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カテゴリ:邦画(08)
監督 : 押井守
原作 : 森博嗣 脚本 : 伊藤ちひろ 声の出演 : 菊地凛子 、 加瀬亮 、 谷原章介 、 竹中直人 、 榊原良子 、 栗山千明 戦闘機乗りの話である。 キルドレ-大人になれない子供-たちは戦争をしている。 よくわからないけれども、彼らには日本名がつけられている。 けれども住んでいるのは英語圏の外国の町。 彼らの基地には日本語の「讀賣」新聞が届けられる。 彼らはロストック社の社員だ。どうやら傭兵らしい。 新聞を丁寧にたたむ癖のある湯田川が死んだ。 しばらくして同じ癖のある飛行機乗りが赴任してくる。 しだいとキルドレの正体がわかってくる。 これは現代版「ビューティフル・ドリーマー」だ。 押井守のこの作品は、「うる星やつら」のラムの「諸星あたるや面堂終太郎やメガネ達と、ずっと一緒に楽しく過ごしたい」という夢から派生した物語である。公開は1984年。まさにクリスマスが恋人たちの一大イベントになったのがこの頃だ。バブルと言う時代が始まろうとしていた。若者はよく分らないけれども売り手市場で、この夢がいつまでも続けばいいと思っていた。大人になんかなりたくないと思っていた。 現代の若者も同じく「大人になりたくない」と思っているのではないか。 イヤ、なりたくてもなれないのが大人なのだ。 家族を持つことができない。いつの間にか、自分の運命がそう決まっている。 正規雇用の道が閉ざされているのだから仕方ない。 結局、人を殺すか、殺されるか、それしか生きる道はないのだ。 飛行機の戦闘だけでしか、空の上でしか、生きる道が見つからない。 永遠に死んでも生き返る、その様に運命が決まっている。 彼らは生きているのか、死んでいるのか分らない。 「ビューティフルドリーマー」から24年、日本の若者はここまで追い詰められた。 「君は生きろ、君が運命を変えてくれ」函南優一は草薙水素にその様に囁き、戦闘機に乗る。草薙はキルドレなのに、子供を生んでいた。この映画にもし続編が作られるのだとしたら、それは草薙水素の話になるのだろう。
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