観劇日記~夢のあとに~

2017/12/10(日)21:17

ペール・ギュント@世田谷パブリックシアター

演劇(152)

世田谷パブリックシアターの20周年記念公演、日韓文化交流をうたった作品「ペール・ギュント」。祝祭要素がちりばめられた音楽劇でした。 演目が発表されてから、演出のヤン ジョンウン氏の過去の作品動画を確認したり、他の演出家の同作品の感想を検索したり。韓流ドラマや映画も観ないので、韓国作品には詳しくないから、はっきりいって不安。理解できるの? 昨年観た舞台「鱈々」(韓国の戯曲)などの印象から推測すると、濃い、あからさま、暗い、鮮やか、辛い、などの言葉が浮かんできました。 プレビュー(12/6)開演時間19時。 劇場内が一旦暗くなり、いよいよ始まる!緊張感もマックス!(なんせ最前センターという奇跡の良席w)というところで開幕が30分押すシステムトラブルが発生。 客席トラブルもあり、どよーんとした空気に。ほとんどの観客は静かに待っていたけど、みんな内心動揺していたはず。 20分くらい経った頃かな。突然「ペールで~す!」と浦井くんの明るい声でのアナウンスが響く。あっという間に劇場の空気も柔らかくなり、ありがたかったです! 冒頭は、身毒丸を思い出す演出だった。スローモーションで期待度も上がる。ただ、この日は席が前だったから、表情や衣装の隅々まで見えて観察するにはよかったけれど、肝心のラストのペールの表情が見えず、今一つスッキリしないで終わってしまったことが残念でした。 どこから役者が出てくるかなどの展開もわからないから、きょろきょろと気持ちが落ち着かない。でもそういう状況が、初日(今回はプレビュー)ならではの楽しさでもあるのです。 「ペール・ギュント」。音楽は有名だけど、原作も読んでいないので、観劇中はファンタジーの世界についていくのに必死。それでも、見終わった後は、あ~チケット減らさなくてよかったという思いに(笑)。どの舞台も自分の目で見て判断しなくてはね。 初日(12/8) で、中一日空いて、12/8が初日。この日はプレビューの良席とは違い、2階2列目。椅子が高くて足置きがある世田パブ独特の椅子は疲れるけれど、見晴らしは抜群。 なんといっても、終盤のペールの表情がよく見える!この表情がこれまでの冒険の意味を語るんだから、そこが見えなくてはお話にならないわけです。今回は2階席ばかりチケットがとれて文句も言っていたけど、照明の効果もよくわかるし、猥雑な場面も遠目だときれい(笑)。 ファン目線で言えば、ペールの表情がくるくると変わり、大変魅力的な浦井くんが堪能できます♪ 声もとても安定していて、1人で難解なセリフを言う場面もきちんと空気をつかんでいていると感じた。 ただ、1階前方だと台詞がクリアに聞こえるけれど、2階は場面によっては少々聞き取りづらいことも。感情が高ぶると聞こえづらくなる傾向があるからね。今後に期待です。 個人的にはトロールの王様(石橋徹郎)がお気に入り。晩年に再会する場面が面白いんだよね。トロールも老けるのね。 石橋さん、浅野さんが出てくると安心して観ていられる。それから、マルシアさんは母親役はもちろん歌の場面も素晴らしい。最後の歌声は胸にぐっとくる。あの歌がなかったら、ペールもあの最期は迎えなかったかもというほどでした。 原作:ヘンリック・イプセン 上演台本・演出:ヤン ジョンウン 出演:浦井健治 、趣里、万里紗、莉奈、梅村綾子、辻田暁、岡崎さつき  浅野雅博、石橋徹郎、碓井将大、古河耕史、いわいのふ健、今津雅晴、チョウ ヨンホ  キム デジン、イ ファジョン、キム ボムジン、ソ ドンオ  、ユン ダギョン、マルシア衣裳・原まさみ、ヘアメイク・鎌田直樹、美術・乗峯雅寛、照明:小笠原純 2017年12月6日(水)~24日(日)世田谷パブリックシアター

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