As’s HOLE ~ぼくのプレミアライフ~

2007/06/03(日)01:49

ウサギは寂しいと・・

Liga Espanola(50)

「ウサギは寂しいと死ぬ」 一度は聞いたことある話であるが、実は間違いらしい。なんでもウサギは縄張り意識というものが非常に強く、争いを避けるために単独で飼う方が良いのだそうだ。 サッカー界において、ウサギという意味の「コネホ」の愛称で親しまれているバルセロナのサビオラであるが、今シーズンで契約が切れるにも関わらず未だ契約更改を行っていない。 「もう1度バルセロナとの関係を見直したい。  最高の形で終えたいとは思っているが、  バルセロナは最初の選択肢ではなくなってしまった。  クラブとの関係は変わってしまった。  ヨーロッパの他のクラブと話し合う以外に選択肢はない」 これはサビオラ自身のコメントであるが、おそらく来シーズン、サビオラがアスルグラナのシャツを着ていることはないだろう。 母国アルゼンチンのリーベル・プレートでプロデビューをスタートさせたサビオラは2001年のワールドユースで7試合11得点の活躍で得点王とMVPを獲得し、アルゼンチンの優勝に大きく貢献した。同年に念願だったヨーロッパへの挑戦をバルセロナでスタートさせたサビオラは3シーズン連続で20得点以上を挙げ、チームに欠かせない得点源としての活躍を見せていた。 風向きが変わったのは2004年。 会長選挙でラポルタが当選し、監督にはライカールトが招聘された。自分色を打ち出してバルセロナの復活を見せようと息巻いたラポルタはまず、前会長ガスパール色を打ち消すことから始め、その筆頭がサビオラであった。ガスパール時代にバルセロナにやってきたサビオラは、貢献度や献身的態度で言えば、いわゆる外様ながら、チーム1,2を争うような選手であったにも関わらずラポルタの政策によって冷遇されることになってしまった。 04-05シーズンはモナコへ、05-06シーズンはセビージャへローン移籍をせざるをえない状況のなかでも、サビオラの心は常にバルセロナにあった。バルセロナはどうにかしてサビオラを完全移籍で売却しようと考えたが、モナコにもセビージャにも高額な移籍金を支払うだけの余裕はなく、それは他のクラブも同様だった。もちろんバルセロナも金額を引き下げることで完全移籍への道を作ろうとしたが、ローン先での成績がそれ以前に比べて落ち、目立った活躍を見せることが出来ずにいた。2シーズンも活躍が残せなかった選手の価値が落ちないほど、現在のサッカー界も遅くはない。そんなことも移籍が決まらない要因の1つになっていた。 結局06-07シーズンはバルセロナに籍を置くことになったサビオラだが、チャンスは意外なところに落ちていた。エトー、メッシーの負傷欠場である。 サビオラと入れ替わりでチームの得点源になったエトーや、カンテラ上がりのメッシーの長期離脱によりFWの駒不足という問題を抱えたバルセロナ・ライカールト監督は仕方なくサビオラを使う決断をする。だが冷遇されても文句の1つも言わなかったサビオラは、自身のチャンスを見事に活かし、チームの危機を救う働きを見せる。 「やはりバルセロナにサビオラは必要だ」 このような周囲からの声が挙がるほど好調だったサビオラにしかし、バルセロナは契約延長のオファーは出さなかった。そしてエトー、メッシーが怪我から復帰すると、定位置のベンチに逆戻りしてしまうことになってしまった。バルセロナへの愛を示しながらもこの頃になると、自身の周囲を冷静に考えるようになってきた。 「まだ僕はバルセロナと契約しているから、他のクラブについては話したくない。  残るのか出て行くのか、僕にも分からないんだ。  でも、どんな移籍のオファーも検討するつもりだよ。  僕はバルセロナに残りたいけど、クラブから何の反応もないんだから」 モナコへ行ったときも、セビージャへ行ったときも、移籍とはいえローンであり契約上はバルセロナへの選手であった。だが6月で契約が切れ、かつクラブからは契約延長のオファーがないとなれば、別の選択肢も視野にいれるのが普通である。 今シーズンが終われば、サビオラは移籍金無しで他クラブへ移ることができる。現在ユベントスやレアル・マドリーなどが移籍先の噂に挙がっているが、これまでのように移籍金額を考える必要もなければ、バルセロナの危機を救った活躍に「サビオラはまだ死んでいない」という印象を周囲に与えたように思う。 ウサギは仏教界では献身のシンボルらしく、欧米ではウサギの足は幸運のお守りとして扱われているらしい。チームに献身的な働きを示すサビオラにまさにピッタリであり、どこのクラブに移るにしても、きっとその足(得点)で幸運を呼び寄せてくれるだろう。 コネホはまだ死なない。 ほな、また。

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