ABECCO-NARARA

2011/02/07(月)20:54

中街道で最大の「町家」?

奈良(78)

中街道の「ハイライト」は「古梅園」でしょう。奈良でもっとも古い「墨屋」さん。「炭屋」さんではなくて文字を書く「墨」のほう。椿井小学校のお向かいにある「古梅園」は、奈良でというより日本で「業」としての墨の製造販売を行う店としては最古だと言われています。小学校の授業でも「松井道珍」という名前を教えられました。 奈良の墨についてはこちらを参照下さい。 奈良の伝統工芸「墨」    こうやって写真を撮ってみると、あらためて間口の広い大きな家だなと思います。地図上で図ってみると30mほどでしょうか。ところが、奥行きがまたすごい。隣にある「椿井市場」の長さ分がそっくりこの古梅園の奥行きで、およそ100mほどもあります。京都や江戸にも支店を持って墨を供給していたといいますから、その工場と考えれば無理はありません。 菜種油の火を灯して、蓋を乗せ煤を採るところからはじまって、ニカワを溶かして香料などと一緒に混ぜて練り込み、木型に嵌めて形にする。じっくり乾燥させて、磨いたり彩色したりして木箱や紙箱に収めて製品になるまで、ずいぶんたくさんの工程と時間がかかるといいます。(一口に書いてしまいましたが)  真ん中の写真中央に、工場の奥まで通じるトロッコの線路が見えています。100m近くもあれば、そりゃこういう施設も必要ですね。少し前の朝ドラで出てきた「川越」の「甘玉堂」にもトロッコがありましたが、あっちはそんなに奥行きあったんだろうか。 追記)古梅園の奥行きを写真で示すのは大変なことです。通りが狭くて、端まで見通す写真は難しいのですが、良い写真がありました。入江さんの写真集「古都の暮らし・人」のfig.20「率川神社付近 昭和30年ごろ」というのが、古梅園の西北角から、ずうっと先の椿井小学校前までいくつも続く古梅園の建物がきっちり写っています。今は、率川神社との間が「やすらぎの道」で隔てられていますが、たしかに「付近」には違いないでしょう。 

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