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2006年03月31日
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実在の中国伝説の武道家・霍元甲が、清帝国に列強の侵略が強まっている1910年に自国の尊厳を取り戻そうとして始めた異種格闘技戦で戦うまでの話である。

監督 : ロニー・ユー
出演 : ジェット・リー、中村獅童、スン・リー

ジェット・リーは記者会見で言っている。「“武”という字は分解すると“矢を止める”つまり暴力を止めるという意味を持っています。人間は表面的にはずっと闘いをして、暴力の中で人間はおごりたかっているのですが、重要なのはその背後にある武力ではなく、如何にして戦争を止めること、暴力を止めることが大事なのです。」その精神はこの映画にピシッと貫かれており(復讐は復讐しか生まないと主人公に言わせている)、昔、ほんの少しだけ武道をかじった者にとっては「わが意を得たり」の作品でした。

見事な武道映画でした。「姿三四郎」を髣髴させる精神と、アクション映画としてのエンタメ性とを併せ持った素敵な作品でした。お涙頂戴映画なのではないか、と思い、見るのが遅れたのですが、ちょっと違うと思います。確かに私は泣きました。けれども悲劇に泣いたのではなくて、久しぶりに「武」の真髄を見させてもらったことに対する喜びに泣いたのです。

……すみません。少し長くなりますが、思い出話をしたいと思います。

日本の棚田を思わせる景色が続く山村で、霍元甲は悟ります。「武術は強さを競うものではない。己に克つことを目指すものだ。」これと同じようなことを中学時代の柔道顧問、藤田先生が練習の合間に言っておられました。けれども、中学高校6年間柔道をしたのですが、このことが自分の心に届いていたかというと、少し疑問です。ただ、柔道を止めて随分経った今ならこのことが素直に届きます。

当時はきちんとその意味は分かっていなかったけど、私には忘れられない試合がひとつあります。中学二年のとき、県南地区の団体戦、準々決勝のときです。私は五人のチームの中の中堅でした。実力はたぶん一番下だったと思いますが、体格のために三番手に入っていたのです。相手は地元の実力校です。しかも私の相手は(後で知ったけど)個人戦では優勝するくらいの実力者でした。私の前の二人はなんと負けていて、私が負けるとその時点でチームの負けは決定してしまいます。なんとしてでも負けないこと。それが先輩から言われた使命でした。相手は鋭い足技が身上です。必死に耐えました。三分を過ぎた頃から相手があせってくるのが分かりました。相手が技をかけてくるタイミングが見えてくる。その瞬間をねらって一回こっきりのツバメ返しをかけました。私は勝ち、チームも勢いついて、勝ちました。そしてそのときわがチームは準優勝をしたのです。

相手の力を活かして足払いをすくって、ふわっと彼が宙に止まった一瞬を私は決して忘れない。

私は彼より技量的には劣っていました。でも運で勝ったわけではない。最後まで諦めなかった。最後まで勝とうとした。……そのあとずーと分かっていなかったけど、今も良く忘れるのだけど、私はその時大切なものを貰っていたのです。ジェット・リーは記者会見でこうも言っています。「決して相手を倒すことが目的ではなく、倒さなくてもいいから自分自身に挑戦し、自分と戦って勝つことで本当の幸せがやってくる。」






最終更新日  2006年04月05日 20時57分22秒
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