2007/10/30(火)07:41
ヘルゲ・リエン・トリオ/SPIRAL CIRCLE
びーぐるさん宅で聴いたヘルゲ・リエン・トリオ/SPIRAL CIRCLEが印象深く、「我が家ではどんなふうに聴けるのかしらん」と買い求めたのは先週の話。人の家でいいディスクに巡り会うというのは、オフ会の楽しみの一つでもあります。
SPIRAL CIRCLEに関しては、7曲目「TAKE FIVE」のイントロ1分の、眼前にちりばめられた打音の輝き、重さ、アタック感がどのように再生されるかが、聴き所の一つだと思います。
びーぐるさん宅のanat reference professionalの再生するドラムスの素晴らしさたるや、今でも覚えているくらいですからね。記憶に残る音というのはそうはないもんです。目の前でドラムやパーカッションを叩かれるよりも美しく、スケールが大きく、生音よりも音速が早い(あり得ませんけど)、そんな印象だったのですから。 (←思い出はどんどん美化されていく・・・)ま、あそこまでいかないにしても、我が家のRushmoreだって、それなりの意地はある、はず。音圧と能率の高さなら負けないわけですし、アンプ-スピーカー直結の鮮度というのは、スピーカーが演出する冷たく煌びやかな鮮度とはひと味違うということも自分自身よくわかってきました。
リスニング・ポイントとスピーカーまでの距離は両家とも3mとほぼ同じです。多少ボリュームは大きめの方がいいかな? 期待を込めてディスクをUX-1Limitedに収め、スタートボタンを押しますと・・・
~
いや、爆笑です
こうも違うか! Anat Reference Professional と Rushmore!
同じ叩くにしても、トップシンバルと木魚くらいの差がありますね(爆 もちろん木魚がRushmoreね。
最初は、Rushmoreの再生する高音域の細かさがディスクに追いつかず、わざと響かせたエンクロージュアと相まって、黄銅に木が混じった音がすると思いました。いいように解釈すれば「ウォーム(warm)でウッディ(woody)」です。金属特有の響きの先端の鋭さがないというか、猥雑に混じったアタック音の中にひんやりした感じがないというか。スネアのはじける音は余韻で修飾され、バスドラの皮の音は・・・これはこれでいいか。
う~む。
と、聴き続けて2~3日。すぐにRushmoreのアッテネーターをいじりに行かなかったところは、我ながら偉かったですね。
考えが変わってきました。
こりゃ、Anat Reference Professionalの幻聴を追い求めてもダメだ。本質が違うもん。
CDを海で捕れた魚に見立ててみましょうや。
その魚を家で食べるために、鮮度を重視して、その場で瞬間冷凍、最速の流通経路で、店ではなく家の高機能レンジで、チルドしようというのが、びーぐるさん宅のAnat Reference Professional。それを、生臭い臭いがしないように、冷凍の際に細胞が壊れないように、色を変質させないように、捕れたての味の再現を極めて高いレベルでやっている感じ。
それは生で食するには最高でしょう。ただし料理は自宅でしないといけませんし、老舗の味の再現は難しい。
我が家のRushmoreはそもそもの発想そのものが違うらしい。陸に上がったら生を無理に持たせたりせず、素材を生かして調理/加工しちゃう。若狭鯖なら酢で締めて鯖寿司に、利尻昆布なら浜で天日干しに、羽田沖の穴子ならその場で開いて煮付けちゃう。
その調理/加工人@ネルソン・パス氏の手腕は確かで、最高素材に一手間加えているのですから、何を食べてもうまいんです。味が薄ければ、裏バッフルのアッテネーターで醤油もかけられるからね^^
ただし、素材を生@鮮度重視で食べるのは難しそう。それに歯ごたえを楽しみたいとか、鯖は鯖寿司でなく味噌煮が最高、なんて別料理の要求を満たすのも難しい。。。
簡単に言えば、RushmoreはAnat Reference Professionalに比べて写実的な生々しさがないんです。ただし脚色された訴求力がある。
ということは、鮮度の栄えるヘルゲ・リエン・トリオ/SPIRAL CIRCLEのようなソフトをどう再生するか。たとえ無い物ねだりでも、Anat Reference Professionalのように聴いてみたい気はもちろんします。調理された後に、鮮度を感じさせる方法・・・って、なんでしょう?
Rushmoreは良くも悪くも、包容力と言ってもよさそうな、最近のUS製スピーカーにはないゆったり感とタメがあります。時間はあるので、そこに金属気を加えようと、無理は承知で現在格闘中。