2nd flier:宮崎出身の若「オクサマ」
東国原英夫氏が宮崎県知事になってちょうど1年になります。知事の積極的な宣伝活動のおかげで、宮崎を訪れる観光客数や特産品の売り上げが大幅に増加するなど、「宮崎ブーム」が巻き起こり、いまだにそれが収まる気配はありません。そこで今回は、数年前にデビュー曲が人気となった、宮崎出身のガールズデュオを「フライヤー」として取り上げたいと思います。時は1999(平成11)年、宮崎・西都市のとある公園で、女の子2人組がストリートライブを行なっていました。彼女たちの名は、児玉美代(通称:おだま)と梅原恵里(同:うめぱら)。高校の同級生で、意気投合して結成したのがこのデュオ。そして彼女たちは、10代の音楽の祭典である「ティーンズ・ミュージック・フェスティバル(TMF)」に出場します。この出場応募用紙に書き込んだバンド名は、「0930(おくさま)」。たまたまテレビで見た女性用かつらの問い合わせ電話番号にちなんだ名前でした。「♪パカパカパーン」ですね(?!)。「♪パンパカパーン!」は漫画トリオですよ(笑)。で、脱線しましたが(笑)、その「TMF」に九州南エリアから出場、そして見事、ニッポン放送奨励賞を受賞します。この時に歌ったのが、後のデビュー曲となり、かつ人気を博した、「山田君」という曲です。この「山田君」という曲は、どこの学校にも一人はいそうな感じの男の子に対する恋心を歌ったラブソングです。別にある特定の“山田君”をモデルにしているわけではないそうで、代表的な名字である「山田」をそのような男の子の名前として用いて詞を書いたのではないかなぁと思います。そういえば“山田”で思い出しましたが、ヤマダ電機の社長でかつ創業者の山田昇さんって、0930と同じ宮崎県のご出身なんだそうですよ。あー、また脱線しちゃった(笑)。で、ですね、「山田君」を作詞・作曲したのは、実は0930の二人ではなくて、彼女たちの共通の友人である、橋口靖正さんという方です(彼女たちよりは2,3歳年上)。そしてこの「山田君」で、TMFのインディーズ・レーベルである「ティーンズ・レーベル(←そのまんまや!)」からCDデビューすることになります。このシングルCDは2000(平成12)年2月23日に発売され、地元・宮崎で爆発的なヒットとなりました。発売された頃というのはちょうどサザンオールスターズの「TSUNAMI」が全国的な大ヒットとなっていましたが、それを差し置いて地元のCDチャートの1位になることさえありました。その後もヒットは続き、聞くところによると、30週連続でチャートトップ3に入るという恐ろしい(!?)記録を作ったそうです。この頃すでに、メジャーでデビューしたいという気持ちがあったそうですが、担当プロデューサーから時期尚早と言われ、また曲がないという指摘もあり(先述の橋口さんがすべての曲を作っていた)、自分たちでも作詞・作曲しようという気持ちが芽生え始めます。そして、インディーズデビューから5ヶ月が経った7月29日、「山田君」がヒートウェーブ(当時の日本コロムビア系列のレーベル)から発売、メジャーとしての本格的な音楽活動を始めます。といっても、この頃はまだ高校在学中(3年生)だったため、しばらくは東京と宮崎を行き来する生活を送ることになります。で、メジャー版「山田君」のシングルには、梅原さんが作詞・作曲した「七色の夢」という曲も収められています。また、プロモーション・ビデオも制作され、二人が活動拠点である通称“ぞうさん公園”で歌う姿が映し出されています。地元・宮崎でのインディーズ盤大ヒットや、現役高校生デュオであること、また楽曲のユニークさから、各メディアが彼女たちのことを取り上げるようになります。そして、全国的にもこの曲や彼女たちの名が知られるようになり、メジャー盤も、チャートの上位圏にまでは入らなかったものの、ヒットすることとなりました。その後、テレビやラジオなどでの露出が増え、持ち前の明るさで人気者となり、高校卒業を機に東京へ本格進出します。「山田君」の発売後しばらくは、ニューシングルのリリースはありませんでしたが、01(平成13)年2月21日に2ndシングル「10年後」を発表、その年に計4枚のシングルを発売します。しかしながらこれらの楽曲は、テレビ番組のテーマ曲に起用されたりしたものの、あまり話題にならず、ヒットにも結び付かなかったようです。また、同じ年の9月26日にはアルバム「チョコバナナ」を発売、しかしこれが0930にとって最初で最後のアルバム・リリースとなりました。その翌年は6月の企画ものシングルと11月のオリジナル・シングルの発売だけにとどまり、彼女たちの活動も徐々に失速傾向になっていきます。さらにその次の年(03<平成15>年)に至っては、CDリリースが全く無く、0930はもはや“フェードアウト”状態になってしまいます。そして、2004(平成16)年3月31日、0930は3年8ヶ月のメジャー活動に終止符を打ちます。このことは公式サイト上でしか発表されず、あまりにもさびしい解散となりました。解散後の2人の活動ですが、児玉さんは宮崎へ帰郷し、地元のテレビやラジオの番組にレギュラー出演、いわゆる“ローカルタレント”として活躍しておられます。またブログもやっており、そこで彼女の近況を知ることができます。ちなみに最近は、おいしいカレーを食べたんだそうです(笑)。一方、梅原さんは東京に残って音楽活動を続けておられるそうです。一応公式サイトもあるのですが、わりと簡素なもので、あまり更新もなされておらず、ここ最近どうしているのか気になるところです。ちなみに“影のプロデューサー”(?)橋口靖正さんですが、現在は「LOVEMART」名義で音楽活動を続けているとのことです。メジャーとしての活動は比較的短期間だった0930ですが、いつかまた全国ネットの番組か何かであのハーモニーを聴かせてほしいものですね。今度はできたら「奥様」の立場でね(笑)。ということで今回は0930の「山田君」を中心にお送りしましたが、次回からは別の“山田”にちなんだヒット曲と“フライヤー”を紹介していきたいなと思っています。お楽しみに!追記:このコラムで、ひょんなことから「漫画トリオ」の名前を出しましたが、その中心メンバーで、昨年亡くなった横山ノックさんの本名も“山田”でした。♪ヤマーダ、まーだまだ、多いんだ~(笑)