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日米の不動産投資の違い

日米における不動産投資の違い  -2005年1月5日記- (1月8日更新)

ここでは、今までの私自身の経験を踏まえて、日米の不動産投資の違いを考えてみたい。

もちろん、私の経験は非常に狭い範囲の、限られたロケーション、限られた不動産種別でしかないし、本格的に学んだわけでもないので、あくまで現在の考え方である。普遍性を持つものでは決して無いことをお断りしておく。


A.日本の不動産

日本の不動産投資の特徴は、なんと言っても地価の下落を前提に考えざるを得ないこと、これが第一番にくる。下げ止まりとか、一部地域で上昇へと反転しているとか言われるけれど、そんなところはごく一部であり、全体的な傾向としては、まだまだ下がるとみている。

それは、生活費との比較において、日本の不動産価格、特に土地の価格は、国際的に見てまだまだ高い水準にあるからだ。
諸外国の土地の値段と言うものは、どこも、と言うわけではないが、やはり収益還元法からくるのがオーソドックスな考え方だろう。

日本の場合もそうなってきつつあり、あくまでキャッシュフロー重視で、もっと言えば、税金上は建物のみ減価償却を計上するが、自分の資産管理においては土地も含めて減価償却するぐらいでちょうど良いのではないかと思っている。
もちろん、数字の上だけであり、所得控除できるわけではないが、自分の資産価値を正当に評価するには、何らかの形で資産価値の減少はカウントしておく必要があると思うからである。

1.日本の不動産投資の利点 ⇔ アメリカの不動産投資の欠点

 単にアメリカとの比較ではあるが、いくつかの利点を挙げておきたい。

1) 訴訟リスク
 一つは、訴訟リスクの低さ。たまに入居者の支払いが滞り、あるいは退去勧告にもかかわらず居座られたり、ということも聞くが、訴訟社会のアメリカとは比べ物にならない。

アメリカで、一般に賃貸を事業としようとすると、その不動産内で事故が起きた場合、所有者が訴えられる可能性が大きい。
例えば、庭にプールがある。そのプールに、近所の子供が無断で入って、もしおぼれたとする。
もちろんプールには、無断立ち入り禁止の札やら、ある程度の柵も設けてあったとする。
しかし、その札が目立たない、とか、柵も一箇所壊れていた、とか、勝手に入ったのはあちらであるにもかかわらず、それを棚にあげて、こちらの落ち度を理由に訴える。そして、被害者が勝つのがアメリカなのだ。

2)想定入居率
 二つ目の利点。これは現有する不動産に対して特化した話ではあるが、入居率(あるいは空き室率)の違い。
日本の場合、地域、立地条件さへ間違わなければ、それなりのメンテナンスをすれば、満室率は95%を超える。そして安定している。
現に私の場合も、今のところ日本のアパートは入居率100%で空きが出たことはない。

対して、アメリカの場合、もう一つ言えば、一戸建てへの投資の場合、投資判断するのに使う評価方法そのものがまるで違う。

私の場合の投資の判断基準は、入居率80%、つまり2年満室のあと、半年は空きになる、といいうことを前提に、ローン返却、資産税、災害保険、コミュニティ会費、庭・建物のメンテナンス費用、などなどを加味してプラスのキャッシュフローを生むところにおく。

これでぎりぎりプラスになれば、少なくともローン返却の中の元金返済分は資産が積み上がっていくことになる。そして、アメリカの場合は、地域によって異なるが、大抵の場合、これに値上がりも計算することができる。

つまり、日本はキャッシュフロー重視の投資vs.リターンを徹底的に検討したうえでの投資。アメリカは、当然キャッシュフローは重視するが、購入する不動産そのものより、その地域の不動産価格動向をより真剣に検討し、将来の値上がりの可能性も考慮しての投資判断となる。

3)資金調達
 日本の貸出金利は、現在のところ世界最低水準である。
例えば、日本で自宅を購入する場合、住宅ローンを利用するが、その金利はうまくすれば1.5%ぐらいの水準を確保できる。公的ローンを利用すると、その利率で固定にすることすら可能である。
 
対して、アメリカの場合、昨年度史上最低の水準になったと指摘されながらも、その時でさえ、変動で3.5%、固定で4.3%と言った水準である。もちろん、その3,4年前まで、良くて7%ぐらいだったことを思えば、相当な低利率ではある。しかし、日本のそれと比べるとかなり大きい。

