親父の涙
ある事件を切っ掛けに私は離婚を決意した。妻と別居して約1年、私は誰にも相談せずに頑張ってきた。もちろん私の両親にも相談することはしなかった。自分で何としなければと思っていたからだ。もうどうしようもなくなって、私の両親に相談した時のことである。私の父は「お前の意思が決まっているのなら、離婚した方がいい」と言ってくれた。私は、その父の言葉に安堵し、情けない話泣いてしまった。そして、これまで私が妻からどのような精神的な虐待を受けてきたを話した。息子に会わせてもらえないことも話した。妻の実家にとても粗末に扱われてきたことも話した。息子に会いに行っても、スリッパも出してもらえない。お茶どころか水も飲ませてもらえない。午前中から会いに行っても、昼食を出してもらえない。リビングの掃除をさせられる。洗濯も物をたたませられる。咳をしただけで怒鳴られる。ありとあらゆることを話した。私は妻の実家に泊まったことがない。結婚してから、年越しはいつも一人であったことも話した。そのことを話した時、私の父は嗚咽をもらした。あんな父の姿を見るのは初めてだ。私は父の涙を見て、離婚をして幸せになろう、新しい人生を歩もうと決心した。