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9ヶ月前に母親が急性期病院からリハビリテーション病院(以下リハ病院)に転院し、父親も同じ道をたどることとなった。違うのは、方や大腿骨骨折、方や閉塞性脳梗塞(心原性脳塞栓症というらしい)だ。何せ父親の方は高次脳機能障害を患い、一人だけで立つことはできないし、会話も十分には成立しない。脳疲労やら注意障害やら記憶障害やら失認やら、どこまでが脳梗塞由来で、どこからが90歳という加齢によるものなのか、その境界線もわからない。
転院先探しは結構難儀した。母親と同じリハ病院は高次脳機能障害患者を受け入れていなかったし、空きがある病院を探すのも簡単ではなかった。あまり遠すぎても介護する側が困る。母の経験から、リハ病院からの依頼はそこそこあるのがわかっていたからだ。 そして空室待ちの病院への転院連絡は急だった。4日前に連絡が来てご家族のどなたかご同行いただけますか?みたいな。こうした重症患者を受け入れるリハ病院の病室が空くということは、そういう事情の、予見しにくいことなのかもしれないが。 病院が違えば手続きも違う。書類が違う。保証人は2名必要で、勤め先や保証人が支払える金額の上限を書く欄まであった。こう言ってはなんだが、支払えなくなる人や踏み倒す人がそれなりにいるのではないかと思う。 用意するものも違う。パジャマの類とか下着類とか日用品とか。そして付随する有料サービス、テレビとか私物の選択とかの内容も異なる。もちろん病室も。 そうなると保険診療分は同額でも、当然 入院総額が違う。これに薬剤費なども加えれば、単純計算でも大卒新入社員の給与分くらいはかかる。 ただ脳梗塞患者のリハ病院入院上限は、重症度によって150日または180日と決まっている。入院期間が限られている以上、環境を優先し、値段が高いのは目を瞑るしかなかった。 退院時に急性期病院の主治医から説明を受けた。体力があるとか指先が動くようになったとか希望を持てるような話をしてくれた。家族の心情に寄り添うと医師の説明に正解はないとわかってはいるものの、両親二人介護の現状ではそういう無難な話よりも、医師経験から想定される、年齢を考慮した余命や、どの症状が回復する見込みがあるのかないのかをはっきり伝えてくれたほうがありがたかった。 もはや綺麗事や希望的観測ではなく、さらにリアルな資産の逆算をせざるを得ない。実家の資産は二人に使い切っていただいてもちろん構わない。ただそれでもお金の問題に行き着くし、5年10年肩代わりして、子供たち(つまりは孫)に影響が及ぶと困る。 母のリハ病院で施設支援の看護師さんが言いにくそうにボソッと「お金があるかないかで老後は違ってきます」と呟いたが、あれは多くの家族を見てきた医療従事者の本心だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 31, 2025 12:00:25 AM
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