カテゴリ:小売業
原田 泳幸(はらだ・えいこう)さん 日本マクドナルドホールディングス(株)【JASDAQ:2702】会長・社長兼CEO 1948年長崎県生まれ。東海大工学部卒。日本NCR、横河・ヒューレット・パッカードなどを経て、90年アップルコンピュータジャパン入社。97年同社長。2004年日本マクドナルドホールディングス副会長・社長兼CEO。05年から現職。 2004年にアップルコンピュータから日本マクドナルドへ移り、「マックからマックへ」と異色の転身が話題を集めた。以来、徹底した組織改革を進め、新商品の投入や24時間営業など常に斬新なアイデアを仕掛けることで赤字を脱却。昨年、国内の外食産業で初めて売上高5000億円を突破した。 大学を卒業して、日本NCRという会社にエンジニアとして入社しました。当時、学生の人気ランキングでも上位の優良企業です。この会社に入ったことで、私の人生が変わりました。そこでの開発の仕事は、無理難題を実現させること。無理なスケジュール、無理なコスト、無理な技術で「難しいことを実現しろ」と言われる。すべてが理不尽と思いました。 「素晴らしい仕事をやったという充実感がないと、やりがいがない」と上司に直訴したら、「何を言ってるんだ。これは商売だぞ」と。いつまでも技術者のこだわりだけでは商売にならないし、論理をぶち破るような発想は出てきません。無理なことに挑戦して、初めて新しい世界が作れる。これは、今の私の仕事への姿勢につながっています。 あっと驚かせる発想を 従業員には「型破りでいいから革新的なことをやってくれ」と、いつも言っています。「誰もやったことのないことを」と。クォーターパウンダー(4分の1ポンドの肉を使ったハンバーガー)を作ったのも同じ発想から。社内会議でも「あっと驚かせる変わったことをやろう」と、本物の象を登場させたこともあります。 ビジネスは、発想やパッションが求められる芸術の世界。「論理で考える」のではなく、「新しい世界を切り開く」こと。新しい提案をしてお客様に感激してもらうといった、「パッションがクリエイトする」新しい世界なんです。 良いところを伸ばす 専門分野で優れた人には、どこか変わったところがあるように思います。社内にもいますが、私ほど変わってはいません。その個所だけを指摘すると、個性が失われてしまうので、そこは大切にしないといけない。 会社も同じで、悪い点だけでなく、良い点を見ることが大事です。中途入社の人には、「会社の問題点が見えても、何のアクションも取るな。まず会社の素晴らしさを発見し、その強さを発展させるために何をするか考えよ」と言っています。会社も個人も良いところを伸ばし、その良いところをチームとしてまとめていくことが大切なんです。 これから求められるのは、論理に縛られない、新しい世界を考えられる「クリエイティビティー」がある人。過去の経験やデータを基に企画を立てたのでは勝てません。「勝つ」とは、競争に勝つのでなく、競争を超えるくらい新しい世界を作ること。良い会社と言われているところは皆同じです。 知識や経験を捨て、現状を否定して初めて革新的アイデアが生まれる。常に「これでいいのか」「間違ってないか」と疑問の目を持つこと。今、世の中が厳しいのは、新しい世界を作る絶好のチャンス。ここから新たな知恵が出てくるのですから。 朝は3時に起きて、毎日ランニングを欠かしません。運動には、限界を超えたところに進歩があるという学びがあり、60歳になっても自分の体を自分で作れるという喜びがあります。40年吸っていたたばこもやめました。頑固な性格で、一度「やる」と決めたら必ずやるんです。(談) <メモ>日本マクドナルドホールディングス 日本マクドナルドなど3社からなる持ち株会社。日本マクドナルドの08年12月期売上高が過去最高の5000億円突破。 (2009年6月10日 読売新聞) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月15日 18時32分24秒
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