2007/01/28(日)10:48
海猿秘話 遠洋航海 3
台風が過ぎると太平洋はウソのように静かになる。
まるで鏡の上を航行しているようだ、海の色がディープブルーだ、本当にインクをこぼしてふき取ったときの色ネイビーブルーでとても美しい。
東京からホノルルまで2週間かかる、もともと「こじま」は廃船前の老朽船だし途中訓練をしながら行くので長いのだ、現在のコンテナ船とかだと1週間もかからないらしい。
訓練は覚えているだけで、防火訓練、射撃訓練400ミリ機関砲、自動小銃試射、あと何があったっけ?
防火訓練だけははっきり覚えている、なぜかと言うと総合指揮官を命ぜられたからだ!
ある日上官の部屋へ呼ばれ言われた
「防火訓練の総合指揮をやってくれ」
「わかりました、昨年の要領を見せてもらえますか?」
「今年は違う方法でやってみようと思う」
「はぁ?で、で、ストーリーは?」
「お前が作れ!」
「指揮官だけは決まっている、第一区画は○○、第二区画は○×、第三区画は・・・」
苦手なやつばかりだ・・・言うことを聞いてくれるかなぁ?・・・
「最後は、総員退船、それだけは決まっている」
頭の中が真っ白になりながら上官の部屋を出てどの部屋から火を出そうか?
上官のタバコの火の不始末で士官室から火が出たことにしてやろうかと考えていた。
船内用語豆知識
人員は士官とたたき上げの2種類に分かれる、士官のトップはもちろん船長だが
たたき上げのトップは航海科ではボースン、機関科ではナンバンという、船によってはボースンやナンバンの方が船長より威張っている、船のことは何でも知っているからだ。
年齢もかなり上の方でまさに職人肌の人たちである。
防火訓練は一週間後、僕らは学生だから学生教室(後部甲板の真下)から火が出たことにしようと決めた。
つづく
長谷川平蔵殿が新しい写真を撮ってこられた湖からの眺めだが空気が澄んでいるのか色がとても鮮やかだ
皆さんも面白い写真をa4166@ms6.megaegg.ne.jpまで送ってください!