|
テーマ:日々自然観察(9896)
カテゴリ:その他の動物
御覧の通り「ケッタイ」な生き物である。体長は10cm程度。この辺り(東京都世田谷区西部)では、昔から居る真っ黒なクロイロコウガイビルと、最近目立つ様になった東南アジア(中国南部?)原産の外来種オオミスジコウガイビルをよく見かける。写真のコウガイビルは、クロイロコウガイビルかも知れないが、「日本産土壌動物」には「背面は一様な黒色、腹面は灰黒色で、体側縁は浅い鋸歯状である」と書かれているので、一致しない。「コウガイビルの1種」とした所以である。
体の後半は黒いが、前半は黄褐色、体表の正中線に沿って細い筋が認められる。全身ヌメッとしており、特に目立つ器官も見当たらない。そこで、頭部を接写してみた。頭部と言っても、神経節の多少の固まり(頭神経節)が有るだけで、口はない。口は裏面の真ん中辺にあり、表側からは見えない。 コウガイビルはガラに似合わず?捕食性で、ナメクジやミミズ等を捕らえて食べる。口から咽頭を外に出して相手を包み込んでから呑み込むのだと思っていたが、消化液を体外に出して相手を溶かして吸う様なこともするらしい。
先端部には小さな黒点が散在している(下の写真)。これらは恐らく何らかの感覚細胞であろう。若い頃に勉強した「Integrated Priciples of Zoology」を引っ張り出してみると、プラナリアの場合、頭部の側面に味覚、臭覚、触覚に関する感覚細胞があり、この部分を除去すると、プラナリアは餌を探すことが出来なくなる、と書いてある。コウガイビルの場合は、プラナリアとは異なり眼点がないので、光を感じる細胞もこれらの中に含まれているものと思われる。
この連中は、カタツムリやナメクジとは異なり、体表にある繊毛運動により移動すると言う。ガラス板の上を這わせても、波模様は見られないとのこと。しかし、その割にはかなりの速度で移動する。写真が著しい露出不足であったので、撮り直そうかと思ったが、もう、何処に行ったのか分かるはずもなかった。
写真を見て驚いたのは、尾部に鮮やかな青色の部分があったことである。昆虫の場合とは違って、これは構造色(光の反射と干渉によって生ずる色)ではなく、実際の色であろう。このコウガイビル、中々の隠れた洒落者なのかも知れない。 なお、コウガイビルの属名Bipaliumで画像検索すると、外国産の様々なコウガイビルの写真を見ることが出来る。中には、横縞の入ったビックリする程の「美麗種」もある。興味のある御仁は検索され度。但し、「不気味」な種類の方がずっと多いので、その御積もりで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[その他の動物] カテゴリの最新記事
|