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次の記述は、図に示す定電圧電源を含む回路において、電源電圧又は負荷の値が変動した場合について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
1 交流電源の電圧が上昇しても、ツェナーダイオードに流れる電流が増加して、負荷電圧は一定に保たれる。 2 交流電源の電圧が一定のとき、負荷電流が増加しても、ツェナーダイオードに流れる電流が減少して、負荷電圧が一定に保たれる。 3 負荷電流が最大のとき、ツェナーダイオードの消費電力は最少となる。 4 安定抵抗Rで消費される電力は、負荷電流が最大のとき最大となる。 5 負荷電流が零から最大値までの間で変動するとき、負荷電流の最大値は、ツェナーダイオードに流し得る電流の最大値とほぼ等しい。 <解答> 1…負荷の変動時はツェナー電流が変化するので、正しい記述です 2…負荷の電流が増えればツェナー電流は減るので正しい記述です 3…ツェナーと負荷はシーソーの関係にあるので、これは正しい記述です 4…定電圧動作している間は、Rを流れる電流は一定なので誤った記述です 5…ツェナーと負荷はシーソーの関係にあるので、これも正しい記述です となりますから、正解(誤った記述)は4となります。 ツェナーダイオードの両端が、ツェナー電圧に保たれている条件では、電源電圧が変動しなければ、電圧の式、 Vin=VR+VL …(1) となります。また、抵抗Rに流れる電流Iinは、 Iin=VR/R …(2) となります。このIinは別の表現では、 Iin=IZ+IL …(3) と表され、これはツェナーダイオードと負荷に流れる電流の和は一定という意味です。 (1) 無負荷の時 無負荷の時は、電源から流れ込む電流は、全てツェナーダイオードを流れます。 (2) 軽負荷の時 負荷を徐々に重くしてゆくと、ツェナーダイオードの電流IZは減少し、その分負荷電流ILが増加します。両者の和は一定(Iin0=VR/R)に保たれます。この範囲では、負荷にかかる電圧VLはツェナー電圧そのもので一定であり、この回路が定電圧電源として動作します。 (3) 重負荷の時 RLが 更に負荷を重く(RLが(6)より小さく)なり、流す電流を増やそうとすると、抵抗Rでの電圧降下が大きくなって、 Vin-VR<VZ …(7) となってしまい、既にツェナーダイオードの電流はゼロになっていますから、これはないのと同じです。つまり、電源にRとRLが直列に繋がっているだけの回路と同じなので、もはや負荷RLの変動に対して、その両端の電圧は定電圧ではなくなってしまいます。 (4) 電源電圧が変動する時 上記では、負荷が変動するとして考えてみましたが、電源電圧が変動する場合は、以下のように考えます。 まず、ツェナー電圧が変動しないので、これに並列に繋がっている負荷の電圧も変動しないことから、定電圧性は保たれます。この時、(1)式を見ると、電源電圧が変動した分は、VRつまり安定化抵抗の両端の電圧の変動となって吸収されることが分かります。 一定値の抵抗Rの両端の電圧が変動するので、電源からの電流Iinは変動しますが、負荷の両端の電流ILは不変です。変動分はツェナー電流IZが変動することで吸収します。 詳しくは以下で勉強してください。 出典:ツェナーDiを用いた定電圧回路の電圧変動に対する動作 <類題> 次の記述は、図に示す電源回路において、電源電圧又は負荷の値が変動した場合について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 交流電源の電圧が増加したとき、ツェナーダイオードDZに流れる電流が[A]して、負荷電圧は一定に保たれる。 (2) 交流電源の電圧が一定で負荷電流が増加したとき、ツェナーダイオードDZに流れる電流が[B]して、負荷電圧が一定に保たれる。 (3) 負荷電流が最大のとき、ツェナーダイオードDZの消費電力は[C]となる。 A B C 1 増加 減少 最大 2 増加 減少 最小 3 増加 増加 最小 4 減少 減少 最小 5 減少 増加 最大 <解答> A…入力電圧が上昇すると、ツェナーに流れる電流は増加します B…負荷電流が増加すると、ツェナーに流れる電流は減少します C…負荷電流が最大の時、ツェナー電流はほぼゼロで消費電力は最小です となりますから、2が正解と分かります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年08月19日 22時27分51秒
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