「Life」を求めて

2009/04/27(月)23:18

【弓道】楔(くさび)を打つ

弓道について(74)

本多流の射技研究会。 於渋谷区スポーツセンター弓道場。 9時~4時まで。 【‘09 4/26(日) 40射 21中 5.3割】 午前中は繰大前の講習(日弓連で言うところの一つ的射礼) 以前に一度地元の月例稽古で練習していたので流れの再確認といったところ。 午後は射術指導。 最後に、若い本多流会員5人で組立ちをさせられることに。。。 こうゆう事前告知ナシのいきなりのイベントがホントに多いよ生弓会。 自分は二的。5人での組立ちは跪座の時間が非常に長く、足がガクガクになりながらも、何とか乗り切った。所々ちょっとしたミスはあったが総評では良しと師範の評価を賜る。 午後の射術指導では本多流の師範の先生(日弓連範士八段)が、偶然6月に受ける日弓連の五段審査の審査員長なので、併せて見てもらった ・妻手の親指を的に向けること ・胴造りは、ひかがみ、尻を締めすぎず、腰の付け根を締める⇒「袴腰の準」 上記を指導頂く。 「袴腰の準」は腰板を背に付けるように締めることで、弓構え、打起し、大三でもどこでも意識すれば伸び直すことができるので憶えておくようにとのこと。 ひかがみ、尻を締めすぎると、返って上下で伸びが途切れてしまうそうな。 また、別の指導員の方には、妻手弦道の取り方と一緒に、会で「楔を打つ」ということを教えてもらった。 ・大三にて妻手肘をできる限り張り上げる ・その妻手を肩に乗せる気で引いてくる ・会で弓を伏せるように弓手を押し胸弦をしっかりと付け、一方妻手は内側(半時計回り)に回内させ、弦が稲妻形に捻られることで、会での楔(くさび)となり、そこを中心とした伸び合いができる。 上記が本多の会の形になるわけだが、今回面白い発見として、本多流手の内の「中指の使い方」が、この左右非対称の捻り合いの中に感じ取れたことである。 改めて本多流の手の内のポイントを述べてみると、 (以下『本多流射法要網-剛健典雅の世界を探求する-』を参照) 弓構え:拇指の腹を中指末節骨の関節のところに懸け、拇指と中指との間に隙がないようぴったりつける。薬指・小指は力を入れずに弓に添えるようにし、手の内下側に余裕を持たせる(P83)。 離れ:脈どころから拇指根本の綿所に押しかける。中指は綿所で押すと同時に的側に抜くような気持ちで弓に回転を与え、今まで力を入れてこなかった薬指、小指を締め込んで弓を握り込む(P107)。 本多流の場合は中指と薬指、小指を分離し役割分担させることで早く強い弓返りをさせ、弓も下に落ちず離前の握りの位置で収まらせるのだ。(中略)中指の動きによって弓が強く返り、薬指・小指によって弓が下に落ちないで収まる仕組みだ(P108)。 「弓を取るには唯中指一本で事は弁ずる」(弓道講義録)と流祖は言ったそうだが、上記の通りに実際試してみても、中指一本では弓は安定せず、手の甲が釣ってしまいそうで、なかなか軽く強い離れには程遠い感じだった。 そこで、今回の発見である。 弓手中指を活かすには、ただ手の内を操作するだけでは不十分で、弓手・妻手の左右非対称の捻りが必須となるようだ。 妻手は下弦を取り肘から捻りを効かせると、下鉾が外側に`反る´ように力が働くが、それに対して弓手の方は下鉾が内側に伏せるように推しを効かせ角見を活かす。ここで頬付け・胸弦が着き、妻手肘の締め、弓手の押しかけにて左右楔が打ち込まれることになる。 妻手の半時計回りの捻りに対して、弓手の時計回りの捻りが効いてくる。この時弓が外側に反ろうとするのを抑えるのが中指になる。この妻手の捻りに対応して中指の抑えが「的側に抜ける」ような働き方をするのだ。 上手く楔が打てると、しっかりと中指も効いてきて実際弦音も良し、弓返りも良し、矢速も早い。 ただ、手先だけを操作するのでは分からない手の内であり、上下左右相対的な世界を実感。 左右にただ平べったく伸びるのとは全く違う奥行きと味わいのある伸び合いが完成すると思う。 会で楔を打つというのは、ここ一番での勝負矢には非常に向いた射法であると思う。

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