久しぶりに、少し大きめの新顔が現れた。コカマキリ、カマキリの中でも小型で体の細い種類である。特にこの個体は小さく、体長約45mm、子供の頃に御飯を充分食べられなかったのかも知れない。

「北米原産シオンの1種」に潜むコカマキリ(2007/10/21)
|
普通は写真の様に、枯れ草の様な灰褐色から暗褐色をしている。しかし、図鑑に因れば、チョウセンオオカマキリの様な、体が淡緑色で後翅が透明な個体も稀に有るとのこと。
前肢の内側に白と黒の斑があるのが、このカマキリの「商標」である。

前肢にある白と黒の斑が「商標」(2007/10/21)
|
やはり、カマキリはモデルとしての才能に満ちていて、ついつい写真を沢山撮ってしまう。更に、このコカマキリは撮り方によっては金属光沢を帯びるので、質感描写の点からも面白い被写体である。

口の方から撮ったカマキリの顔.些か部分を拡大し過ぎたが、
複眼は金属光沢を帯びる(2007/10/21)
|
実はこのコカマキリ、最初はフジの鉢に生えている殆ど枯れたキク科の雑草の上に居た。コカマキリはかなり気の弱い虫で、写真を撮る為に少しチョッカイを出したら、下に飛び下りて逃げ出してしまった。そこでもっと獲物の来そうな「
北米原産シオンの1種」の上に移してやったのである。

一寸驚いた様な表情.カマキリはモデルとして抜群の才能を持っている(2007/10/21)
|
コカマキリは、
ハラビロカマキリとは違って、余り獲物の来そうもない垣根などの上に居ることが多い。徘徊性が強いのだと思っていたが、そのシオンの1種の上に2日ばかし留まっていたところを見ると、
オオカマキリほどは徘徊性が強くないらしい。

コカマキリの顔.額の部分が妙に凸凹している(2007/10/21)
|
2日後に姿が見えなくなったのは、多分、何処かへ行ってしまったからであろう。しかし、コガタスズメバチに肉団子にされてしまった可能性もある。と言うのは、居なくなった前後に、コガタスズメバチが1頭、この「シオンの1種」の鉢に妙に御執心で、何回もやって来ては、偵察に余念がなかったからである。カマキリもスズメバチには叶わない。

触角の掃除をするコカマキリ.楊子をくわえた渡世人の様な雰囲気(2007/10/21)
|
なお、このコカマキリは南方系で、南は熱帯から、北は東北南部まで分布する。東北中北部や北海道には棲息しない。