2006/09/03(日)23:49
決して違うと思います~その1~
8月22日のニュースより。
ユベントスのイタリア代表カモラネージが、
クラブのセリエB降格を理由に退団を希望している(結局、移籍は成立せず残留)。
カモラネージの代理人のコメント。
「カモラネージはユベントス残留を考えていない。
彼は先日ベッテガ・ユベントス副会長らと話をし、その意思は伝えた。
カモラネージは普通のプレイヤーではない。
彼は世界チャンピオンなのだよ。
クラブは彼の意思を尊重しなければならない。
そして私は、カモラネージに来ているバレンシアとリヨンからのオファーを
容認すべきだと考えている。」
イタリアサッカー界を揺るがしたユベントスを中心とした不正疑惑。
これによりセリエB降格が決まったユベントスからは多くの選手が新天地を求めて飛び出した。
その多くは代表レベルの選手であり、大舞台での経験も豊富な、名の通ったプレイヤーである。
よりレベルの高いところでプレーしたいと思うのは当然であり、
Bでプレーするということを己のプライドが許さないのかもしれない。
よって多くの選手同様、カモラネージもBに降格するユベントスではなく、
トップリーグでプレーする新天地を求めたのである。
一方、クラブとしては1年でA復帰を果たす必要がある。
しかしながらAとBとでは収入の面で雲泥の差があり、経費削減を迫られている。
一番手っ取り早く削減出来る経費は人件費であり、今回の大量放出に繋がったが、
1年で復帰を果たすための体力、つまり選手層も残しておかないといけない。
つまりは選手の放出は極力避けたいのが本音であり、
放出するなら出来るだけ多くの移籍金を懐に収めたいのである。
両者にはそれぞれの言い分があり、どちらも無理難題を言っているのではない。
しかしながらそれぞれの言い分は別の方向を向いており、
どちらが正しい、正しくないと判別することは出来ない。
ただ1つだけ腑に落ちないのは、
「世界チャンピオンだから彼の意思を尊重しなければならない」ということ。
確かにイタリアはワールドカップで優勝した。
しかしカモラネージ1人が優勝したのではなく、優勝したのはイタリアではある。
つまりイタリアというチームとして優勝したのである。
もちろんカモラネージも優勝に貢献した1人だが、
だからといって意思を尊重しなければならないことはない。
チャンピオンに限らず、人の意思はある程度は尊重されなければならず、
チャンピオンだからといって全てが思い通りになることもない。
「世界チャンピオンだから彼の意思を尊重しなければならない」
決して違うと思います。
ほな、また。