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「あぁ~昭和の映画」

「あぁ~昭和の映画」
映画は時代を映す鏡である。以前の作品に触れることはそれぞれの人たちの思い出や記憶の片隅に懐かしさを甦らせてくれる。自分が育った時代時代に重なるように、映画の歴史や印象は多くを語ってやまない。今回は「あぁ~昭和だなぁ~」と思わせる、思い出あるこの時代を映した映画を紹介することにする。
発端は「ALWAYS~三丁目の夕日」。昭和33年ごろを題材にしたこの映画は昨年の日本アカデミー賞を受賞した。説明不要の素晴らしい映画である。

昭和は60年有余の歴史を持ち、躍動をもってまさに激動の時代であったと振り返れる。戦前戦後と貪欲なまでに注がれた情熱は計り知れない力とアグレッシブなまでに燃えいずるエネルギーがあった。砂漠の渇水の如く、多くのものを吸収創造の道を歩んできた。故に経済復興を今に繋いだ。映画も然り、昭和の映画産業は明治の維新と同様に電光石化の如く注がれた。現在では大凡考えられないほどのエネルギーが映画という文化にも革命的に起きたのである。人々は文化に映画に餓えていたのである。時に昭和33年ごろの映画人口は年に10億人以上の動員客数があり、一人あたり年に10回ほど映画館に足を運んだことになる。ちなみに人口はおよそ1億人。現在は1億2千万人の人口で動員客数は年に約1億人。娯楽の多様性、変化は著しいとはいえ、一極集中したエネルギーは比べられないものがある。

そこで映画を観て「あぁ~昭和だなぁ~」と思うものを羅列してみた。情景や風景、出てくる人物像、ストーリー、そして映画の観点などを織り交ぜて上げてみた。
時代劇も昭和と感じる世代の方たちもいれば、昭和の終わりごろにヒーローシリーズと出逢った世代層にとっては「昭和」は短すぎたといえるだろう。だから世代、年齢によってそのポイントとなる作品は異なる。生活様式や男性女性という観点からも違いが出てくる。「ALWAYS~三丁目の夕日」は大よそ昭和の真中辺り。この昭和30年前後からを中心に選択してみることにした。それでは独断と偏見交じりで上げてみることにしよう。

24年「青い山脈」 25年「カルメン故郷に帰る」 戦後の躍動する姿に奮い立つ。若い血潮に新しい夜明けを感じる。まさに戦後昭和の先駆的作品。

27年「東京物語」 29年「晩菊」 32年「喜びも悲しみも幾年月」 33年「彼岸花」35年「秋刀魚の味」 小津、木下両監督が落ち着き始めた日本の日常を描いた。昭和を確立した金科玉条的作品。

37年「キューポラのある街」 40年「東京オリンピック」 高度成長への兆し、見え始めた国際感覚への仲間入り。まさに東京オリンピックは分岐点になった。

44年「男はつらいよ・シリーズ」 58年「蒲田行進曲」 62年「キネマの天地」寅さんシリーズが典型的な昭和を形作る。圧倒的大衆人気と日本人のアイデンティテイがすべて入ったような、これぞ昭和の代名詞。

63年「となりのトトロ」 「火垂るの墓」 アニメにおいて昭和を描いた金字塔的作品。戦前戦後、現実と夢の世界が見える。などなど…

まだまだたくさん有るが、観た後に、やっぱり昭和だなぁ~と私の記憶が脳裏を駆けめぐった。様々な方たちのそれぞれの「昭和だなぁ~」と感じる映画は、洋の東西や現代劇のものに限られたものではなく、あらゆるジャンルに当てはまる。映画を通して垣間見る人それぞれの想い出に邂逅する貴重な宝物となるのである。そんな映画にまた出逢えることを望んでやまない。ALWAYSはいい機会を与えてくれた。
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