あぐらンジュブログ

2007/06/20(水)08:02

ミュンヘン

洋画(26)

WOWOWにて鑑賞。 スピルバーグ監督による実話を題材にした映画。 ドキュメンタリーな側面はあるけど、どこまでが事実かは解らない。 ただ「事実を風化させてはならない」という意図を強く感じた。 もしかしたら、 それ以上でもそれ以下でもない映画、なのかもしれない・・・。 1972年9月5日、西ドイツ南部の都市ミュンヘン。 オリンピック開催中に選手村にてイスラエル代表を人質に取るテロが発生。 パレスチナ武装ゲリラ「黒い九月(ブラックセプテンバー)」は イスラエルに収監されているパレスチナ人234名の解放を要求した。 イスラエル首相は要求を拒否。 西ドイツ当局は犯人グループと交渉の結果、 航空機を用意しカイロへ脱出させることで合意したが、 実際は空軍基地に移動させたうえで犯人を狙撃、人質救出を目論んでいた。 ところが狙撃は失敗。銃撃戦となった結果、人質9名全員死亡。 犯人側は8名のうち5名が射殺、残り3名を逮捕。 (後にハイジャック事件にて解放されるが) 映画「ミュンヘン」は主に、 この後のイスラエルによる報復「神の怒り作戦」を描いている。 イスラエルの閣僚はパレスチナゲリラ基地の空爆に続いて、 黒い九月事件に関わった人物の暗殺を計画。 イスラエルの情報機関モサドは関与した人物を割り出し、 11人の暗殺を開始するのだが・・・。 感じ取れたテーマは、報復する者は報復される事。 そういった報復の連鎖が個人の遺恨に根があるため無くせない事。 しかしその報復によって何が報われるのか? 人間がそうせずにはいられない「報復」とは、そもそも何なのか? ある意味、語り尽くされたテーマだ。 しかしそこをメインに据えようとした形跡はない。 存在した事実と渦中の人物をなるべく淡々と描くことで、 問題提起だけしているように思う。 実際、当事者でない者が無責任に評することが出来ない映画だ。 もし自分の身内とかが平和の祭典「オリンピック」に参加した最中、 テロに遭って殺害されるなどしたら報復を願うに違いない。 逆に土地を奪われ、身内が空爆で殺される等した場合も、 相手国に対して報復したいと思うかもしれない。 「報復しても何も報われない、一層悪くなるだけ」なんてな説教は 聞き飽きてるほどだし、結局理想に過ぎない。 仮に理想を実現しようとした所で、 そうではない誰かによって、報復の巻き添えを食ってしまうのが現実。 そんな現実の中に生きている者の言葉にしか重さは無い。 スピルバーグはロシア系ユダヤ移民の三世だというが、 この映画は比較的公平に描いたほうだと思う。 イスラエルによる空爆のシーンをリアルに描写していたなら、 公平感は一層増したに違いない。

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