伝統野菜は本来大部分が日本に存在しない異国原産品
伝統野菜として有名な、京野菜や加賀野菜。 これに便乗して全国各地域でも、伝統野菜がもてはやされてきています。 ここ会津の地でも、ゴボウ、きゅうり、玉ねぎ、大根、かぼちゃなど昔懐かしい野菜を伝統野菜として売り込んでいます。 本当にその地で生まれ、栽培が継承され、好んで食せられてきたものが幾品あるでしょうか。昨今、伝統料理というのももてはやされていますが、この伝統野菜がどれほど伝統料理に使われているのでしょうか。 ただ代をかさねて作られてきただけで、すべてが日本原産の野菜ではないのです。 ゴボウ、枝豆は中国。大根、ニンニクは中央アジア。きゅうり、サトイモはインド。かぼちゃ、インゲンは北アメリカ。トマト、ジャガイモは南アメリカ。 というように、その国の気候風土によって自生した野菜を、年代は相違しながらも日本に持ち込んで栽培したものなのです。 このような経緯からしても、伝統野菜という呼び名はふさわしくないのではないでしょうか。 わたしはこれらの野菜を昔野菜と呼んでいます。 この昔野菜の種は固定種として自家採種できるという特典はありますが、発芽率が悪く大量に均一のとれた野菜栽培には向いていません。 あくまでも、家庭菜園的な自家消費用の種子なのです。 また交配も激しく、例えば会津小菊カボチャは昔は包丁の刃が立たなく、甘さも足りない余り美味しいものではありませんでしたが、昨今八重の桜に便乗して広範囲で栽培されたおかげで、かなりの自然交配がなされ、味もかなり甘くなってしまいました。この交配したかぼちゃも伝統野菜としてよいものなのでしょうか。 会津余蒔きゅうりや葉込めきゅうりなどは、昭和20年代で栽培されなくなりました。 これは、先にも述べましたが、発芽率が悪く、良品を均一に、大量に栽培できないためだったからではないでしょうか。(ブルームもかなり濃かったのも要因かな?!)F1種には到底かなうものではありません。 小農家が、自家消費のために栽培し少し余計に採れたものを町に行って売り歩いた野菜なのではないでしょうか。 だから、発芽率が悪くてもよいのです。 大量に栽培する必要もなかったのです。 これからも、売名行為をすることなく、細々と沢山の昔野菜を栽培しながら、作りすぎたものをお裾分けし、純粋な種を継承していきたいと思います。