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カテゴリ:洋画(08)
(ちょっと粗筋)
ひとりの男が失明した。突然目の前が真っ白になり、視力を完全に奪われたのだ。そして、それは悪夢の始まりだった。世界各地で同時発生した“白い病”は、爆発的な伝染力を持っていた。原因不明、治療法もない。これ以上の混乱を恐れた政府は、失明患者の強制隔離を始める。かつて精神病院だったという収容所に軟禁された患者の群れ。不安と恐怖、苛立ち、そして醜い争い…。秩序の崩壊した極限下で、彼らはその本性を次第にさらけ出していく。その中に、たったひとり“見える”人間が、盲目を装い紛れ込んでいた…。 監督 : フェルナンド・メイレレス 原作 : ジョゼ・サラマーゴ 出演 : ジュリアン・ムーア 、 マーク・ラファロ 、 伊勢谷友介 、 木村佳乃 、 ダニー・グローヴァー 、 ガエル・ガルシア・ベルナル ![]() 突然人類を襲う「理由のない」パニック時での集団のサバイバル映画と言う点では、たとえば「ハプニング」と同じではあるが、あれが人間ドラマが非常に薄かったのと比べれば、この映画には濃厚な人間ドラマがある。同じようなパニック映画で、濃厚な人間ドラマといえば今年の名作「ミスト」と同じなのであるが、確かに先が見えない恐怖、閉鎖された空間での人間心理を描いた映画ではある。しかし、まったく違った映画になった。なぜか。「ミスト」の場合は待ったなしの時間制限のなかでのドラマであった。しかし、こちらはしっかりと「考える」時間があった。その違いなのだろう。そして、実際はこっちの方が現実感はある。 「ミスト」の場合はマーシャ・ゲイ・ハーデン がみこどな極限状態での女王の役割を演じたが、こっちの映画の場合はガエル・ガルシア・ベルナルが「蝿の王」を演じる。いろんなことを感じさせる映画であった。あの「白い病」自体にリアル感はないが、人間の行動の中には、たとえば「ナイロビの蜂」で見せたケニアのスラム街にもあっただろう貧困と暴力が反映されているような気もする。目が見えないと、経済活動は強制終了になり、人々は貧困に陥る。わずかな食料を求めて、たすけあい、そして「武力」による支配と、それに対する抵抗、そして連帯が始まる。私は見ていないが、「シティ・オブ・ゴッド」等、監督のテーマはこの辺りにあるのだろう。 そのなかで人々はどのように行動するのか。日系、エスパニア系、アフリカ系、いろんな人種が交じり合った小さな集団のなかで、人々は肩を貸しあい、歩いていく。悲惨な場面も多いけれども、希望も見える映画なのである。
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