カテゴリ:オーディオ、ちょっとビジュアル
オーディオには、必ずしもいい思い出ばかりではない。
だいぶ昔、都内の有名オーディオショップで、高額なMCカートリッジを中古で購入した。当時の現行モデルであり、中古を選んだのは、価格が相当お買い得だったからだ。 店頭で購入したので、その場で針先やカンチレバー、付属品を確認した。状態には問題なし。ただ針カバーとケースはなかった。 理由は忘れてしまったが、その場で持ち帰らず、宅配を依頼した 中古オーディオ製品の箱やケース(つまりは入れ物)を重視するかどうかは、人それぞれだ。箱の有無ですごく大きく値段が変わる業界ではないが、その品の扱いが良かったかどうかを推し量る目安にはなると思う。高額品なら尚のこと。新品購入ならば、自分は全てを取っておく。 箱のないMCカートリッジ──あんな小さな小箱がないことに、当時は疑問を抱かなかった。前所有者の扱いを見抜いていなかったのかもしれない。 いや、実際に問題があったのは、前所有者ではなく店側もだったのだ。 届いた高額MCカートリッジは、まさかの名刺入れに入っていた。 いや、それはまだ許せる。許せないのは「MCカートリッジがセロテープで固定されていたこと」だ。接着が緩くて、すでにケース内でガタガタと動いていた。針カバーはない。デリケートなMCカートリッジに、こんな配送方法で本当に針は無事だったのか? 2桁万円だぞ。 もちろん店には抗議した。専門店でMCカートリッジにこの扱いはないだろう、と。店側は一応平謝りだった。 ただ、見た目上は 針が折れたわけでも、カンチレバーが曲がったわけでもない。煩雑な扱いをされても、機能に故障はなかったのだ。中古だから性能低下は正直わからない。結局"欲しかった"がまさって、謝罪を受け入れてしまった。 当時の自分は甘かった。 鳴らしてみると、それはもう素晴らしい音だった。申し分ないくらいに。 ただ、どうにも愛せない。せっかく手に入れた音の良い製品に”配送中に何かあったかも”程度で、心揺らぐのは狭量だろうか。でもしっくりこなかった。何かが欠落した感覚が拭えず、そのMCカートリッジはそう長く我が家に収まることはなかった。ケチがついた機材というのは、音が悪いことよりも何倍も厄介なものだな。最初から承知して買うのとはわけが違う。 この一件は、今でもトラウマになっている。話題を避けてblogにも書いてないと思う。だから、カートリッジの中古はどうにも買いにくい。 ちょうど目をつけていた製品の中古が少し遠い店に出ている。写真を見る限り針先もよさそう。ただケースがないせいで、購入ボタンを押せない。前と同じくお買い得なのにな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 13, 2025 12:00:36 AM
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