しかも、FRBの方針にのっとって、昨年は6度の金利水準上昇への誘導が行われ、変動で3.5%であったものが、今ではすでに4.5%にまで上昇し、今年もFRBはその方向への誘導を続ける見込みである。

不動産投資に限らず、全ての投資において、その借入金の金利が1%違うと言うのは、相当な影響力を持つ。

この借り入れ金利での2%、3%の違いは、圧倒的な優位性である。


2. 日本不動産投資の欠点 ⇔ アメリカ不動産投資の利点

 これは、単純に言えば、日本の場合はやはり資産価値の上昇が期待できない場合がほとんどであるということ。

日本での不動産投資をしていることを、こちらの不動産屋さんに話すと、なんでそんな馬鹿なことを、と言われる。
つまり、彼らにとって、不動産投資というものは、資産価値の上昇があってのものなのだ。その意味で、日本の投資は、投資とは言えない、とまで言う。

かつての日本がそうだったように、アメリカではこのところ、地域差はあるにしても一貫して不動産価格が上昇している。

一部地域にいたっては、本当にかつての日本のバブルと同じように、4,5年で倍になることもある。幸か不幸か、ここアトランタでは、いまだにそのようなバブル的な価格上昇が起こっていないが、それでも年率3から7%ぐらい上昇している。

逆に言えば、バブル的な急激な上昇がないので、上に挙げた一部地域においては懸念されているバブル崩壊的な急激な下落のリスクも少ない、と言われている。

したがって、上の不動産屋さんにとって、ここアトランタ地区で不動産に投資するということは、短期的な売買差益は求めないまでも、最低4,5年の保有で、そこそこのキャッシュフローを押さえておけば、あとはこの価格上昇分がリターンの大きな部分を占める、というわけである。

振り返って、日本の不動産投資を見てみると、これは上で何度も書いているように、殆どの場合、完全にキャッシュフローからのリターンを確保しなければ絶対に報われることはない時代になっている。

将来的なインフレの可能性もなくはないが、不動産価格がそれに追随するかははなはだ疑問である。

したがって、日本で不動産投資をする場合は、アメリカ以上に、その出口戦略が重要となる。言い換えれば、いつまでその物件を保有し、売却するとしたら、どういうタイミングで売却するのか、そしてその場合はいくらぐらいで売却できるのか、そういったことを含めて、投資前に計算し、該当不動産のライフタイムリターンを確実に見極めて、投資判断をしなければならない。

ここにおいて、日本の不動産と、アメリカの不動産で、おなじCAPレートだとしても大きな違いがでてくることになる。

また、もう一つの観点は、おなじく、将来価値が減少するがために、日本での投資にローンを利用した場合、それをできるだけ早く返済することが、この投資を成功に結びつける絶対条件となってくることである。

また、そうしなければ、下手をすると、ローン残高が物件の評価額を上回ってしまうこともあり、上述した出口戦略での売却という選択肢がとれなくなってしまう場合が出てくる。

対して、アメリカの場合、極論すれば、金利が上昇したとしても、その金利分を返済するだけのキャッシュフローさえあれば、言い換えれば、元金が減らなくとも、物件の価格の上昇により、自分のEquity部分は増えていくことになる。

したがって、売却すると、ローンの返済は必ずその売却代金から支払うことが可能であり、かつまた、手元に何がしかの値上がり益が残る。

これが、上記で不動産屋が「本当」の投資と言っていたものである。

では、日本の投資は投資ではないのか、私はそうは思わない。

ただ、同じ資金を投資する場合、どちらが有利か、その判断の問題ではある。

私の場合、個々の投資効率という問題よりも、日本と米国の双方で、バランスのとれた投資をしたいと考えているので、日本でもあくまでキャッシュフローに徹して、投資を拡大していきたいし、また、米国でも当然、拡大を考えて行きたいと思っている。

ただし、これからの検討として、何とか、日本での低利の融資を、間接的にアメリカの投資にまわすことはできないか、つまり、日本で投下している自己資金を低利の借り入れに置き換え、その自己資金をアメリカ側で、高金利の借り入れ(比較して高金利であって、アメリカとしては最低の金利水準を確保しているのだが)の返済にあてる、といった運用面での改善の余地がないか、を考えているところである。



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