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![]() 演出:ハリー・クプファー トリスタン:クリスティアン・フランツ マルケ王:ルネ・パペ イゾルデ:ワルトラウト・マイヤー クルヴェナル:ロマン・トレケル メロート:ライナー・ゴールドベルク ブランゲーネ:ミシェル・デ・ヤング 牧童:フロリアン・ホフマン 船乗り:パヴォル・ブレスリク ベルリン・シュターツカペレ、ベルリン国立歌劇場合唱団 今年観たオペラのベストの1つになると確信した。 もう5年前になるが、リングのチクルスをやってくれたときにはじめてNBSに感謝(!)したことを思い出した。「日本で‘リング’をこのオケと指揮者・歌手で上演してくれてありがとう!」と本当に思ったもだが、今回も同様の気持ち。 ベルリン×バレンボイム×ワーグナーってはずれがないのか。 ちゃんと日本向けに、演出もクプファーのを持ってきてくれているし、相次ぐ外来引っ越し公演の中では満足度はやはり高い。 「ドン・ジョヴァンニ」ではややクールだった客席も、今日は興奮に満ち、ブラボーの嵐。 なにが一番殊勲賞ものかというと、それはやはりオケとバレンボイムの音楽なのだと思う。ものすごく雄弁。伴奏のはずのオケが登場人物の心象風景を徐実に表現していて、泣けるのもオケの音楽によってだ。休憩含んで5時間。一瞬も眠くなることなく、舞台に集中していた。 休憩時間にオケ・ピットを覗いたら、あまりに深くて怖いくらいだった。それくらいでないと舞台上の歌手の声とのバランスがとれないのだろう。その深いピットの中で、指揮台がすごく高い(これも怖かった)のと、バレンボイムの前に譜面台がない(=暗譜している)のに驚き、なんか休憩後のオケの音がより一層迫力を持って聞こえた。 舞台上は地に落ちた(下半身が地にのめり込んだ)天使のオブジェが1つ。なのに、見ていて飽きない。歌手を的確に動かしているからか。歌手は天使の背中に乗ったり、翼に乗ったり、寄り掛かったり。 天使は泣いているのか祈っているのかわからない。堕天使かと思ったけど、邪悪ではなさそう。大天使だとしたらガブリエルかラファエルかしら・・・などとついつい余計なことを考えていた。 結局、「天使」の意味はわからず。 それでも片翼は上にはねあげ、もう片翼は下に下がったそのバランスは美しく、このオブジェは回転するのだけど、どの角度からも美しい。正面から両翼が1列に見える瞬間があるが、そのときは翼の表面の模様が美しかったりするのだ。 ワグネリアンな方々は、「音楽に集中できていい」などと言っていたが、歌手がこの翼のどこに位置をとるかで、そのときどきの心理的な関係などもわかり、秀逸な演出であることは間違いない。 歌手は、マルケ王のルネ・パペへのブラヴォが一段と大きく、ついで主役2人とブランゲーネというところか。ルネ・パペは好みなバスだが、以前より一層存在感が増した。この際、フランツが英雄に見えない・・というくらいは小さなこと。トレーケルにも期待していたが、オケの音にかき消されるところが若干あって残念。あの八頭身は今日の衣装でも映えてカッコよかったのに。 なにはともあれ、歌手も最高の布陣だった。 「11日の神奈川での公演の方がすごかったな」なんて感想をもらす知人がいて、そうなると一期一会になった自分が悔しい(笑)。この組合せで、ワーグナーの他の作品もまだまだ観たいもの。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.10.15 00:38:20
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