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2008年07月27日
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カテゴリ:アジア映画(08)
監督 : リー・イン
製作国 : 日本=中国

上映時間の八割方は「靖国の英霊の御霊に謹んで哀悼の誠を奉げる」人たちの映像である。しかし、だからといってこのドキュメンタリーがその人たちを肯定した作品だということではない。一部で囁かれているどっちつかずの「客観的」な作品でもない。

この作品の中心は、戦後60年を迎えた95年8月15日の靖国の周辺で起こった出来事と、靖国刀を作る刀匠の姿を交互に映す。そうして最後の方では、その靖国刀が中国で使われたときに何人もの中国人を切ったときの写真を挿入する。そうすることで監督の主張は明らかになる。

刀匠の刈谷さんは、映画を観ればわかるが、聖人でもなければ、思想家でもない。朴訥なただの職人である。そうして素朴な思いで作った刀が、戦争においては、例えば百人切りをする将校の刀となる。8月15日の朝から夜にかけて次々と靖国神社を訪れる軍人コスプレや日の丸パフォーマーたちも、主張しているのは、ただひたすらに「お国を守るために散っていった英霊の御霊を尊重しよう、敬おう」と言うことである。映像を見る限り、彼らは決して戦争賛美ではなく、素朴な人々であることを映し出す。それが、なぜか最後の帰結は中国での残虐な行為になるのである。日本と中国、台湾、ならびに韓国とはこれほどまでに「想いがすれ違っている」ということを示唆したのが、この映画である。

ドキュメントならではの面白さがある。

8月15日、パフォーマンスしている人たちの周りをその倍する人々が取り囲み、写真を撮っている。靖国神社の中でさえ、彼らはまだ孤立している。
あるいは米国不動産屋が「小泉首相を支持する」と書いて、星条旗とともにパフォーマンスしている。その米国人に友好の握手を求める日本人、一方でその星条旗に反発して「ヤンキーゴーホーム」と叫ぶ日本人。現代の靖国支持派が二つに割れた瞬間を映し出す。

作品上の欠点もある。

最初の方で有名な小泉元首相の靖国参拝をする言い訳のコメントが映し出される。
「私はこの靖国の参拝の問題は外交問題にはしない方がいいと思っています。一国の首相が一政治家として一国民として戦没者に対して感謝と敬意を捧げる。哀悼の念を持って靖国神社に参拝する。二度と戦争を起こしてはいけないということが、日本人から、おかしいとか、いけないとかいう批判が、私はいまだに理解できません。まして外国の政府が一政治家の心の問題に対して、靖国参拝はけしからぬということも理解できないんです。精神の自由、心の問題。この問題について、政治が関与することを嫌う言論人、知識人が、私の靖国参拝を批判することも理解できません。まして外国政府がそのような心の問題にまで介入して外交問題にしようとする、その姿勢も理解できません。精神の自由、心の問題、これは誰も侵すことのできない憲法に保障されたものであります。」(06年1月年頭記者会見)このコメントに対して、映画では、男兄弟三人とも戦死したオバちゃんから、刀匠の刈谷さんに至るまで、そしておそらくここに出てくる靖国支持派のほとんどが「その通りだ」と言うわけです。反対にいえば、この映画を見る限り、靖国を支持する人たちの唯一の理論的な根拠がこのコメントなわけです。

「心の問題だ」と言う小泉と、「心の問題だ」と言う一般民衆との思いは果たしてイコールなのか。
しかしこの映画ではそこに鋭く切り込んではいない。それがなんとも残念である。


刈谷さんが監督のために水戸光圀の漢詩を吟ずる場面が最後にある。
1006617_03.jpg
「詠日本刀」
蒼龍,猶お未だ雲霄に昇らず
潜んで神洲剣客の腰に在り
髯虜鏖(みなごろし)にせんと欲すも、策無きに非ず
容易に汚す勿れ日本刀

詳しい訳は避けるとして(^_^;)要は少なくとも刈谷さんの思いは、日本刀を容易に殺すことに使うのはやめましょう、と言うことなのだと思う。刈谷さんは「一国民として戦没者に対して感謝と敬意を捧げる。」「二度と戦争を起こしてはいけない」と言う一民衆であるということがきちんと分る場面であった。それと「憲法改正」を言う政府とのギャップを出来たならば映画は切り込んで欲しかった。

浄土真宗の住職の言葉は少し切り込んでいるが、もう少し展開して欲しかった。あそこに「魂の錬金術装置」としての靖国神社の秘密がある。

あとドキュメンタリーとして、冗長な映像が幾つか散見されたが、長くなるので省略する。

総評。ドキュメンタリーとしては、普通の出来。これを見て隣の人といろいろと議論するのには、(出来たら靖国支持派の人と議論するには)いい映画ではある。






最終更新日  2008年07月27日 22時37分10秒
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