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カテゴリ:法科大学院と司法試験
明日は例によって刑事法演習の日です。地方自治法もあるのですが、こっちは昨日レポートがめでたく出来上がったので、今日は刑事法演習の予習に追われていました。
今回は共謀共同正犯。比較的基本的とも言えるテーマです。これについては、有名な練馬事件(昭和33年)と言うのがあって、それが最近までリーディングケースとされてきました。基本的には今でもそうなのですが、今はこれにスワット事件(平成15年)というのが加わり、その二つの判例の関係が問題になっています。判例は、共謀すらないような事例でも、「共謀があったと評価することができる」として、やくざの親分を子分と共同正犯として有罪にする傾向があります。やはり、子分よりもその背後にいる親分を「共同正犯」として処罰するべきだとする国民感情の影響が大きいようです。 でも、この大きな判例に挟まるように、大麻密輸事件(昭和57年)と言う判例が、先生の問題一覧に載っていました。これは、練馬事件の基準を使って、具体的に判断を示した事例判決です。判例集には載っている判決ですが、でも、どうしてこの位置に先生が示してあるのだろう?? そう思いながら、いつも使っている教科書(内藤先生の4冊セットを使っています)をパラパラ見ていたら、大麻密輸事件の註に「最高裁調査官解説参照」と書かれていて、何と先生の名前が書かれているではありませんか。この判例は、先生が調査官解説を書いていた判例だったのです。 どうりで。先生も人の子。自分が手がけた事件はかわいいのね、と思いながら調査官解説を読みました。先生は、最高裁の団藤裁判官の調査官だったのです。 読んでみて「やっぱり、先生はすごい」と改めて思いました。簡素な淡々とした文体で書かれていますが、そこに先生の強い思いや気迫があふれんばかりなのです。今となっては小さな判決ですが、先生は渾身の力を込めてこの大麻密輸事件と向き合っていたのだと感じました。 どんな事件でも、被告人にとっては重大な問題です。しかも、最高裁の判決となると、国民に与える影響も大きい。どんなに真剣になってもなりすぎることはないのだと先生が思っているのがわかります。 その先生が今必死になって向き合っているのが、私たちを指導することなのです。これは、私も真剣にやってやりすぎることはありません。予習は大変だけど、これは何としてもついていこうと改めて決心したのでした。 先生は、明日おそらく、「共謀共同正犯をあまり簡単に認めるのは危険だ」とおっしゃるのだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年06月21日 00時26分19秒
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