カテゴリ:TA-KUの行状
ちょっと遅くなりましたが、先日の土曜日5月22日、大手町の日経ホールでの月亭可朝・立川談春の二人会に行ってきました。
日経ホール、かなり立派です。来ている客層もいつもとずいぶん違って、何だかハイソなご夫妻のような方々が。きっと日経ホールで行われるクラシックのコンサートとか、そういうのに来ていて今日はたまたま落語、ということなのかも、と勝手に推測(笑) まずは二人でのトーク、そのあと続いて可朝さん、仲入りをはさんで談春さん、という流れ。 でもって最初の二人のトーク、たぶん予定よりもかなりオーバーした50分くらいのたっぷり。可朝さんはトレードマークのカンカン帽に羽織なし、のスタイルでした。 まずは可朝さんといえば、というか最近大相撲でも話題(?)になっている野球賭博の話から。 可朝さんがその昔警察に呼ばれた時、可朝さんは「自転車とか馬とかボートとか、他のスポーツにはお金を賭けていいのになんで野球はダメなの?」と聞いたら、「そのお金が暴力団の資金源になるから」と言われたんだけど、可朝さんはトータルでは勝っていたらしく、資金源になっていないぞ、と話したとか(笑)。 で野球賭博のルールを簡単に説明。ところが可朝さんより談春さんがその解説をして、可朝さんから「詳しすぎるんじゃない?」という突っ込みがあったり(弱いチームにはハンデがあって2点差で負けてもチャラになるとか)、最後の方で家を抵当に入れての大勝負、クラウンライターズが弱かった頃にそっちに賭けて勝った、とか、もう勝負師の話で盛り上がり。 そのあと、若い頃の談志さんが関西に来た頃の話に移り、談春さんも身を乗り出して。 当時の大阪での落語の会場では、「東京から来た落語家の噺にはそう簡単には笑わねえぞ」というような人たちをどっかんどっかん笑わせてすごい、と思ったのに高座から降りてきた談志さんが「うーん、失敗した」と言ったとか。 面白かったのは、可朝さんが談志さんの落語は二流だ、と当人に向かって言った話。 可朝さんいわく、「情景描写をする前に俺は上手いだろう、と思わせてしまうのは二流」とのこと。その視点からすると、文楽さんも円生さんもそうなんだとか。それに比べて、志ん生は凄かった、という話。長く落語家をして色々な人の噺を聴いているからこその面白い視点で、なるほど、と思わされました。談春さんにもある意味ドキ、とさせる話だったかも。 あと、実は可朝さんと今は亡き古今亭志ん朝さんが生年月日が一緒だということを談春さんが話し、「星座占いとか干支占いとかは絶対ウソだ、と分かるでしょ?」という話で笑いを取り、お互いが同じ誕生日だったことを知るいきさつとかを可朝さんが話して、志ん朝さんの大ファンだった談春さんも興味津々。 また、可朝さんの師匠、人間国宝の桂米朝さんにもダメだしを。桂三木助になりたかったのだけど、そのお披露目をしようと思った大阪の歌舞伎南座の支配人に「どれだけお客を動員できるのか?」と言われて別の大箱でやってみて全席埋まらなくて断念した話とか、「あの人は先輩から口述で教えてもらうんじゃなくて、昔の話を本から覚えてやったけど、それはダメ」ということ。ふむ。 で、たぶん予定よりも大幅に延びたトークのあと、可朝さん登場。 大阪のおばちゃんの話をいろいろとして、これは雑談で終わるのか?と思ったら、「狸の賽」に。 子供にいじめられていた小狸を助けた博打打のところに恩返しでその小狸が来て、サイコロに化けて最初は賭博場でいい調子だったもののものの・・・という噺。 さすが可朝さん、賭け事の状況描写もビカいち、力の抜け方もお見事、楽しませていただきました。 仲入りをはさんで談春さん登場。 賭け事の噺で重ねてくるか、もしくはトークで出ていた「上手い、と思わせるのが先に立つ」人情話でくるか、と思ったら、「先ほど可朝さんから言われていた、本で覚えた噺をやります」という宣言とともに「百川」を。 料理屋に斡旋業者からの紹介で来た百兵衛さん、訛りがあるためお客さんとの会話の勘違いで色々と騒動が起きるんですが、百兵衛さんの人の良さを演じる談春さん、楽しそうでした。 ・・・しかし、可朝さんがここまで落語に対するクリアな視点を持っていて噺自体も面白い、とは思っていなかったので、これは嬉しい誤算でした。また観たいです! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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