壱話「三爪痕を知っているか」 それが、僕が最初に聞いた死の恐怖の声だった 「三爪痕? BBSでよく見かける、蒼炎を纏ったPCのこと?」 「ああ」 「彼を探して如何するの?」 僕は、率直に思ったことを口にした 彼を探して何が得られるというのだろうか 僕が知ってる限りの情報を死の恐怖に教える義理はな い だから、僕はあえて、目的だけを聞くことにした 「テメェには関係ないことだ」 「うん。確かに僕には関係ないことかもしれない でも、何で、君が三爪痕を探しているのかぐらい知る 権利はあると思うよ 一応は、僕も三爪痕を探してるから」 「なに?」 「三爪痕は、僕の知り合いかもしれないから それに彼には聞きたいことがある」 「はぁ?」 「何、馬鹿なこと言っているんだって思っているでし ょ? でも事実なんだ 僕は、三爪痕を探してる」 死の恐怖が僕を如何思おうとも気にはしない あの頃の僕はそう考えていた しかし、僕が死の恐怖と出会ったことにより、二つの異なる運命の歯車は、噛み合ってしまったのだ そうして、僕と死の恐怖との間に切っても切れない縁が結ばれた 「そうだった 自己紹介がまだだったね 僕は、PKKの虚無の堕天使シュトラール」 「……ハセヲ」 「そうか、芭蕉か…君に似合う名かもしれないね」 「芭蕉?」 「うん。どこの言葉かは覚えてないんだけど、芭蕉の花を『ハセヲ』って言うんだってだから、僕は、君を芭蕉と呼ぼう」 「普通に呼ぼうって気はないのかよ」 「普通がよかった?」 「何で違う名前で呼ばれないといけないんだよ。ゲームの中での名前なのに」 「それもそうかこれから、よろしくね。ハセヲ」 「ああ……って、これからって何だ!?」 僕は、ハセヲが文句でも言いたそうな返事をするのは、予想がついていた 「僕のメンバーアドレスあげるよ 何か情報が入ったら教えて 僕も入ったら教えるから」 「…わかったよ」 こうして、僕と彼――シュトラールとハセヲ――との間で三爪痕協定が結ばれた ジャンル別一覧
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