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テーマ:映画館で観た映画(8182)
カテゴリ:洋画(05・06)
スーパーマンは還ってきた。アメリカへ。しかも写メが浸透している現代へ。「世界(アメリカ)はスーパーマン(ヒーロー)を必要としていない(という時代になってしまった)」という記事が、ピューリッツァ賞を採ってしまうという現代へ。()は私の解釈です。
何故還ってきたのか。上記の記事を書いたロイス・レイン(ケイト・ボスワース)は、物語の最後に「スーパーマンは何故必要か」という記事を書き始める。必要ないわ、って言ってしまったけど、やっぱり必要よ、というわけだ。何故必要なのだろうか。 ![]() 実はアメリカはずーとそのことを模索してきているのではないだろうか。 19年ぶりの「リターンズ」なのに、作品中では5年ぶりに帰ってきたことになっている。何故5年なのか。5年前に9.11があったからである。(と、キッパリ!)スーパーマン(ブランドン・ラウス)が帰ってきて最初の仕事は、スペースシャトルの打ち上げを助け、飛行機の墜落をを阻止するというものである。この仕事は非常に象徴的だ。「ユナイテッド93」を見た直後だったので、飛行機が次第と陸地に近づいていく場面は恐怖を覚えた。多くのアメリカ人が9.11を思い浮かべたに違いない。スーパーマンは両翼が剥がれた飛行機の先端を優しく受け止め、静かに地上に横たえる。その場所はアメリカのヒーローの殿堂、野球場である。青い芝生と、白い飛行機、そして満員の観客。見事なな演出である。 スーパーマンは全世界の苦しんでいる人の声を聞き分けることが出来るという能力を持っている。(まるで神様みたい)銀行強盗、車の暴走、ビルからの落下物から助けること……その仕事は大から小まで多岐に渡る。しかし決して戦争にはかかわらない。おそらく彼の耳には聞こえないのだろう。それでもアメリカ人(デイリープラーネットの編集長)は、「たいした男だ」と感嘆するだろう。 スーパーマンは還ってきた。父(神)の言葉を実践するために。しかし、この「神」はブッシュ大統領の信奉する神ではない、ということは重要だ。善と悪の二元論に立ち、悪の帝国を打ち倒そうとアジる神ではない。慈愛に満ち、市民の自立を期待する神だ。アメリカの神はやっと自らの役割を思い出した。だからスーパーマンは還ってきたのだ。 アメリカ人はやはり寂しかったのに違いない。アメリカ人はこれからも模索しながらヒーローを追い求めるだろう。 次作は必然的に家族を巡る物語になるはずだ。 監督はスーパーマンオタクのブライアン・シンガー。悪役はオスカー俳優のケビン・スペイシー。飄々として憎みきれない悪役を見事に演じていた。オープニングのクリンプトン星から地球に至る映像は、20年間の技術の進歩を感じさせて素晴らしいものがあった。二時間半があっという間だった。 大作評価。★★★★「面白かった。」
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