書肆アクセス半畳日録

2005/08/25(木)19:14

創刊20周年『彷書月刊 240号 2005年9月号』!

 台風ですね。  毎度のことながら台風にはお給料日あたりに来るのはやめていただきたいです。給料前日、昨日までにきてくれればいいのに…と自己中心的に考えます。ま、お天気ですから逆らいませんけど。  さて、われらがリトル・マガジン、  ●『彷書月刊 9月号』田村治芳編・彷徨舎刊・630円・ISBN4-906287-88-3  が入荷しました。  →特集「Twentey」。20周年だそうです。  久しぶりに「がっちり買いまショー」開催。坪内祐三さん、坂崎重盛さん、岡崎武志さん、紅一点・石田千さん。みなさん1万円を目指し細かく通好みのお買い物をされています。優勝者はヒ・ミ・ツ。  南陀楼綾繁さんは「古本」が変わってきた背景をこの十年を通じて分析。なるほどな、と思った。予想を越えて変化していくんだな、と。それが面白いんだな、と感じました。  宮下和夫さん(弓立社)と赤田祐一さん(飛鳥新社編集者)の対談「編集者が歩いた神保町二十年」は大変面白かった。「ワンダーランド」など今はなくなってしまった古本屋さんの詳しいお話や「東京おとなクラブ」事務所、井光書店、東京泰文社などを知ることができました。弓立社さんのベストセラー『東京女子高制服図鑑』のエピソードや当時の本作りのお話などとても面白い。二十周年の記念にさまざまな方が寄稿されています。それぞれの二十年という感じ。自分の二十年とも重なります。ふー。  古書現世の向井透史さんから非売品の●『早稲田古本劇場 第四幕 胡蝶掌本102』向井透史著・胡蝶の会(非売品) が送られてきました。ありがとうございます。  向井さんの文章はユーモアがあって、それでいて隙がなくぐぐっと読ませる緊張感がある。本書も早稲田の古本屋「古書現世」で出会うさまざまなひとたちとの出会いの話。変なひと多いね。愛すべき変なひと。「古本劇場」とはよくいったものだと関心してしまう。店って面白いよね。と改めて思う。以前のもすてきだったけど抽象画の表紙もまた新鮮。  ●『神秘のベニクラゲと海洋生物の歌-"不老不死の夢"を追う』久保田信著・紀伊民報社刊・1500円・ISBN4-907841-03-5  →新刊ではないんですけど。本日郵送のご注文が入りいつもはあまりよく読まない動物系の本書を読んでみると、この本メチャ面白い(素人にも)。トンデモ本か!(失礼)と思うほど常人(私)には想像を絶する世界を研究されているのが久保田氏です!久保田氏は京都大学フィールド科学教育研究センター海域ステーション 瀬戸臨海実験所の学者さん。「ベニクラゲ」の研究第一人者。  ベニクラゲが「不老不死」といわれているってご存知でした?  そもそもベニクラゲって知ってる?花クラゲ目クラバ科ですよ。何となくかわいいですよね。  クラゲは通常「ポリプ」の枝からクラゲとなる「実」のようなものができて育つそうです。(もうこの辺で…?)そして幼いベビークラゲ→親クラゲ(成体)となり有性生殖(卵子・精子)をして「プラヌラ」という幼生を産むか、そのまま退化し水に溶けてゆくのだそうです。(終)  しかし、久保田氏は、水に溶けたはずのクラゲが、無性生殖を行い(若返る)ストロンとなり→ストロンから「ポリプ」を発生→クラゲの元(枝)を作る…という若返り現象、"不老不死"を行っていると仮説を立てます。  その実験結果を詳細に報告するのが本書。べニクラゲ恐るべし。  久保田氏はこの「ベニクラゲ」や海洋生物に身も心も捧げていらっしゃるようで、本書には自作「ベニクラゲ音頭」の歌詞や作るにあたってのエピソードも掲載。CDも付いてます。  そして、日本の唄の中に登場する「海洋生物」、腔腸動物や軟体動物を調査収集もライフワークにしていられます。  例えば「スシ食いねエ!」(シブガキ隊)の「ホタテ、あわび、赤貝…」、「舟唄」(矢代亜紀)の「イカ」…。真剣に、「サザエさん」の「サザエ」とか「森のくまさん」(アメリカ民謡)の「白い貝殻」とか採取。うーん。  台風の日に読むにはかなりはまる本。すごいですよ、学者さんは。  「べニクラゲ」は簡単に飼育できるようで(先生談)育ててみたくなります。大人になった後水になっちゃってそのままだったら淋しいけど。  でも"不老不死"は人類の"夢"なんですかね。私はそうは思わない。大変だもの。(みつを風)

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