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2006/10/17(火)05:58

デュアルエージェンシー

起業(262)

  不動産の売買において、一人のエージェントが売り手と買い手の両方のエージェントとなることをアメリカではデュアルエージェンシーと言う。 日本で言えば「両手」ということで、物件を売りに出している不動産屋さんに買い手が直接コンタクトし、この不動産屋さんが売り手と買い手の間を取り持つ、という場合がこれに相当する。 日本では物件を捜すことを不動産屋さんに依頼することがどれくらいあるかわからないが、買いたい人が自分でネットなり広告なりを見て売りに出している不動産屋さんに直接コンタクトする、というのはいたって普通のことだろうと思う。 しかしアメリカではこれは非常に例外的で、買い手(Buyer)はほとんどの場合、買い手と契約したエージェントが物件探索、調査、売り手との交渉などをやる。 その場合、売主が支払うコミッションを、この売り手のエージェントと買い手のエージェントが、話を進める前に合意した比率でシェアすることになる。 しかしデュアルエージェンシーの場合はそういったコミッションをシェアする相手のエージェントが居ないので、もしコミッションをフルにもらったらそのコミッションは全て売り手のエージェントに入ることになる。 買い手としても、この辺のところを知っている人がいて、直接売主のエージェントにコンタクトしてきて、このコミッション分だけをまけろ、という要求をする人がいる。 今回、売りに出した物件に、最初に来たインド系の人がそれで、こちらのコミッション契約がどうなっているかは関係なく、この部分をディスカウントできるはずだ、と言い張る。 もう一つは、新居を購入するにあたっては、彼らが今住んでいる家を売らなければならないが、この売り出しもエージェントとしてやってもらえないか、そしてこの売り買いを通じてかなりのコミッションが入るはずだから、このセラーズエージェントとしてのコミッションも通常5%から7%ぐらいのところを4%でやってくれないか、という。 しかし、基本的に私の立場は、もとの家の売主のエージェントとして、この売主の売り上げを最大化するのが私の責任である。 エージェントとしては、彼らが要求するように、2軒の売買を手がければ確かに多少ディスカウントしても収入は多くなる。 しかしながら、こういった買い手に対してある意味「利害関係」を持ってしまうと、どうしても元の売主に対する上記責任があいまいになる恐れがある。 そんなことから、私としては(もったいない、とは思うが)この話を断った。 考えてみると、私が買い手の時は、同じようなことを売り手側のエージェントにぶつけたこともあったが、その時のエージェントはこれを承諾したことがある。 こんな場合は、初めに書いた「両手」をそのまま収入にできるような売主とのエージェント契約になっているのだろうし、その中からそのディスカウント分を出す、という図式なのだろう。 自分がその逆の立場になって、初めて相手の考えていることがわかる、ということはよくあることだ。 今回も、ちょっと売りと買いが両方重なって多少複雑だが、基本的には同じこと。 あまり、収入を上げることを優先して、クライアントへの責任をまっとうできなくなる可能性が少しでも有れば、これを引き受ける、という選択肢はないだろうと思う。

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