古書窟揚羽堂 ~ 古本屋残酷物語

2008/11/01(土)15:16

ミラクル物語

しあわせ(54)

私は齢25を過ぎてからはCDを買う事自体がほとんど無くなりました。 昔買ったCDやレコードを聴いているだけで充分なのです。 昔から好きだったアーティスト達が新作を出す。迷った末に買う。 聴きながら「この人も変わっちゃったなぁ」と思い、1、2回聴いて終わり。 そのうち、新たな新譜が出ても買わなくなっていく。 アーティストも変わってゆくし、自分も変わってゆくので、仕方のない事だと思います。 博多を拠点に活躍するロック怪人で画家でもある、山部善次郎さんという偉大なお方がおります。 通称ヤマゼンです。 私は高校の時に初めて存在を知り、最初のレコードを買い、それ以来、今までずーっと好きです。 ヤマゼンの活動が耳に届かなかった時期もあれば、私が情報をチェックしなかった時期もあります。 しかし、ヤマゼンは凄い。 何年経っても、どんなに進歩しても、根っこが変わらないのです。 そういう魅力を改めて感じたのが遅ればせながら去年の事です。 17歳の時に自分の好きなミュージシャンランキングで5位くらいだったのが、 39歳の今、自然に1位になっていたのです。 そのヤマゼンが今年の9/25にブルースアルバム【FULLHOUSE】を発表。 発売元レーベルヤバンに予約し、発売日に入手しまして、それ以来、100回以上聴いています。 最高なんです。 これです。 ヤマゼンのその音楽、歌詞、声、容姿、伝説、絵画、生き方。 その全てが完璧で、私の憧れの人なのであります。 ヤマゼンの歌を聴いたり、ニュースを読んだり、ユーチューブで映像を見たりしていると、もの凄く元気をもらえるのであります。 私にとってヤマゼンはそういう存在のお方なのです。 そのヤマゼンの絵画展が只今(10/30~11/4)、福岡アジア美術館で催されております。 私は夏のうちからこれを知っており、よし!9月の新橋・10月の池袋の古本催事で大きく儲け、家族旅行を兼ねてヤマゼンの絵を観に博多へ行こう、と密かに企画を企てておりましたが、どちらも雨に祟られ、売上げも大した事がなかった為に、博多行きを断念したのが、つい先日の事です。 これも先日の事。 齋藤社長に新宿で大海老の塩焼きを御馳走になっていた時、共通の友人「矢野さん」の話題になった。 齋藤社長と矢野さんは今でもしょっちゅう会っている蜜仲。 しかし、私は3年以上ご無沙汰であった。 矢野さんは博多在住の青年実業家である。 (ちなみに矢野さんは私が中延でひっそりやっていた古本屋にも来てくれた事があり、ジム・モリソンのポスターブックを買ってくれた事がある。) そういう懐かしさと、不義理の詫びの意味も込めて矢野さんに連絡を取った。 「いやぁどうもどうもご無沙汰おります。」という儀礼的な会話から、 「最近の調子はどうですか」という通常的な会話の経緯を経て、 「今度、博多遊びにおいでよ」という意欲的な友情復古の会話にまで発展。 「本当は今頃そちらに行ってるはずだったんですよ。なぜならヤマゼンがちょうど今日から福岡アジア美術館で・・・」というと、 「え、アジア美術館?ウチから徒歩10分たい」 「じゃあ、私の代わりに観てきてくださいよ」 という、会話をしたのが10月30日。 本日11/1、午前10:48。 携帯に矢野さんから着信アリ。 「おはようございます。どうしたんですかこんな朝早く。」 「志賀君あのね、今、となりにヤマゼンさんがいてね、電話代わるっていうんだけど大丈夫?」 「ええっ!?ちょちょちょっ・・・」 「ああ、モシモシ志賀君ですか、山部です。どうも。いやぁ、矢野君から聞きました。」 「ああ、どどどうも、おおおお話し出来て、かかか感激です。フフフフフルハウス、まままま毎日きききき聴いてます」 「ああ、もう買ってくれたと!嬉しかばい」 「ももう、ささ最高です」 「志賀君は本を出してると矢野君から聞きました。よかったら僕に送ってもらえませんか」 「はい!喜んで!」 「じゃあ矢野君に僕の住所教えとくから後で聞いてね。それじゃヨロシク!」 という、憧れの人との夢の会話を約1分! もう死んでもいいという幸せの境地に達しました。 いや、本を送るまでは死ねません。 もうすでに私は自分の本を持っていないからこうなりゃアマゾンで買おうっと。 未だに嬉し過ぎて実感が湧かないなぁ~ さあ、高円寺の【第二回ちいさな古本博覧会】は今日からスタートです! 皆さん、絶対行きましょう!

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