4956699 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

再出発日記

PR

フリーページ

カテゴリ

お気に入りブログ

マイク・ニューウェ… New! シマクマ君さん

残暑お見舞い申し上… New! 嫌好法師さん

帰省を非難する風潮? New! 七詩さん

韓国の感染者数 New! はんらさん

『文学界(2019年1月… New! Mドングリさん

カレンダー

2010年12月17日
XML

「ICO-霧の城-」宮部みゆき 講談社文庫

あらすじ
霧の城が呼んでいる、時が来た、生贅を捧げよ、と。イコはトクサ村に何十年かに一人生まれる角の生えたニエの子。その角を持つ者は「生贅の刻」が来たら、霧の城へ行き、城の一部となり永遠の命を与えられるという。親友トトによって特別な御印を得たイコは「必ず戻ってくる」と誓い、村を出立するが─。

ファンタジーを作る前に作者は時間をかけて一国の空間と歴史をつくる。そこが魅力であり、難しいところである。反対に言えば、それを作れば半分は出来たも同じだ。

その歴史から作者は歪められた「伝説」を作る。そうして初めて主人公が生まれる。主人公はその歪められた枠の中で、真実を求めて動き出す。

主人公は「冒険」の中から「未来」を生み出す。他の言い方をすれば、「可能性」。このあたりがファンタジーの最大の魅力かもしれない。

しかし、この作品で言えば、せいぜい文庫一冊にまとめるべき内容だった。歴史があまりにも浅いのである。しかも、空間は九割がた霧の城から動かない。長くなったのは、ひとえに宮部みゆきの描写が細に渡り微に入っているからである。10年ほど前から、宮部はこの描写主義の迷宮に入ってしまった。たしかに、名作「火車」は、この描写主義が生んだものであった。しかし、あの頃には描くべきアイディアが波のようにやってきていたのだろう、勢いがあった。最後まで本置く能わず、30過ぎの女性がどうしてああまでも人生の酸いも辛いも噛み分けた疲れた中年男性を描くことが出来たのか、本人も不思議だったろう、あの頃の小説には一頁毎にそういう驚きがあった。今はともかく、彼女の頭の中のイメージを総て文章に起こさずにはいられない、そういう強迫観念があるようだ。

この本で、宮部は原点に返り、13歳の男の子を主人公にした。けれども、この男の子はかってのように、聡明で健気にがんばるだけでは生きていられない。彼には、霧の影がずっと付きまとう。小説の中では「えいやっ」とやってしまったが、読む我々には未だに霧がまとわり付いている。一度、小説を書いたあとに、大幅に推敲して半分くらい削ってみたらどうだろう。新たな地平が見えるかもしれない。






最終更新日  2010年12月17日 09時07分49秒
コメント(2) | コメントを書く
[読書(09~フィクション)] カテゴリの最新記事


キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

KUMA0504@ Re[5]:「七帝柔道記」のあり得ない練習量(08/06) 1年上です、学校違いますがさんへ 情報あ…
1年上です、学校違いますが@ Re[2]:「七帝柔道記」のあり得ない練習量(08/06) KUMA0504さんへ すいません突然割り込ん…
KUMA0504@ Re[3]:「七帝柔道記」のあり得ない練習量(08/06) 象さん123さんへ ありがとうございまし…
象さん123@ Re[2]:「七帝柔道記」のあり得ない練習量(08/06) KUMA0504さんへ 我々は著者よりずっと先輩…
KUMA0504@ Re[1]:「七帝柔道記」のあり得ない練習量(08/06) 象さん123さんへ えっ?そうなんですか…
象さん123@ Re:「七帝柔道記」のあり得ない練習量(08/06) 私も読みました。ものすごい世界ですね。…
しずく@ Re:平安時代版「半沢直樹」かな「泣くな道真 太宰府の詩」(07/31) 先日のコメントはタブレットで失礼しまし…
KUMA0504@ Re[1]:高精細画像で甦る150年前の幕末・明治初期日本(07/22) ポンボさんへ すみません、忙しくて見れま…

バックナンバー


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.