ちょっと一昨日の続き。
最近、Theソナスファベールや、びーぐるさん宅のAnat Reference Professionalや同じYGAのThe Voyger、JBL S9900、Vivid G2 GIYAを聴く機会がありました。
それぞれ音も展開する音場も素晴らしく、かつそれぞれに解釈が異なり、スピーカーとしての個性を感じさせます。共通するのは、ソフトのみ、みたいな。
いやいや、共通するものがあります。
それは「高価な音がする」ことです。非日常の音であり聴神経が目覚めるような音。
表現が難しいのですが、料理に例えればわかりやすいかも。焼鳥屋でレバーを食べてもうまいし、フレンチレストランでフォアグラのソテーを食べてもうまいもの。双方美味であることは間違いない。が、明らかにフォアグラの方にはレバーにはない何かがあります。それは一般的に考えれば、材料の値段、見慣れない一手間、生活から離れた異空間の雰囲気、そしてメインディッシュとなりうるかどうか、そういうものです。
上記したスピーカーには、そういうフォアグラっぽい、高価な音を感じることしばし。フォアグラが脂っぽい例えなら、フカヒレスープでもアワビのステーキでも何でもいいんです。
それぞれ値段が高いのだから、そういうリッチな音がするのは当然と言えば当然だし、して欲しいのですが、ちょっと不思議だなぁと思ってました。うちのスピーカー(Pass labs Rushmore)も値段は高いのに、そういう高価な音がしないからです。どちらかといえば、AE2Signatureの方が高価な音がする(した)くらい。
なんでしょうね、この差は。
スピーカーユニットの差かな、とも思います。作り手の、主役の素材(主パーツ:ユニット)に対する認識の差。フォアグラもフカヒレもアワビも主役たるのは、調理人が主役に仕立て上げるからでしょう。
Rushmoreに使われているスピーカーユニットはリボンツィーターを除いて仏PHL社製で、よくよく値段を調べていくと、とても安い(笑 総額に比べて信じられないくらい安いのです。しかも特注だとか、そういうひねりもあまりなさそう。
最高級の料理を作るために最高級の素材を求めに行く上記他社に対し、手に入る一般の素材を用いてシェフの腕で最高級の料理を作り出そうとしたPass。スピーカーユニットという素材の鮮度にはこだわったのでしょうが、値段と素性にはこだわらなかったみたいな、調理人の腕だけが味を決めたみたいな、そんな雰囲気が音に現れているのかも。Passはアンプメーカーだからこそのアプローチなんだろうな。
最近のスピーカーはユニットの高級化を付加価値の一つにしていますが、Rushmoreにはそれが全然ありません。アンプを作るのに、一つ一つのパーツに光を当てるのはあまりないでしょう。Rushmoreはスピーカーユニットは作品の中の1パーツとしてとらえているような、そんな感覚すらあるのです。
変なスピーカーだな、Rushmore。