隠者の遠近見聞回想録

2010/12/21(火)13:40

日本のために売らるる・・・!?。

 明治政府による「琉球処分」は明治12年に断行されたが、その前年に神山庸栄(かみやまようえい)は下記の一文を残している。 神山は、最後の琉球王である尚泰(しょうたい)の近習役を務めた人である。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・  日本は中世、政権武門に帰してより王道くずれて覇道行はる。さきに徳川氏の覇府を倒して王政復古し、天子親政し給ふと称すれども、廟堂にありて権を握る者は諸藩の武士なり。三条、岩倉等の廷臣は傀儡たるにすぎず。而して武士の棟梁たる者は薩藩なり。 それ薩人の我になせる苛斂誅求飽くことを知らず、我が君臣を辱かしむること言ふに忍びざるものあり。薩の領導する政府の、我レに施さんとするところ、また知るべきにして、何んぞ仁政を望み得んや。 然り而して日本王政後と雖も、覇道を改めんとせず、親政未だ幾らもならざるに朝鮮を討たんとし、また台湾に兵を出せり。  按ずるに日本は小国なり。己の力を測らずして、しきりに兵威を以って四隣を脅かし、濫りに武断を以って八荒に対せんか、日本必ず敗るるの日来たらむ。彼敗れて自から危うきに至れば、我れを棄つること弊履の如くなるべし。我あに手を拱きて政府の命に遵い、いたずらに好戦の犠牲と化して日本の為に売らるる有るの愚をなさんや。 宜しく旧制を護持して王道を顕揚し、以って社稷のやすきを図るべし。  汝、危急存亡の秋に際会して士節を誤ることなかれ。 ・・・・・・・・・・ まさに、その後の琉球の姿を明確に予見している。 「・・・・好戦の犠牲と化して日本の為に売らるるあるの愚・・」、まさに、現今の沖縄の姿である。 このごろようやくにして、東京生まれ東京育ちの我が愚妻も琉球問題を理解しはじめてくれている。

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