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2006年11月07日
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カテゴリ:洋画(05・06)
監督 : クリント・イーストウッド 出演 : ライアン・フィリップ 、 ジェシー・ブラッドフォード 、 アダム・ビーチ

力作である。冒頭近く小山を兵士三人が上っていって旗を立てる。突然視界が開けて球場の中。満員の大歓声と、花火。そこは硫黄島ではなく、アメリカ本土だった。やがて、われわれは何回もアメリカ本土で国債を募るためのプロパガンダツアーと、地獄の硫黄島を交互に見ることになる。

今までの戦時映画と決定的に違うのは、地獄の戦場と地獄を全然分かろうとしない本土の地獄の二つを、平行して描いたことだ。となりにいる人間が銃弾に倒れる、あるいは頭を吹き飛ばされる、戦場場面もすごい。しかし、それ以上にすごいのは厭戦気分になっていたアメリカ国民を一変させた、一枚の写真を最大限利用した戦争プロパガンダ描写である。ショウビジネス的演出と膨大な報道によって、英雄は作られていく。しかも本人たちの意思とは関係なく。しかも、旗の写真は二重に「やらせ」だ。写真は二度目の掲揚のときだったし、実はそのあと34日戦闘は続いたので、勝利の旗でもなんでもなかった。

戦場に英雄はいない。称えられるべきは死んだ戦友たちだ。戦場には地獄しかない。

それらのことを説明的演出もなく、説得力を持ってイーストウッド監督は描く。‥‥‥というようなことは誰でも書くだろうから、私は別の視点でこの映画のことを語ろうと思う。

日本国の総理大臣、安倍晋三氏が『美しい国へ』という本の中で、イーストウッド監督の前作『ミリオンダラーベイビー』を数ページに渡って賞賛している。

第三章『ナショナリズムとは何か』という章の中で、『「ミリオンダラーベイビー」が訴える帰属の意味』という小見出しをたてたあとの7~8ページだ。
ここで安倍氏は玄人っぽい映画評を展開する。『モ・クシュラ』というキーワードを説明しながらマギーとフランクの間には『アイルランドの帰属意識』が存在するというのだ。それは確かにそうだ。しかしクリント監督はそこから人間としての尊厳に話を展開するのだが、安倍氏の思ったことは違うようだ。評論家松本健一の言葉を借りてこのように言って見せる。「中国人も韓国人もヒスパニックも、アメリカをすでに『理想の国』であると考えて移民したが、アイルランド系移民だけはアメリカを『理想の国』に作り上げようとした。」そしてさらに安倍氏は『地球市民』信用できない、といい、帰属意識を持つのは日本人なら日本しかありえないと展開し、「若者たちが自分の生まれ育った国を自然と愛する気持ちを持つようになるためには、教育の現場や地域で、まずは郷土愛をはぐくむこと必要だ。国に対する帰属意識は、その延長線上で醸成されるのではないだろうか。」と明らかに教育基本法の改悪の条文を意識しながら言う。そうやって『わが国の郷土を愛すること』が『愛国心』に繋がると、無理やりに展開するのだ。

おいおい、クリント・イーストウッド監督はそんなことを言いたいのではないよ。勘弁してほしい。この名作を汚さないでほしい。監督の気持ちは安倍首相の気持ちと正反対のところにある。その証拠にこの映画を見てほしい。

ここには、ネイティヴアメリカンを利用するだけ利用してぼろきれのように捨て、彼のアイデンティティをずたずたにしていく『国家』の姿が描かれている。アイラたちは白人社会の中で自分たちの民族の地位の向上のために、進んで従軍していく。しかしアイラは結局その国家に振り回され、おそらくPTSD(心的外傷後ストレス障害)にかかり、野垂れ死にする。表面的な英雄扱いと、『このインディアンめが』と悪態をつけられる立場の矛盾。人間としての尊厳を築こうとしても、それを壊すのは『愛国心』を押し付ける『国家』であったのだ。

11月7日、教育基本法改正案、今国会成立強まる 衆院委が来週可決へ
という記事が流れた。

まるで映画のようなやらせ発言を政府首脳が認めたばかりだ。こんな政府に教育の根幹を変える法律を作らせてよいのか。まだ間に合う。与党には『徹底的に審議を尽くしてほしい』というメールを。マスコミには『このままずるずるといっていいのか』というメールを。野党には『最後まで徹底抗戦を』という励ましを、ぜひ送ってほしい。

憲法・教育基本法改悪反対! 抗議・要請メール
ここが非常に便利である。






最終更新日  2006年11月09日 00時02分31秒
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