AD/Marketing-BIZな日々 by T.Suzuki

2010/07/17(土)10:32

「お布施の目安」をイオンが提示。

世の中の話題から(311)

7月2日付の産経新聞に、「イオンが葬儀紹介サービスの中でお布施の目安を提示」という記事が載り、続いて7月15日付でその記事に対して「賛否の反響が569件寄せられ、85%が賛成」だった、というフォローの記事が載りました。 これ、イオンが行っている葬儀紹介サービスのメニューの中に、「(サービスを申し込んだ方に)寺院を無料で紹介します」というページがあり、その中にお布施の目安を記したことに仏教会から反発が起こっている、ということなんですが。 イオン側のコメントは(コーポレート・コミュニケーション部) 「『布施の価格が分からずに困った』『寺に聞いても、はっきりと教えてくれない』といった声が多くあり、それに応えることにした」 「疑問と不安のない明瞭(めいりょう)な価格を提示するのは当社の理念。8宗派、全国約600の寺院の協力も得られることになっている」 それに対して全日本仏教会の戸松義晴事務総長のコメントは 「布施をどう考えていいか分からないという声があるのは承知している」 (ただし)「布施は言われて出すものではなく、出す人が額などを決めるもので極めて宗教的な行為。価格を決めて商品のように扱うのはいかがなものか」 で、その記事に対して多く(569件)の反響が寄せられ、85%の賛成意見の多くが「自分が葬儀を出した時に困った経験がある」という体験談だった、ということ。 賛成側の主な意見は: ・「『気持ちの問題』といっても目安がないと、どう考えていいか分からない」(100件以上) ・「僧侶から『お気持ちで』といわれて布施を渡したら、『これでは少ない』といわれて返された」(13件) ・「昔のように檀家(だんか)が寺との代々のかかわりの中で布施を決めることができる時代ではない」(9件) ・「布施がいくらか分からないと、葬儀費用を用意する際に困る」(3件) また、こんなコメントも: ・「自分の寺では、きっちり価格を示してくれるのでありがたい」(9件) でもって、反対側の主な意見は: ・「金額を明示することで、低所得者にとっては過大な負担を強いることになるのでは」(5件) ・「何でもかんでも消費者のニーズといって価格破壊をおこせばいいとは思わない」(1件) ・「金額に幅を持たせた目安を示したほうがありがたい」(5件) また、「布施を出すことは宗教行為である」との立場の反対意見もも多く、 ・「人の心に対する値段を明瞭(めいりよう)化する必要があるのか」(5件) ・「寺に出入りするのは消費者ではなくて信者、信徒。そこに定価はない」(1件) ・「先祖供養をきっちりとしていれば、おのずと布施の金額は分かるはず」(3件) それから双方の意見に共通し、僧侶の世俗化を嘆く意見も多く、 ・「高級外車を乗り回すなど出家者とはいえないような僧侶に、偉そうなことが言えるのか」(4件) ・「税制で優遇されているのに、高い布施を取るのはおかしい」(6件) ・「なぜ戒名にランクがあり、値段が変わってくるのか」(4件) ・「『気持ち』というなら1000円、1万円でもいいのか」(13件) 僧侶、住職からも20件近い意見が。 ・「営利企業が、公益法人を利用して商業活動を行うのは大問題だ」(副住職男性) ・「目安はあってもいい。自分は寺の側から『××円以下にしてください』と伝えている」(浄土宗住職) 最後に、全体に共通して「日常的に檀家との付き合いが足りないから、このような問題が起きる。寺院は反省すべきだ」という声が僧侶だけでなく檀家の側からも多く寄せられたそうですが。 *** 個人的には、やはり普段こういう世界とのつながりがない身としては、一定の目安を教えてもらえるのは大変ありがたく思います。 結婚のお祝いとか、お葬式のお香典とかもそうですが、世間相場というものを知らずにやってしまうより、相場を知った上で自分としてどうするのかを考えることができるから、です。 受け手側が「目安」に対してちょっと神経質になっている気がするのは、ベールに隠されていた部分が透明化されることに対する抵抗感もあるのかもしれません。 しかしそれとは別として、自分の親がそうなった場合に、どの戒名をどのレベルの葬儀でやるべきなんだろう、というのも考えさせられた記事でした。

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