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カテゴリ:仕込風景
金沢の油与商店です。
前回に続き江戸時代からの伝統製法についてです。 「河豚の卵巣のぬか漬け」は解毒のメカニズムが未だ解明されていないため、今まで事故を起こしてこなかった作り方を忠実に守る必要があります。 本漬けした卵巣を漬け込んだ木桶は貯蔵庫に保管しますが、その間は2年以上! 蓋の縁のまぎ藁(桶と蓋の間の隙間を埋めるパッキンの役割を果たします)が乾かないように、自家製のいしる(うるめいわしの魚醤)を漬物の差し汁として適時注ぎます。 ![]() その役割として
特に寒暖の差が激しい春先、そして冬前には米ぬかが乾きやすく、水分を次々と吸い込むので、商品の腐敗を防ぎ且つ旨味を吸い込むいしるを差すという作業が非常に重要になるのです。 「河豚の卵巣のぬか漬け」に関してはこの作業を2年以上いなければならないので、気が遠くなるような、まさにスローフード極まりといったところでしょうか。 因みに2年以上漬け込んだ木桶は赤く色づきます。この赤みは、いしるが糠床から桶の隙間を搔い潜り、染み出したものです。 ![]() この赤みこそが、いしるをたっぷりと吸った、そして熟成が進んだ証しであるといえます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.04.19 09:00:11
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