投資系YouTubeや株雑誌を見ていると「2010年代に投資を始めて今や億り人のインタビュー」みたいな話題が多い気がする。でも、これはごく一部の上澄みの成功者の紹介である。羨望はあるけれど、基本的に参考にはならない。
日本証券業協会の2024年調査では、有価証券(株式・投信・公社債など)を保有している人は約24%だから、お金に興味はあっても、手をつける人は多くはないのだろう。NISAとネット証券が流れを変えたと言っても、投資が一般化したのは令和になってからだと思う。
特に日本株以外の、S&P500やオルカンといった投資信託や米国株高配当投資の認知は最近上がった感じはある。
自分は普通の勤労者で、自社株が上場した1990年代から持株会、あるいは企業拠出型年金も開始した2001年から利用していた。月日が流れて、それらをやっておいて本当によかったと思っている。時間分散と長期保有という時間効果で、掛金から+ン千万円になっているからだ。
そして振り返って、若かった自分がもう一つ偉いのは、29歳から毎月1万円を保険会社の個人年金保険(生存保障重点型年金)に積み立てていたことだ。生存保障重点型年金とは、死亡時の保障(死亡保険金)よりも、自分自身が長く生きる場合の保障(年金)を重視した保険商品。60歳からの10年間確定の定額型だった。
なぜ年金に現実味もなかった20代に、積み立てを始めたのだろう。たぶん保険のおばさんの口車に乗ったのだと思う。
それでもこれのおかげで、60歳から10年にわたって個人年金を受け取ることができる。ではそれはいくらなのだろうか。
年間保険料は12万円、それが31年だから372万円。それを上回る部分が運用益だ。
ちりも積もって、70歳までの受取年金総額は674.3万円、年額は67.43万円である。月換算だと約5.6万円もある。不労所得としてこれは大きい。
なんかすごい元手が増えたような気もするが、本当にそうなのか。実際計算してみよう。(計算は簡略化)
この個人年金保険の運用利率を、内部収益率(IRR)として計算してみる。IRRは、積み立てた保険料の現在価値と将来の年金受取額の現在価値を等しくする割引率を表し、運用の年平均収益率を示す。
積立期間:29歳から59歳までの31年間
各年の積立額:120,000円
総支払額:3,720,000円
年金受取:60歳から69歳までの10年間(年31〜年40の10回払い)、各年674,300円(正のキャッシュフロー)
総受取額:6,743,000円
年金は年1回払いと仮定(年額ベースのキャッシュフロー)
IRRの計算:正味現在価値(NPV)=0となる年率rを数値的に求める。式は以下らしい。
NPV = Σ [CF_t / (1 + r)^t] = 0(CF_t:t年のキャッシュフロー、t=0を積立開始年とする)
そうすると年次IRRは 約2.807%。この利率は、総支払額3,720,000円が年平均約2.81%で複利運用された場合に、ちょうど総受取額6,743,000円になることを意味する。
31年積んで「約2.807%」だと、保険会社など頼らずに、自分で投資信託に積み立てた方がよほど利率がよい可能性が高い。だから全然お勧めしない。
が、これは保険商品である。そして31年後に振り返って、思うことでもある。何も知らなかった若き自分が1990年代に一歩踏み出していたことは、やはり褒めてよいと思うのだ。