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パフューム~ある殺人者の物語 最悪だった

朝夕はまだ涼しい感じのする日々が続くが、春光待ちわびるという青空がここ数日続いている。そんな訳でhpの写真も衣替えをした^^それが精いっぱいの更新だったかな。

先週から映画のコラムと新作6作品の原稿を書いていて、昨日原稿を送り出し、その日の夕方にまた新たに依頼が来て、ちよっと前にやっと書き終えたところである。その後今まで「パフューム ある人殺しの物語」を観ていた。

パトリック・ジュースキントの禁断のベストセラー「香水、ある人殺しの物語」をトム・ティクヴァ監督が映画化した衝撃のサスペンス・ドラマである。ある“香り”にとりつかれた一人の青年が、その香りを追い求めるあまり、恐るべき凶行へと駆り立てられていくさまを緻密に緊張感をもって映し出している。主人公のグルヌイユは何キロも先の匂いを嗅ぎ分ける超人的な嗅覚の持ち主。たぶん動物の何倍という臭覚だったのだろう。誤って殺人を起こしてしまう運命の香りと出会いは、赤毛の女性からの匂いだった。人間の体からでるその匂いが殺人の引き金になり、次々と殺人を犯していく光景は、これは「映画だから」と自分に言い聞かせたほど。小生には後味の悪い作品に映った。
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この映画の最初のシーン、処刑執行を群集の前に曝け出された映像から場面から、最後の聖人と呼ばれるシーンは想像できない展開である。
孤児院から人に売られ、それから香水職人になり、次に殺人者になり、最後は聖人となる。ここに描かれた香水職人の時に、ダスティ・ホフマン役の香水調合師バルディーニからの教えを請うシーンがある。今までに12の生命を持つ香水が世界にはあるが、13個目が未だ解らないと...。それがこの香水に纏わる究極の香りだったのだろうか。
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天にも昇る快楽感が香りによって放つ一種催眠術のような香りは観ていて不思議な感覚を持つ。映画の背景、時代では倫理観も育つ状況下ではなく、殺人そのものに善悪の判断が出来るとは言いがたい青年がグルヌイユ感覚だ。これを芸術性と呼ぶにはおぞましく、最後のセリフも行くところ皆奴隷にすると語っていくさまは何とも...綺麗とは全く結び付かない映像で、本能のまま欲望と愛は違うものを追いかけた物語だったように映った。匂いや香りを映像化することは、限りなく難しいものだともあらためて思える作品だった。


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