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カテゴリ:洋画(09~)
エルネスト・チェ・ゲバラに興味を持ったのはつい数年前だ。『モーターサイクルダイアリーズ』はゲバラが中南米の統一を夢見るようになるまでを描いた素晴らしい作品であるが、この映画はある意味その正統続編になっている。
![]() 監督 : スティーヴン・ソダーバーグ 出演 : ベニチオ・デル・トロ 、 デミアン・ビチル 、 サンティアゴ・カブレラ 、 エルビラ・ミンゲス 北方謙三はキューバ革命を中国の古典に移し変えて『水滸伝』を書いた。中国全土を支配している宋王朝の転覆のために、梁山泊という一地方を自分たちの城にして、そこからそう王朝に挑む話である。精神的な支柱である宋江はカストロ、前衛軍を指揮し宋江と同等の将軍であった晁蓋をゲバラに見立てたのだという。(もちろん発想だけであり、ストーリーとはまったく違う)宋江と晁蓋は強い友情で結ばれるとともに、時には政策上敵対をし、時には敵を騙すために敵対をした。そうして晁蓋は志半ばで戦死するのである。ゲバラにとって宋は米国、中国全土は中南米だったのだろう。 ![]() 『チェ・ゲバラの遥かな旅』戸井十月著 集英社文庫という本がある。映画のかなでは省かれているが、超楽天主義に夢を語るカストロとの出会いや、グランマ号で無謀なキューバ上陸を試みて82人の兵士は12人に減ってしまう経緯が詳しく書かれている。映像にするとうまくいきそうな場面なのではあるか‥‥‥。ゲバラとカストロが別れ別れになる経緯なども書かれている。それは映画では次の話になる。 その代わり映画では、ゲバラが約3年間のゲリラ生活の中で、どうやって寄せ集めのゲリラ軍を組織していったか、成長していったかがわかる。国連演説のあとに米国や米国よりの国々の反論に対して、ユーモアを持ちながら的確に再反論しているのは、この本の中では分らないことだったので、新鮮だった。 あるインタビューでゲバラは答える。「愛の無い革命なんて想像することは難しい」 なぜ、チェのみがカリスマとなっているのか。 なぜ、ゲリラ戦という現代社会変革では取りにくいたたかい方で成功した人間が、例えば米国、日本、欧州、議会制民主主義の国々の国民からも支持されているのか。 その秘密がこの映画を最後まで見れば明らかになるのかもしれない。 いまのところ、私の仮説はこうである。 彼のみが、『理想』を全面に据えた革命家であり、そうやって生き、一度みごとに成功し、そして失敗し、死んでいった。つまり最後まで『純粋』だった。 後半『チェ 39歳 別れの手紙』を見てコメントしたい。
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