040957 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

日々悄然

日々悄然

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

aikobean

aikobean

お気に入りブログ

WaHaHa Chicago! WaHaHa Yukkoさん
気ままに・・・ h-garageさん

コメント新着

お掃除おばちゃん@ Re:連載小話 HELP(07/09) あは、7、8年前の小説なのネ? 主人公は…
aiko@ わざわざ。。。 本当にすみません。またよろしくおねがい…
h-garage@ ご無沙汰しております。 お久しぶりです。 まさか大変な事態に…
aikobean@ Re:ご無沙汰してます(09/16) まるさん ありがとう まるさん。。 ま…
まる@ ご無沙汰してます そんな大変な事があったとは知りませんで…

フリーページ

2005.07.15
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
TICKET TO MEET 

さぁて・・・
問題はチケットだ。
この当時、チケットは様々な方法で配布された。
しかしメインは、スポンサー企業の商品を買い、応募するパターンだ。
ビートルズを日本でプッシュした、東芝EMIの石坂敬一ですら、手に入らないと怒りをあらわにする程手に入りにくかった。 
しかも当日の武道館は、厳戒体制で、客より警官のほうが多いのではないかと、錯覚させるほどだった。ダフ屋も居るのかどうかわからない。
おぉぉ!!
またもテツロウはピーンときた。
叔母のエツコが、トウキュウデンテツに勤めていて、招待券でビートルズを見に行った話を思い出した。叔母はスパイダースの方が好きで、ビートルズは「うるさくて」よく分からなかったそうだ。一緒に行くはずの同僚の子が彼氏とのデートを優先したため、叔母は一人でいったそうだ。
一枚余っているはず。
テツロウは、電車に飛び乗り渋谷に向かった。
トウキュウの労働組合事務所で働くエツコを待ち伏せする為だ。
PM5:00 終業時間きっかりにエツコは出てきた。
可愛らしい、しかし、きゃははは~って感じだ。
無理もない、当時彼女は18歳だ
「ちょっとちよっと」
「なぁにぃ~あんた。あらテツゾウ兄さん・・・じゃぁないわね、誰あんた??」小鹿のような目がテツロウを見つめた。
「えっちゃん、いや、ヨシダエツコさん」
テツロウはチヨおばぁちゃんの時と同じく正攻法でいこうとした。
「なんであたしの名前を知ってってるのぉ??いやぁね、でも悪い人じゃなさそうね、あたしのお兄ちゃんに似ていい男だし」
叔母は「かなり遊んだ」と自分でも言っていたが、こうも警戒心が薄いとは・・
「あのぉ僕ね、あなたの持ってる、ビートルズのチケットが欲しいんですけど、あなたの友達の分でもいい。高く買うよ」とテツロウは1万円札を出しながら言った。
「いいわよ」
拍子抜けするほどあっけなかった。
「あたしぃあの人たちわけわかんないのよ」
・・これはエツコに限らず、当時の日本人の代表的な感想だ。
来日当時も、ラジオのヒットパレードで、スプートニクスや、ベンチャーズによく負けていたらしい。
ビートルズが本当に日本人に受け入れられるのは、70年の解散の時期くらい、もっと言えば、1976年にビートルズのLPを東芝EMIがきちんと整理し、系統だて発売した後に、安心して受け入れられた感がある。
テツロウはしばし色んなことを考えてると「・・・・・てよ」
「えっ何??」
「もう、考え事すると何も耳に入らないとこがお兄ちゃんそっくりね、あんた親戚かなんかでしょ」
「あっごめんエツコおばさん」
「何言ってんのよ、あんたみたいなおじさんに、おばさんっていわれる筋合いはないわ」
「あっゴメン ゴメン」
「もう気をつけてよ!!・・でね、この入場券は会社からただでもらったから、お金は別にいいわよ、ただお食事をおごってよ」
叔母はひとなつっこそうに笑った。
「えっ!!」
「何驚いてんのよ、チケット要らないの?お腹すいちゃったのよ」
「いや、いきますいきます」
テツロウとエツコは東横線に乗って自由が丘に向かった。
ちょっと着替えてくるから待ってて。
当時叔母は自由が丘の下宿に住んでいた。
テツロウは、門の前で待たされた。
「お待たせ」
テツロウは目を疑った。
白地に藍の水玉模様のワンピースが、とても可愛らしかった。この季節にぴったりだった。
「可愛いなぁ~」
「やだぁ~何言ってんのよ」
当時から品のよい街だった自由が丘の洋食屋で二人は食事をした。
何だか途中で変な感じになってきた。
ムードがよくなってきたのだ。叔母のほうのバンビの目も緩んできてる。
「ねぇあんたさ」と口をひらいた叔母の唇は、厚いが、形がよく魅力的だった。テツロウは酩酊しそうになった。
「きゃはははは、やっぱだめ。お兄ちゃんとしか思えないわ。でも変な感ジィ、弟みたいにも感じるし」
テツロウも残念なようなほっとしたような複雑な感覚だった。

下宿まで叔母を送った。
「今日はありがと」叔母はテツロウのほっぺにチュッとした。
「いやこちらこそ・・じゃぁまた」

テツロウは満天の星を見た。手には望んだものがあった。










お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005.07.15 16:46:36
コメント(2) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X