(【Kei6】へもどる)
―いくつかのトラブルを超えて、佐々木はニューヨーク工科大学院(NYIT)
アイスリップ・キャンパスに到着した。これから過ごすことになる「寮」である―
佐々木は、寮長に買い物に行くことを伝えて外に出た。
アイスリップ・キャンパスの地図を見て、あらためてすごい広さに驚いた。
正門を出るまで15分もかかる。
ようやく門を出て、5分ほど歩くと、見慣れた看板が見えてきた。
「セブンイレブン」だ。ドーナツとコーヒーを買った。
少し安心した。
さらに15分も行くと、まさにアメリカ的なショッピングセンターもみえてきた。
想像どおり、なんでも売っている、
ホームセンター的な店であった。
シーツや掛け布団、枕などを買って、佐々木は寮に戻った。
翌日、ルームメイトが到着した。
ディヴィッド・タン。
ドアで名前を確認していた「彼」は、台湾人だった。
佐々木より年上の、コンピュータ学科の大学院生である。
色々と話してみたものの、台湾人なまりの英語だったので、
佐々木には理解できないところが多かった。
ディヴィッドにはすでに留学生の友人がいて、
彼らと一緒にすぐに出かけてしまった。
ここで分かったのは、
NYITの大学院にいる日本人は、佐々木ひとりだということ。
学部には4人の日本人がいるということ。
アジア系留学生では、台湾人、韓国人、タイ人が多いということ。
日本での知名度が低いせいであろう、
NYITでは日本人が少なかった。
廊下で、他のアジア人と出会った。
向かいの部屋に入るという、韓国人の「イーグ・カン」だ。
彼は、後に佐々木の『親友』となるのだが、
初対面のこのとき、ルームメイトのデイヴィッドより話やすく感じた。
イーグもデイヴィッドと同じ学科の大学院生だった。
イーグのルームメイトとなる男もやってきた。
「ティラット・ラタナセヴィ」。タイ人である。
彼は佐々木より年下の20歳。
しかし、母国タイの大学を「飛び級」で卒業し、
佐々木と同じ学科の大学院生としてやってきたという。
いよいよ授業の初日だ。
~【Kei 8 学生生活】につづく