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穴沢ジョージ

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2004.02.26
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“En blue jeans et blouson d'cuir”by Adamo 1963

1.「大いなる誤解」
 初めて『ブルージーンと皮ジャンパー』を聴いたとき、僕は絶対女の人が歌っていると思った。もちろん、すぐに男だと知ったわけだが、なかなか納得がゆかなかった。どんな声帯をしているか、ちょっと見てみたい気がしたものだ。
 ただ高い声というだけなら、ほかにもたくさん高音の歌い手はいるし、女の人だとは思わなかっただろう。けど、なぜかアダモには「おんな」の声を感じてしまった。ちなみに当時まだ僕は中学生だった。
 そしてこの約1年後、ゲール・ガーネットの『太陽に歌って』が登場したときには、全く逆に彼女を「おとこ」と思ってしまった。
 アダモがとてもハスキーな声だったのに対し、ゲール・ガーネットはいわゆるドスの利いた声というやつ。高音の方になると少しかすれ気味だけれど、落ち着きのある歌いっぷりと相まって、独自の味を感じさせていた。今手元に『太陽に歌って』の音源が見つからないけれど、覚えている限り、こんな風だったと思う。
 で、アダモとゲール・ガーネットの声について正直に言えば、どちらも実に魅力的なのだ。
 以前に、ずいぶんここでも話題になったヴォーカリストの「声」だが、美声もいいけれど、やはり個性的な声というのには、つい惹かれてしまうのだ。
 ......と、ここまで書いてから、はたと思い出した。ゲール・ガーネットの『太陽に歌って』が、確か、先日義姉にもらった 60年代のヒット曲を集めた CD に入っていたことを。滅多にこのたぐいの CD には入っていないので印象に残っていた(じゃあどうして忘れてた...セルフつっこみ)。
 そして今その CD を見つけてきたのだ。久しぶりに聴く歌だが、ホントに素晴らしい。で、やっぱり男声(おとこごえ)...。いつかこの歌のことも書こう。

2.「皮ジャン着て粋がって」
 『ブルージーンと皮ジャンパー』というタイトルから、「おれはブルージーンと皮ジャンを着て街を歩いているぜ 大人たちがなんと言おうと そんなことはおかまいなしさ やりたいようにやるのさ」というような反抗する若者の姿を、ついイメージしてしまうかもしれない。当時の僕がそう思ってしまったように。
 何しろあのイントロの口笛なんて、すれたブルージーンをはいた若者が、セーヌ左岸の裏路地を皮ジャンの襟を立てて歩くときに吹いたら最高じゃないか。......と、
勝手に思っちゃったりしたわけ。
 ところが当時聴いていたラジオで、「この歌は結構哲学的な内容だ」という意味のことを、誰かが言っていたのだ。
 それで、フランス語......、結構大変で、ほとんど「わかる」という域に達していないが、この歌の内容を探ってみたら、「♪ ブルージーンと皮ジャンで 君は仲間に会いに行く もし着ていかなかったら 明日何て言われるかわからないから...」
という冒頭から、反抗的な若者を客観的に眺めているのがわかる。
 2番は「♪ ブルージーンと皮ジャンで 君は自分が自由だと思い込んでいる 誰も異議を唱えないと それが君を傷つける」って、醒めた目で反抗する若者を批判するのだ。
 このあとも、ちょっとお説教めいた内容が続き、サビの終わりでは「♪ ...ごろつきを気取るために生まれてきたんじゃないだろ」と締めくくり、エンディングもこのサビを繰り返す。
 ああ、それにしてもフランス語...、久しぶりに読んで、疲れた。

3.「皮ジャン初体験」
 この歌がはやった頃も、それから何年も、僕は「ブルージーンと皮ジャンパー」というスタイルにはあこがれたものだ。今どき、ブルージーンと皮ジャンパーが、反抗する若者の象徴だなんて言ったら笑われそうだが、アダモがこの歌を歌った頃は、まさにその通りだった。その点においては、確かに時代は変わったのだ。
 我が国で、この格好が一般市民の間に定着したのは、70年代も後半になってからだったと思う。理由は単純だ。輸入革製品が安く出回り始めたからだ。
 それまでは、革の衣類は高級品で、とても庶民がたやすく手に入れられるものではなかった。友人のイタリア製の皮ジャンはとてもうらやましかったのだ。
 70年代も終わる頃、念願の皮ジャンが手に入った。
 渋谷の百軒店にあった中古衣料品屋で、3800円だった。たぶんバイク乗りが着た古着で、表面はだいぶすれていて、固い革だったけれど、うれしくて、着て帰った。
 バイクに乗り出したこともあって、文字通り、これを皮切りに、皮ジャン・革パンツや革のコートを何着か買うことになる。
 この中で一番目立つのが、ハインゲーリック社の真っ赤なライダージャケットだ。ライダージャケットといっても、クリッシー・ハインドがレコードジャケットで着ているようなオーソドックスなスタイルではなくて、両肩のところが白のシャーリングになっていて、かなりおしゃれなものだ。ただ、近頃はバイクに乗る機会がほとんどなく、出番がないのでちょっとかわいそう。久しぶりに着てあげよう。......いつ?(←セルフつっこみ その2)
 でも、一番思い出に残っているのは、やっぱり初めて古着で買ったあの皮ジャンだ。残念なことにもう手元にはない。表面はどんなに傷んでも、皮ジャンの場合あまり気にならないが、何しろ裏地がかなりボロかったので、最後はどうにもならなかった。

4.「皮ジャンは寒い日に着る」
 とても暖かい日が続いたと思ったら、一変して昨日は北風がぴゅーぴゅー吹いて、今朝は氷点下5度。三寒四温とはよく言ったものだ。つまり、今日なら皮ジャンの話題が違和感なく書けて、ああ良かった。...、というお話。
 ...以上は一昨日書いたもので、昨日今日と暖かく、朝の犬の散歩がずいぶん楽だった。
 タウンユースの皮ジャンは、確かに冬のものだが、あまりに寒い日には役に立たない。
 東京方面で暮らしていたときには、厚着をした上に大きめの皮ジャンを羽織って、マフラーでも巻けば、十分暖かかったが、信州の冬はこの程度では乗り切れない。東京にいたときに買った、ちょっと長めのフード付きの革コートがずいぶん役に立ったが、ジッパーが壊れてしまった。今はもっぱら、ダウンコートが活躍している。何と言っても軽いし、暖かくて、皮ジャンや革コートより、はるかに実用的だ。
 それでも皮ジャンは時々着たくなる。
 これからの季節、寒すぎる日はともかく、皮ジャン着るには結構いいかもしれない。
 え?ブルージーンの話題はどうしたかって?
 それは、次回のお楽しみ。

5.「謎」
 ところで「皮ジャンパー」は、なぜ「革ジャンパー」と表記しないんでしょう。皮革製品には普通、「革鞄」とか「革靴」「革のベルト」のように、「革」を使うと思うんですが、......。





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Last updated  2004.02.26 09:06:44
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