2011/08/26(金)11:06
七月大歌舞伎
2日の昼の部と26日の昼夜で観ました。2日昼の部は都民劇場でその日の扱いがあったので申し込んでみたものでした。自力での手配はたいてい筋書きに舞台写真が載る20日以降にすることがほとんどなので 初日のにぎわいは「へ~っ こんな感じなんだ」と妙にうきうきしました 海老蔵復帰の舞台 ではあるものの個人的には「無期限っていってたのに7カ月で?まだ早い、1年は出させるべきでなかった」と思っています。松竹のドル箱だから なにがなんでも早く復帰させたかったんだろうな~という台所事情もうかがえますが・・・子どもの誕生というお祝い事と同時期にすれば批判もかわせるっていう感じもいただけない 「勧進帳」初日で富樫が登場した時の拍手の凄さ う~~ん、やっぱり待ち望んでた人が多いってことなんだろうなぁとは認めますが。(私は 拍手しませんでした)
丁寧に演じようとしてたのは感じましたが、ところどころで変な♪になっちゃうくせは改まっていなくて 謹慎中にせりふ回しまでは練習しなかったのかとがっかり・・・姿はとても美しいので せりふの高音部分でおたまじゃくしが飛び交うことがなくなれば鬼に金棒なのではないでしょうか。悪口(?)はいうけれど静止画像の美しさで 舞台写真はついつい2~3枚買ってしまう私です(舞台写真は ご本人が厳選したものしか売りだされないですし)昼の部のメインは「勧進帳」と松竹も考えたんでしょうが 千秋楽でみていて近年観た中で一番つまらない勧進帳だったのがまず前半。どこからともなく聞こえる地獄からのうなり声(鳴り物さんの相の手?)で陰々滅滅とした気持ちにさせられてしまうのがなんともいえず。その声が 台詞と重なるので 台詞も何言ってるんだかわからないわ 気分は下がるわのWパンチ 勧進帳で唸り(?)声が気になるほどというのは初めてだと思います。
山伏問答も 本来丁々発止と弁慶と富樫の気迫がぶつかりあうところが観客もワクワクする場面のハズが どうも團十郎弁慶と海老蔵富樫がかみあわなくて・・・
團十郎さんの声が 音量的には3階まできちんと届いているにも関わらず 台詞に魂がこもってないというか ふわふわした感じに聞こえてしまってしかたありませんでした。「わが心の歌舞伎座」で飛び六法で鳥屋口へ入った後、長い通路を経て楽屋へ戻ってもまだ息のあがっている團十郎丈をみて 「弁慶を演じるのは本当に大変なことなのだ」と思い知らされましたし 大病の後そこまで復活された團十郎さんはすばらしいと思っています。成田屋として弁慶を演じないわけにはいかないでしょうが、私は團十郎さんの弁慶はしばらくパスしようかな・・・という結論になりました。 「楊貴妃」楽日にラストを思い出そうとしたのですが、まるっきり記憶になし(爆)
笑三郎・春猿・芝のぶの姉妹の印象が強烈だったのと李白が出てきたな~とは覚えてたんですけどね。寝てたわけではないと思うんだけど・・・
演劇界9月号の白黒舞台写真でみると 本当に海老蔵はこういう「愁いの貴公子」をさせると映えるよな~とため息がでるくらい。鼻にかかったというのか高めのういたような台詞の声も「愁いの貴公子」だとぴったりくる
この戯曲が面白いか?と問われると 「う~~ん」といったところですが この海老蔵はよかったです。 「春興鏡獅子」弥生部分はとても丁寧に踊っていたと思うのですが 出てきただけで「大男だなぁ」と
顔立ちからどうしても印象が暗くなるんですよね。
歌舞伎座さよなら公演での 勘三郎の恥じらいながらも可愛らしい弥生が強く記憶に残っているのでよけいにそう思ったのかもしれません。
後シテの獅子 毛振りが始まって早々に「きれいじゃないなぁ」とがっかり
振った円(?)が小さくて毛先も丸まってしまって そしてなにより「迫力」「気力」がちっとも感じられませんでした。なんだろう、ただ漫然と振ってます というような(毒)
なのでしらけてしまって・・・どうでもいいわ(爆)な状態に。
「あぁ、これは回数勝負なんだな」と途中で気がつきましたが、そんなの見せられてる方はちっとも面白くないんですが。
終盤に向かって 鳴り物のテンポが速くなる部分にきても 勘三郎の時のような劇場全体が熱を帯びる高揚感はちっとも感じられず。
喜んで拍手してる観客ももちろん多くいらっしゃいますが 私は拍手する気になれませんでした。やたらに「にらむ」というか「目をみひらく」のもどうなんでしょうかねぇ。
「睨んでご覧にいれまする」の狂言なら 縁起ものでもあり嬉しいんですが。 「江戸の夕映え」壱太郎くんがけなげでかわいくて となんかそちらに気がいってしまってました。