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愛 こ と ば・心 の 散 歩 路

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2026.08.18
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カテゴリ:麗しき日本
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     ^-^◆ 貧者の一灯……日本人の心 [上]



 <少し前の事になりますが、
  奉仕活動の一環として、
  就職試験前の工業高校生に、
  卓話を頼まれたことがあります。
  その話の内容をご披露しましょう>

--------------------------------------------------------

 本日、私が皆さんにお話をしたいものの一つが、
『貧者の一灯』という話です。
 これは、私がブログに書いたことがありますので、
それを引用しようと思います。会話型にしていますから、
皆さん、リラックスして聞いて下さい。



      



「それは、遥か昔……明治23年のことじゃ……」

「明治……古い話ですね。1890年ですね。
 明治維新から、20年ちょっと経った頃ですか……」

「フム……そうじゃな。
 トルコ皇帝ハミル2世が、日本に特使一行を派遣された。
 その特使達を乗せた軍艦エルトゥールル号が、
 帰路、暴風雨に遭い和歌山県串本町の沖合で、
 岩礁に衝突し遭難するという事故が起きたんじゃよ」

「へぇーー……。そんな事があったんですか?
 明治の中ごろにトルコから特使というのもびっくりですね。
 ……で、船は沈んだんですか?」

「フム……これは、けっこう知る人は知っている事件じゃよ。
 ……哀れな事に、この事故で特使を含む518名は死亡した。
 ……が、69名が死を免れたのじゃ。つまり……、
 地元民の手厚い救護により、一命を取り留めたのじゃ……」

「ウワーー……。随分と大きな船だったんですね。
 でも、70名近くも助かったんだ……。
 多分、台風の暴風雨だったんでしょう……ね」

「うん……、救助活動の細かなことは知らないが、
 想像するに漁船を出して助けた人もいるんじゃないか?
 助ける方も命がけだったろう。
 ……船乗りだから、自力で岸に辿り着いた人もおろうが……」

「……大変だったでしょうね……」



       



「実は、陸に助け上げてからが……又、大変だったのじゃ……。
 村にとってみれば、69人の突然来客だ……。
 それも体力の弱った……客たちだ。
 おまけに、言葉も通じない……」

「……想像を絶しますね。小さな漁村でしょう……」

「うん……、ところがなんと凄いことに、
 この時村人たちは台風によって漁ができなくて、
 自分たちの食べるものさえ無くなってしまうという状況に
 あったにも拘らず、非常時のために飼っていた、
 最後に残った鶏までもトルコ人に食べさせ介護したんだそうだ……」

「ええっ!!…………!」

「……凄いことだよな……見も知らぬ異国の他人にだ………」

「そんな事実があるんですか?
 凄いことですね……。
 うーん……なかなかできないことだよなぁ……」

「うん……『貧者の一灯』の心が、
 この村人たちにはあったのじゃな……」

「貧者の一灯…………?」

「たとえ自らが貧しく苦しい身であっても、
 もっと窮乏している者に対して自らも身を切る。
 ……そんな精神だな……」



       



「……すっ、凄いですね。昔の日本人って……」

「昔の日本人だって……!!
 何を言うか!そのDNAは我々にも脈々と引き継がれて
 いるんだぞ!!」

「はっ……ハイ!!」

「また、村人たちは、遭難者の遺体を可能な限り引き上げ、
 丁重に葬ったそうだ……」

「素晴らしい話ですね……なんか、日本人として嬉しくなります」

「この話は、和歌山県知事から明治天皇に伝えられてな、
 その後、遭難者たちは明治天皇の命により軍艦2隻で、
 トルコに送り届けられたということだ……」

「ウーン……感動しますね……」

「そして、この事が日本中に知られるにつれて、
 人々に大きな衝撃を与えたのじゃ。
 このトルコの悲劇に同情した『山田寅次郎』なる人物が……、
 彼のフーテンの寅さんじゃないぞ、
 あれは、車寅次郎だ……(^。^)」

「ははははっ……はい」



      



「一民間人として動き始め、新聞社などの協力を得ながら
 全国を歩いて義援金を集めてな、
 それを携えてトルコに渡ったんじゃ……」

「そうか……トルコには一家の主柱を失った家族が、
 沢山いたんですね。その人たちの救済にまで、
 手を差し伸べたんですか。なんか、体が震えてきました。
 ……凄い、話です」

「お主の言う通りじゃ……1892年4月4日のことじゃ……。
 イスタンブールに上陸した山田は、まず外務大臣の
 サイド・パシャに義援金を手渡したのじゃ。
 その後皇帝アブドゥル・ハミト2世に拝謁した……」

「えっ、山田さんって、一民間人でしょう!!
 皇帝に!……凄いなぁ……」

「だろう……?その後、山田寅次郎はトルコ側の要請で、
 そのままトルコに留まり日本語を教えるとともに、
 日本とトルコの友好親善に尽くしたそうじゃ……。
 この時の山田の教え子の中に、
 後にトルコ共和国初代大統領となる
 ケマル・パシャがいたんじゃぞ……」

「うーん……凄い。日本人として誇りを感じる話ですね……。
 ドキドキしてきました(^-^)」


            <続く>









               
   

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最終更新日  2026.08.18 17:05:05
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