇宙の始まりから語り初めて、宇宙の終わりを予測する。そこから更に進めて「我々はなぜここにいるのか?」という根本問題に答えようとする。

解説者池内了氏は「ホーキングは、優れた現代神話の語り部」だという。私もそう思う。弥生時代の農民が、見たこともない金属を振り上げた巫女の言葉を、その言葉の意味をわからぬままに有り難がり信じたように、ホーキング氏の、この長い祝詞は、ちょっとした古代体験だった。

2018年4月7日読了






最終更新日  2018年04月09日 21時05分22秒
コメント(0) | コメントを書く

全3834件 (3834件中 1-10件目)

1 2 3 4 5 6 >

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

KUMA0504@ Re[1]:今月の映画評「沈黙‐サイレンス‐」(04/18) 象さん123さんへ コメントありがとうご…
象さん123@ Re:今月の映画評「沈黙‐サイレンス‐」(04/18) 遠藤周作の生涯をかけた力作ですね。本が…
KUMA0504@ Re[1]:熊山遺跡と操山古墳群を再訪(04/07) suzu1318さんへ こちらこそお世話になりま…
suzu1318@ Re:熊山遺跡と操山古墳群を再訪(04/07) 車出し&案内役を、ありがと~!! 見たブ…
KUMA0504@ Re[1]:文学日記(11)「治療塔」大江健三郎(03/30) まろ0301さんへ わたしなんかは、35年間ず…
まろ0301@ 『万延元年の』  大江氏の作品は、初期のものからずっと…
KUMA0504@ Re:護憲派の課題 3000万人署名(03/16)で わたしの父親は、戦場に行っていない。そ…
narcisse7@ Re:護憲派の課題 3000万人署名(03/16) どうも。こんばんわ。 「彼らの生身の戦争…
KUMA0504@ Re[1]:「全現代語訳 解体新書」新しい夜明けを準備した本(02/27) omachiさんへ ざっと読ませていただきま…
omachi@ Re:「全現代語訳 解体新書」新しい夜明けを準備した本(02/27) 歴史探偵の気分になれるウェブ小説「北円…

バックナンバー


Copyright (c) 1997-2018 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.