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2009年08月04日
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カテゴリ:洋画(09~)

イントゥ・ザ・ワイルド
DVDで見ると集中力がなくなるので、なかなか「凄い」という作品には出会えないのではあるが、これは凄かった。


監督・脚本 : ショーン・ペン
原作 : ジョン・クラカワー
出演 : エミール・ハーシュ 、 ハル・ホルブルック 、 キャサリン・キーナー 、 ウィリアム・ハート 、 ヴィンス・ヴォーン
(goo映画より)
1990年夏、アトランタの大学を優秀な成績で卒業した22歳のクリスは、将来へ期待を寄せる家族も貯金も投げ打って、中古のダットサンで旅に出る。やがてその愛車さえも乗り捨て、アリゾナからカリフォルニア、サウスダコタへとたった一人で移動を続け、途中、忘れ難い出会いと別れを繰り返して行く。文明に毒されることなく自由に生きようと決意した彼が最終的に目指したのは遙か北、アラスカの荒野だった。


彼はスーパートランプ(超放浪者)と自ら名乗り、たった一人で生きていく。二年間の試行期間の末に北の地アラスカへ。

はるか昔、旧石器時代、人類は移動しながら生きていた。時には独りで、時には数人で、荒野を。彼の旅はその「昔」を髣髴させる。

「人生の夢は手をのばして掴むんだ」
彼は16歳の少女に教え諭すかのように言うのだが、実は彼自身がそのことを日々学んでいたのである。最初は、仮面夫婦を演じる両親への反発から始まった旅だったのかもしれない。けれども彼はいろんな人と会うことで、少しずつ何かを学んでいく。

彼は3年の間、一人だけの力で生きていったのだろうか。イヤ、彼は最後にこのような言葉を書いている。
「幸福か?現実となるのはそれを誰かと分かち合ったときだ」
独りになって、独りでないことを知る。
凄い映画だった。

途中、彼はヒッピーズの社会に暮らす。60年代末からアメリカで流行していた彼らの生き方が、90年代にまだ生きていたのにびっくりする。加藤周一は1968年に彼らを評してこう書いている。(「世なおしことはじめ」)

要するに「ヒッピーズ」現象は、ひどくつじつまの合ったものである。決して、奇異な風態の、頭のおかしな連中(それはどの時代のどの社会にもあるだろう)の思い付きではない。長い髪、汚い服装、ヨーガのまねや、乞食のまね、《make love,not war》、学校中退、LSD‥‥‥一見雑然として脈絡のないように見えるこのような現象は、ひとたびそれを北アメリカ社会の伝統的な価値の否定の徴候としてみるときに、忽ち整然として、緊密に組み合わされた感情または態度の体系として見えてくる。外見尊重(汚い服装)、男女差強調(長い髪)、キリスト教的性道徳(性交の自由)、軍国主義(平和)、文化的自己中心主義(ヨーガ)、生産能率主義(乞食のまね)、出世主義(学校中退)、科学崇拝(LSD)、高度の組織化(組織の不在)、‥‥‥これは伝統的な価値の体系の全体と、そのすべての否定の体系に他ならない。

加藤周一はヒッピーズの「運動」の中に、プラハやフランスと同じ若者の「世なおし」の可能性を見ているのである。

クリスはやがては、ヒッピーズを体験したことだろう。ヒッピーズの社会にはクリスが求めてきたものの幾つかが必ずあった。その最大は「自由」なのではあるが。実話だから悲劇で終わっている。経験少ない彼が「自然の罠」に引っかかったのである。もし引っかからなければ、いっぱしの文学者になっていただろうと思う。






最終更新日  2009年08月04日 21時45分37秒
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