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Drinker's Advocate

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2005.8月

8月20日

焼酎における蒸留法のちがい(常圧・減圧)についてのわかりやすい説明をみつけたので、転載する。


常圧蒸留:  やかんでお湯を沸かすような方式で、原料個性の豊かな焼酎ができる。常圧蒸留では釜内の醪温度が90~100度と、減圧蒸留よりも高いので、蒸留中にフルフラール(焦げ臭の元となる成分)などの二次生成物や高沸点成分が出てくる。これらが本来もっている低沸点成分の軽快な香りをマスクして、幅の広い芳醇な香味をもつ焼酎が生まれる。一般にいも焼酎、黒糖焼酎、泡盛などは常圧蒸留が主流である。新しい減圧蒸留の技術が導入される昭和50(1975)年ごろまでは、この常圧蒸留のみであった。減圧蒸留を採用することが多い穀類焼酎の産地にも、常圧蒸留した製品を造っている製造場がある。

減圧蒸留:  単式蒸留の方法には常圧蒸留と減圧蒸留がある。常圧蒸留は大気圧の下で、減圧蒸留は装置全体を減圧(真空)でそれぞれ加熱して蒸発させる。常圧蒸留の大気圧の下では釜の醪の温度が約90度くらいで沸騰する。減圧蒸留の場合には、真空度の程度にもよるが、50度くらいで沸騰させることができる。醪の温度を低い状態で沸騰させると、発酵中の醪のような軽快な香りをそのまま得ることができるため、雑味成分の少ないソフトな焼酎ができる。現在では米焼酎、麦焼酎、そば焼酎などの穀類焼酎に多く採用されているが、いも焼酎でも採用するところが出てきている。飲みやすい焼酎として人気がある一方、原料特性がうすいので、物足りない面もある。

イオン交換:  海水を真水に変える方法のひとつに、イオン交換法があり、これを焼酎に利用したもの。蒸留直後の本格焼酎にはいろいろな成分が含まれているが、濾過することでその成分量を加減できる。イオン交換法は含まれている成分を最も除去できる。残っているのは、水、エチルアルコールのほかには主に香りの成分で、非常に軽快でチューハイも利用することができる。1970年代に麦焼酎に利用されて、飲みやすい焼酎として急激に普及した。イオン交換された焼酎は1980年代より本格焼酎のなかで全国的に最も多く消費されている。ただ甲類焼酎に似ているということで、最近では甲類と一線を画すよう、個性化の方向が見える。



Q. 常圧蒸留と減圧蒸留の違いはどこにあるのですか?

A. 真空ポンプで単式蒸留機の内部の圧力を大気圧以下に下げて行くと、モロミはより低い温度で沸騰しはじめます。たとえば水は海抜0メートルの平地では100度で沸騰しますが、海抜3776メートルの富士山頂では87.4度で沸騰しはじめるのは、大気圧が平地の1気圧から空気の薄い富士山頂では0.63気圧に下がるからです。すなわち減圧蒸留では、蒸留機内部の圧力を大気圧の十分の一程度まで下げ、モロミの温度が40~50度の低温で蒸留できるようにしています。そのため、蒸留中にモロミ成分が熱で分解されることが少なく、焼酎で後留臭といわれる焦げ臭もつきにくく、また、たとえば油性成分のような沸点の高い成分は蒸留されにくくなります。したがって減圧蒸留でつくられた製品は、常圧蒸留のものと比べて風味の軽いタイプのものとなりますが、その反面、原料の特性があまりでておりません。本土では、最近のソフト化ムードのなかで、甘藷焼酎を除き減圧製品が穀類原料の本格焼酎の主流を占めつつありますが、伝統の味にこだわる沖縄の泡盛は常圧製品を主流としてつくっています。常圧製品に比べて減圧製品では、古酒にした時の熟成効果が上がりにくいことも、常圧蒸留にこだわる理由の一つです。


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